|
|
|
|「TJ08B-E」実稼働による温度テスト・騒音値テスト
本稿最後のセッションは、実際に組み込んだ「TJ08B-E」の各種テストを行ってみたい。
さすがSilverStoneと思わせる出来映えである事はお分かり頂けたはずだが、実際に問題なく動作してくれなければ、ただの「箱」となってしまう(出来の良い箱と言うべきか)。そこで、今回は以下のテスト構成によるケース内温度、騒音値、CPU温度をチェックしてみたい。
|
|
■テスト実施日:2011年7月28日
■室内温度28.1℃/湿度77%/騒音値29.2dBA |
|
|
ケース内温度(メモリスロット下部) |
180mmケースファン回転数設定 |
L |
H |
アイドル時 |
29.3℃ |
28.5℃ |
高負荷時 |
30.6℃ |
29.2℃ |
|
今回のテストでは、「エルミタ的一点突破 CPUクーラー編」同様、ストレスツールに「OCCT 3.1.0」、CPU温度モニタに「HWMonitor Pro 1.17」、ケース内部温度計測には市販のサーミスタ付きデジタル温度計を使用している。またこのケース唯一のファン「Air Penetrator fan」(180mm)は、L:700rpm/18dBAまたはH:1200rpm/34dBAの2段階切り替えに対応するため、それぞれの計測も行っている。
さらに今回使用したCPUクーラー「HR-02」にはファンを搭載させていない。これはCPUクーラーが「Air Penetrator fan」の直進的エアフローの恩恵を受けているためで、「恐らく大丈夫だろう」という判断から敢えてファンレスとした。よってファンを搭載すれば、さらに数値は変化するという事を踏まえた上で、テスト結果を見て頂ければと思う。
まずケース内温度だが、高負荷時でLowの最大30.6℃は良好な結果だろう。そもそも室内温度が28.1℃であるため、目立った上昇は無く、外気に近い温度で推移している事が分かる。
CPUコア温度 |
180mmケースファン回転数設定 |
L |
H |
アイドル時 |
36℃ |
34℃ |
高負荷時 |
60℃ |
57℃ |
|
次にCPUコア温度をモニタしたところ、ファンレス環境での数値が出てしまった。「HR-02」は大型ヒートシンクで、放熱フィンの面積も広く、受熱する能力は高い。しかし放熱能力は搭載されるファンに大きく依存するため、ファンレスでの駆動では限界があるのだろう。ちなみにファンを搭載した場合の「HR-02」テスト結果は、以前行ったテスト記事を参考にして頂ければと思う。
騒音値 |
180mmケースファン回転数設定 |
L |
H |
騒音値 |
33.3dBA |
42.6dBA |
|
最後に騒音値について見ていこう。前述通り「HR-02」はファンレス駆動となるため、ここで計測した騒音値は「Air Penetrator fan」と、電源ユニット「STRIDER PLUS SST-ST1000-P」(135mm/19〜36dBA)からの駆動音となる。
通称「徹甲弾ファン」と呼ばれる「Air Penetrator fan」は、以前の行ったテストから、高速回転時で強力な風量からくる“風切り音”がやや目立つ印象があった。今回のテストでは、L(700rpm)で33.3dBA、H(1200rpm)で42.6dBAとなり、やはりHではある程度の音は覚悟しなければならない。幸いにして回転数切り替えスイッチはフロントパネル右側面に搭載されている事から、使用状況により頻繁に切り替えて使用する事ができる。常に高負荷状態になる事はないため、室内温度と相談しながら、設定を行えば良いだろう。
|総評 SilverStoneの妥協無きギミックとユーザビリティ
今回のレビューは、かなりタイトなスケジュールで進行したため、従来のように、数日間寝食を共にしてじっくりと検証できなかった。それでも「TJ08B-E」の完成度の高さをすぐに感じる事ができた。
これまでSilverStoneの新作PCケースを数多く検証してきているが、いずれも“ただのPCケース”とは言わせない、新しいギミックを必ずひとつ、ふたつと用意してくる。個人的には毎年行われる「COMPUTEX TAIPEI」が楽しみで、今度はどんなアイデアを盛り込んでくるのだろうか?と大いに期待を抱かせ、そして“今のところ”それを裏切られた事は1度もない。
「TJ08B-E」はMicroATXだが、小型PCケースにギミックを詰め込むのは非常に難しい。その理由はもちろん限られたスペースにあるワケで、PCケースを設計する側は、構成パーツのサイズを自由に変える事はできない。その制限の中で、いかに工夫を凝らし、そしてひと味違う製品を世に送り出すかは作り手の腕に託されている。
中には、「そんなものいらない」という意見もあるだろう。ただしSilverStoneは、必要とされるであろうギミックは製品化させてしまう。それこそがSilverStoneの真骨頂であり、ライバル他社とは最も違う部分ではないだろうか。
個人的必要性だけで製品の善し悪を決めるべきではない。たとえ少数でも求めるユーザーがいる限り、妥協せず作り続けることが大事であり、真のユーザビリティとはそこにあるのかもしれない。
|
|
機材協力:SilverStone Technology Co.,LTD
マスタードシード株式会社(国内正規代理店)
© GDM Corporation All Rights Reserved. |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|