エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1198
2022.09.30 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
まずはレンダリング系の定番ベンチマークテスト「CINEBENCH R15」を使用し、Ryzen 9 7950Xのパフォーマンスを見ていこう。
シングルコア性能はCore i9-12900KSすら上回る実力を発揮し、ゲーミング向けにも期待が持てるパフォーマンス。さらにマルチコア性能も大きな進化を遂げており、データベースでも確認できる前世代の同格CPUのRyzen 9 5950Xと比較しても1.4倍近いスコアアップを実現した。
そして「Blazing OC Tuner」によるチューニング効果も抜群。シングルコアこそ変化は控えめなものの、実動クロックの変化が大きかったマルチコアテストでは、さらに10%ほどスコアを伸ばす結果になった。
続いては、「CINEBENCH R15」よりメニーコアCPUへの最適化が進んでいる後継ベンチマークテストの「CINEBENCH R20」を実行。それぞれのスコアを比較してみよう。
定格クロックのシングルコアスコアは、Core i9-12900KSとほぼ互角。マルチコアテストでも前世代Ryzenを含めた同格CPUに比べ、1.3倍以上のスコアアップを果たしている。
さらにオーバークロックによるマルチコア性能の向上は目覚ましく、定格クロックとの比較でも10%ほど、前世代CPUとの間では1.5倍程度の差がついた。「X670E Taichi」と「Blazing OC Tuner」の組み合わせは、思った以上にCPUのポテンシャルを引き出すことができるようだ。
次はメニーコアCPUを前提に開発され、計測時間も長めの最新レンダリングベンチマーク「CINEBENCH R23」を動かしてみよう。
計測時間が長くなり冷却性能が飽和したためか、単体CPUレビュー時に比べて特にマルチコアスコアが控えめに出る結果となった。しかし電圧・電流値を最適化してオール5.15GHzで動作させたオーバークロックによって、その差が逆転。冷却性能の限界を超えて、うまくパフォーマンスを引き出すことに成功している。
しかもオーバークロックによる負担は最小限のようで、「CINEBENCH R23」のストレステスト「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:10 minutes」を実行した結果を見ても、電源回路のMOSFETモジュールはほとんど温度が変わっていない。最高峰の多フェーズ構成による回路で負担を分散させているおかげで、高い負荷がかかるシチュエーションでも極めて安定した動作を可能にしている。
サーモグラフィで定格(左)とOC時(右)のヒートシンクを比較しても、ほぼ発熱が変わっていないことが窺える |
「Blazing OC Tuner」のチューニングでは大きくスコアを伸ばすことができたが、消費電力にはどの程度影響があるだろうか。「CINEBENCH R23」実行時の最高値を高負荷時、起動して10分間放置した状態での最低値をアイドル時として、ワットチェッカーによる計測を行った。
TDP170W、PPTは最大230Wに引き上げられたRyzen 9 7950Xは、高負荷時には相応の消費電力をマーク。アイドル時もやや高めの数値に留まっていたが、大幅なパフォーマンスアップと引き換えであれば我慢できるレベルだ。ちなみにオーバークロック時には、高負荷時・アイドル時ともに順当に消費電力がアップ。40~50Wほど増加する結果になった。