エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1058
2021.09.28 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
冒頭でも触れた通り、今年5台目を数えるAntec製PCケースレビュー。今回の主役は、同社の名門・Performaシリーズに属する静音志向の新作「P82 Silent」だ。折に触れ、Performaシリーズの佳作達の型番を引き合いに出しているが、中でも先代とされる「P8」は、2017年8月に国内デビューを果たし、2020年2月には「P82 Flow」をリリース。さらに2020年12月にはマイナーチェンジモデル「P82 Flow V2」が販売され、俗に言うところの正常進化を果たしている。
そして創立35周年という節目も手伝って、勢いが止まらないAntecは今年後半に「P82 Silent」を投入。モデル名で主張されている”静音”をテーマに、市場想定売価税込8,800円の手頃なミドルタワーPCケースでシェア拡大を狙おうというワケだ。
Antec「P82 Silent」 市場想定売価税込8,800円(2021年8月28日発売) 製品情報(Antec / 株式会社リンクスインターナショナル) |
なおAntecの国内担当者によると、これまでの最新モデル「P82 Flow V2」との違いは主に3点だという。
同じ血統とは言え「P82 Flow V2」と「P82 Silent」を比べると、前者はエアフロー重視(Flow)、後者は静音重視(Silent)でそれぞれキャラクターが違う。詳細については検証を進めながら解説するが、そもそも真逆なコンセプトで同一シリーズである事に、今さらながら多少の違和感があるし、ユニークな点とも言えるだろう。
Antecは今年創立35周年のアニバーサリーイヤー。1986年創業だが、具体的に製品を作り始めたのは1991年の黒いタワー型PCケースから。その後「Sonata」(2002年)や「P180」(2004年)のヒット作によりブランドが定着。今日に至る |
国内正規代理店の株式会社リンクスインターナショナル(本社:東京都千代田区)より借り受けた実機に振れる前に、スペック表から「P82 Silent」の概要を掴んでおこう。
外形寸法は幅215mm、奥行き454mm、高さ480mmで、カテゴリはミドルタワー。特に奥行きと高さが500mm以内に収められていることから、イマドキの中型よりもやや小振りな印象だ。主素材はSPCCで、副素材にプラスチックを採用。重量は約7kgとされ、比較的組み込み作業がし易い重量と言えよう。なお外装パッケージは、幅290mm、奥行き530mm、高さ525mmで、付属品および梱包材を含めた総重量は約8.1kg。店頭からの持ち帰りはカート不要でも行けるレベルだった。
いかにも開閉ドア付きのように見えるが、実際のところ蝶番はなく、フロントパネルを外し”開閉ドアのように”立てかけたイメージ。宣材画像にも同様のカットがあるのでお間違いなきよう |