エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1074
2021.11.14 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
ASRock「Z690 Steel Legend WiFi 6E」 市場想定売価税込36,850円前後 製品情報(ASRock) |
2021年11月4日の夜、アキバは第12世代Intel Coreプロセッサの“やや深夜販売”に沸いた。2種類のコアを組み合わせたハイブリッド構成の新CPUは、プラットフォームをLGA1700に刷新。PCI-Express5.0やDDR5メモリのサポートが追加されるなど、注目の新要素を引っさげ登場した。パフォーマンス面でも競合のRyzen 5000シリーズを上回る実力を備えており、久しぶりに帰ってきた“強いIntel”を歓迎する声は多い。
その第12世代Intel Coreプロセッサに対応するのが、最新チップのIntel Z690を搭載するマザーボードだ。大きな特徴と言えるのは、新しいDDR5メモリに対応する製品と、従来のDDR4メモリに対応する製品の2タイプがリリースされた点だろう。メモリ規格の過渡期らしい仕様だが、いずれにせよDDR5への完全移行は見送られた格好だ。
11月4日(木)22時に解禁された、“Alder Lake-S”ことIntelの第12世代Intel Coreプロセッサ。新チップのIntel Z690を搭載したマザーボードやDDR5メモリも同時に販売が開始された |
もちろん購入を考える立場からすれば「せっかくだからメモリも一緒に新規格を使いたい」と考えるのが人情。しかし解禁前から懸念されていたように、いま市場ではDDR5メモリ自体が圧倒的に品薄になっている。解禁日の“やや深夜販売”に駆けつけた自作愛好家の中には、CPUとマザーボードは手に入ったもののDDR5メモリは買えなかった・・・という人も少なくなかった。
現時点では、DDR5メモリを絡めた第12世代Intel Coreマシンの構築は、かなりハードルが高いと言わざるを得ない。
CPUやマザーボードは十分に在庫があったものの、DDR5メモリは圧倒的に品薄。入荷状況が劇的に改善しない限り、DDR5メモリを絡めた自作は大変だろう |
そうした中で存在感を増しているのが、従来のDDR4メモリに対応するIntel Z690マザーボードだ。メモリの調達に困ることがないのはもちろん、これまで愛機に搭載していたメモリをそのまま使い回すことで、コストを圧縮できるというメリットもある。最新のIntel環境を今すぐ使いたいという向きには、DDR4対応モデルは極めて現実的な選択肢になるというわけだ。
今回はその中から、ASRockの人気シリーズ最新作として登場した「Z690 Steel Legend WiFi 6E」を取り上げる。高品質部材を採用した高耐久モデルながら、DDR5対応マザーボードに比べて格段に安価な点も嬉しい。
ここで今回の主役である「Z690 Steel Legend WiFi 6E」の仕様や特徴を大まかにチェックしておこう。高耐久コンポーネントとバランスの取れた機能から、特に耐久性を重視する日本ユーザーに歴代高い評価を受けている「Steel Legend」シリーズの最新作だ。
DDR4対応のIntel Z690マザーボードとしてリリースされた「Z690 Steel Legend WiFi 6E」。優れた耐久性と、要所を押さえた搭載機能をウリとする人気シリーズの製品だ |
シルバーの大型ヒートシンクとデジタル迷彩パターンが目を引くお馴染みのデザインで、50A Dr.MOSによる13(12+1)フェーズの電源回路を搭載する。さらに「プレミアム60Aパワーチョーク」や「ニチコン製12Kブラックコンデンサ」が組み込まれ、安定した信号トレースと低発熱を可能にする「2oz 銅箔層PCB」も採用。電力制御が改善された第12世代Intel Coreプロセッサを安定して動作させることができる。
また、ローンチ時点で登場したのはすべてK型番のCPUながら、いずれリリースされるであろう非K型番CPUのパフォーマンスを向上させる「ASRock BFB(Base Frequency Boost) Technology」に対応する点も特徴。最大265W設定でピーク性能を長く維持できることから、K型番CPUのオーバークロック動作に迫るパフォーマンスが期待できる。
迷彩パターンの入った「Steel Legend」シリーズお馴染みのデザインを採用するパッケージ。マニュアルやケーブルなどに加え、付属品として「グラフィックスカードホルダー」やキーホルダー、ロゴ入りタイラップなどが同梱されていた |
メモリスロットはDDR4-5,000MHz×4を備え、ストレージはPCI-Express4.0(x4)接続の「Hyper M.2」をはじめM.2スロットを3基搭載。専用ヒートシンクも上下2段に標準装備している。また、新しいPCI-Express5.0(x16)対応の拡張スロットを装備、スロットの実装には信号の流れを改善して安定性を高めた「表面実装技術(SMT)」が採用されている点もトピックだ。
そしてネットワークは、Realtek「Dragon RTL8125BG」による2.5ギガビットLANと802.11ax Wi-Fi 6Eをサポート。インターフェイスはUSB3.2 Gen.2 Type-A/Type-Cやフロントポート用のUSB3.2 Gen.2×2などを備えている。
姉妹モデルとして、Wi-Fi機能を省略した「Z690 Steel Legend」もラインナップしている。ASRockマザーボードのトップバッターとして、CPUの解禁日に発売されたのがこのモデルだ |
そのほか、マザーボードに記憶領域を設けて各種ドライバを自動インストールできる機能を新たに導入。非ネットワーク環境でも光学ドライブやUSBメモリに頼ることなくドライバをインストールできる。重量級カードを支える「グラフィックスカードホルダー」も同梱、ハイエンドクラスのグラフィックスカードも安心して組み込むことが可能だ。