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- 禁断の電源ユニットばらしシリーズ(全3回) -
80PLUS GOLD認証 ENERMAX PRO87+をバラバラにしてみた。
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2010年2月25日 15:20 TEXT/写真:Jo_kubota |
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「絶対にマネをしないでください」。第29回「エルミタ的速攻撮って出しレビュー」は、史上初・最もエルミタ的なレビューとも言える、「禁断の電源ユニットばらしシリーズ」を全3回に渡ってお送りする。
旬な人気電源ユニットを見るも無惨、修復不可能なバラバラ状態にし、その構成部品をチェックしようというのがこの“無茶企画”の趣旨となっている。
そこで第1回は80PLUS GOLD認証の「ENERMAX PRO87+」を修復不可能な状態にしてみたい。あぁもったいない、、、 |
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|80PLUS GOLD認証「ENERMAX PRO87+」をバラバラにする
ENERMAX社製80PLUS GOLD認証を取得した「ENERMAX PRO87+」シリーズを以前紹介したが、今回は改めてその実力と、内部を徹底的に紹介してみたい。
前回紹介しているので、ここで簡単にPRO87+の特徴を抑えておこう。まずは、なんといっても80PLUS認証にてGOLDの認定を受けていることだ。GOLD認定は負荷率50%で効率90%、負荷率20%および負荷率100%時で87%という高い変換効率を求められる。
80PLUS SILVER以上の電源ユニットはこれまでにも幾つか発売されており、その多くが大容量中心となっているが、PRO87+シリーズでは500W/600Wと、中容量クラスがラインナップされているのが特徴となっている。「NVIDIA SLI」や「ATI CrossFireX」、そしてHDDを多数搭載するなら、800Wくらいあっても十分かもしれないが、一般的な構成において宝の持ち腐れになることも多いことを考えると、待望とも言える製品だろう。
今回、ENERMAX代理店・株式会社リンクスインターナショナルの協力により、発売されたばかりのPRO87+ 500W「EPG500AWT」を入手、分解する機会が得られたのでパフォーマンスチェックとともに、内部の構成に迫ってみたい。
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「PRO87+」の外観。ケーブルは直出しスタイルとなっている。取り回しではモジュラータイプの方が有利だが、確実な接続と言う意味では、接点の少ない直出しタイプに分がある。なお「PRO87+シリーズ」にはモジュラータイプの「MODU87+」シリーズもラインナップされている |
ENERMAX PRO87+ 500W (EPG500AWT) |
出力 |
500W |
規格 |
ATX12V v2.3 準拠 |
搭載ファン |
139mm ツイスターベアリング |
効率性 |
最大92% |
保護回路 |
過電流保護(OCP)、過電圧保護(OVP)
AC低電圧保護(UVP AC)、DC低電圧保護(UVP DC)
過負荷保護(OPP)、過温度保護(OTP)
雷防止保護(SIP)、ショート回路保護(SCP) |
サイズ |
150(幅)×160(奥行)×86(高)mm |
PFC |
アクティブPFC |
80PLUS |
GOLD |
ENERMAX PRO82+ 525W (EPR525AWT) |
出力 |
525W |
規格 |
ATX12V v2.3 準拠 |
搭載ファン |
120mm 2ボールベアリング |
効率性 |
最大88% |
保護回路 |
過電流保護(OCP)、過電圧保護(OVP)
低電圧保護(UVP)、過負荷保護(OPP)
過温度保護(OTP)、ショート回路保護(SCP) |
サイズ |
150(幅)×140(奥行)×86(高)mm |
PFC |
アクティブPFC |
80PLUS |
スタンダード |
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両者はよく似たスペックだが、PRO82+ 525W「EPR525AWT」の3.3Vと5Vのコンバイン出力が140Wなのに対し、PRO87+ 500W「EPG500AWT」は100Wと小さくなっている。しかし、PRO87+ 500W「EPG500AWT」の3つある12Vラインのコンバイン出力は492Wであり、PRO82+ 525W「EPR525AWT」の480Wから12W向上している。その他の基本的なスペックは同一だ。PRO87+ 500W「EPG500AWT」はPRO 82+「EPR525AWT」の12Vラインをより強化した製品と言える。
PRO87+ 500W 「EPG500AWT」 |
DC OUT |
+3.3V |
+5V |
+12V1 |
+12V2 |
+12V3 |
-12V |
+5Vsb |
最大電流 |
20A |
20A |
25A |
25A |
25A |
0.5A |
3A |
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100W |
492W(41A) |
6W |
15W |
PRO82+ 525W 「EPR525AWT」 |
DC OUT |
+3.3V |
+5V |
+12V1 |
+12V2 |
+12V3 |
-12V |
+5Vsb |
最大電流 |
24A |
24A |
25A |
25A |
25A |
0.6A |
3A |
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140W |
480W(40A) |
7.2W |
15W |
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PRO87+ 500Wの比較用として、「PRO82+ 525W」を用意した。PRO82+は、80PLUS BRONZE認定を受けた、こちらも高効率な電源ユニットだ |
|PRO87+は、本当に省電力・高効率なのか?
ではここからPRO87+が、どれほど高効率なのかをPRO82+と比べてチェックしてみよう。用意したPCシステムは、現在のトレンドを抑えたミドルクラスのPCとしている。CPUにCore i5-750/2.66GHz、ビデオカードにAIT Radeon HD 5750、そして光学ドライブにBlu-rayと、過不足のない中堅クラスのPCだ。
スペック表 |
CPU |
Intel Core i5-750(2.66GHz) |
M/B |
msi P55-CD53 |
メモリ |
DDR3-10600 2GB×2 |
VGA |
ATI Radeon HD 5750 |
HDD |
HDT722516DLA380(160GB) |
Drive |
LG GGC-H20N |
OS |
Windows 7 Ultimate 32bit |
これまでの電源ユニットのテストでは、自作の負荷ツールを使っていたが、PRO87+に関しては以前、同様のテストを行っているため、今回はシステム全体の消費電力をロギングできる「watts up? PRO」を使用し、各アプリケーションを実行した際の消費電力の推移を1秒単位で見ていく。
その前に、アイドル時の消費電力を先に見てみよう。いずれもOS起動後、10分放置した際の消費電力となっている。Windows 7では電源管理にて「省電力」「バランス」「高パフォーマンス」の3つが選択できるが、このうち、省電力と高パフォーマンスに設定した時の消費電力が、下記のグラフだ。
省電力設定時、PRO87+は55.8Wなのに対しPRO82+は57.9Wと、2Wほどの差だったが高パフォーマンス設定では、56.8W、60.2Wとなり、その差は3.4Wまで開いた。もちろん、これくらいの差はHDDや光学ドライブが動き出してしまえば、吹き飛ぶ軽微な差ではあるが、電源ユニットを変えるだけで消費電力を抑えられるという意義は、決して小さくは無いだろう。なお、「バランス」設定時のアイドル時の消費電力は、省電力に設定した際と全く同じだった。
さてここからが本番。Windows 7の電源管理を「バランス」に設定し、各アプリケーションを実行した際の消費電力の様子を見てみよう。細かな計測方法は各段落にて紹介するが、いずれの場合も3回計測し、全体を通してもっとも低い消費電力を記録したケースのスコアを採用している。Windows 7ではアイドル時などにバックグランドにてキャッシュなどの整理を行うため、計測タイミングによっては不当に高い消費電力を記録してしまうことがあるためだ。
次からはベンチマークの定番「3DMark06」を使っての消費電力比較からスタートしよう。「Blu-ray再生 消費電力比較」まで計5種類のベンチマークテストを行っている。両モデルの性格が客観的データから推し量ることができた。 |
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