2019.02.20 00:00 更新
2019.02.20 取材
ガジェットライフにどっぷりハマる、ギークな野郎は毎日何を考えている?「ギークの殿堂」でお馴染みなアノ人が、スマホやデバイスのアレコレから、業界事情やオトクな契約プランに至るまでを徒然に語る。今回は、今年登場するであろう“曲がる画面”とは別な側面から、新しいスマートフォンのトレンドを予測してみることに。
2018年を振り返ると、スマートフォンのサイズはもはや6.4インチが珍しくなくなり、アップルも6.5インチの「iPhone XS Max」を投入した。かつて“ズルトラ難民”と呼ばれた「Xperia Z Ultra」の愛好家すら、こぞってヤドカリのように端末の引っ越しに動いた年だったのではないだろうか。
そして今年のトレンドになりそうなキーワードを考えてみると、まずメーカー各社が実用化を急いでいる「フレキシブルディスプレイ」搭載モデルが挙げられる。いわゆる“曲がる画面”のスマートフォンだ。
Samsungは長らく噂になっていた折り曲げスマートフォンを今週にも発表する見通しで、世界に先駆け発表されたRoyoleの「FlexPai」も近く正式リリースを控えている。ただしどちらも予価は20万円クラス、とても一般向けとは思えない。
明らかに曲がったスマホを発表しそうなSamsungの予告。以前にイベントでチラ見せしたこともあったが、コレが実際に発売されるのかしら |
折り曲がるスマートフォンの限界は「AXON M」(日本では「M Z-01K」)が示してくれた感があるが、曲がって2画面になることは、“楽しい”以上のメリットがあるのかどうか。画面自体が曲がるとなればさらにスゴイ話だが、現時点では技術的チャレンジ以上の意義が見いだせていないような気がする。
話題のキーワードに留まりそうな“折り曲げスマートフォン”はさて置き、今気になっているのが手のひらにスッポリ収まる「小型ケータイ」だ。昨年からガラケーに代わって徐々に注目されつつあり、本当の意味でのトレンドになりそうな可能性を秘めている。
イマドキな小型ケータイとして登場した「ニッチフォン-S」。電卓のような外観で、電話とテザリングに特化している | 目に優しい電子ペーパーのようなディスプレイが新鮮な「カードケータイ」 |
その例としてまず挙げられるのは「NichePhone-S(ニッチフォン-S)」だろう。一見すると電卓のようでいて、通話・SMS・テザリングを3G回線で利用できる。価格も今は6,000円台半ばまで下がっており、試しに買ってみるにはもってこいな端末だ。
さらにドコモが「カードケータイ KY-01L」を出してきた。普段は通常のスマートフォンの大画面で動画を観たり調べものをしつつ、メールやSNSなどの簡易的なタスクには小さい端末を使いたい、というニーズに見事に応えてみせた。
ここまで小ぶりなスマートフォンなんて!マニアなら興奮不可避な「Jelly Pro」 |
そして極めつけは、ロマンあふれる文字通りの“小型スマートフォン”「Jelly Pro」的な端末だ。「世界最小の4Gスマートフォン」を謳うだけのことはあり、画面こそ小さいものの基本的に通常のスマートフォンと同様のことができる。販路はやや限定的だが、価格も約2万円台と手頃だ。
こうしてみると「小型ケータイ」の有望株は多い。ただしいずれも共通しているのが、誕生してからまだ間もないという点。それぞれに課題があり、それらがキレイに改善されれば、人気に火がつく可能性がある。
まず「ニッチフォン-S」はau SIMが使えなかったり、800~900MHzの低周波数帯(バンド6/8)、いわゆる地下や山間部に強い電波を掴まないなどの課題があった。それは後継機種の「NichePhone-S 4G」が改善、売り切れる店舗が出るなど、かなり人気が増したように思う。「小型ケータイ」の本格的なブームまで、あと一歩のところまできている印象だ。
「Jelly Pro」がタフになり、さらにスペックアップした「Atom」も登場。日本のFelica規格に対応しているらしく、実用化に期待がかかる |
「Jelly Pro」の発展形として登場した「Atom」などは、認可が下りず実用化は断念したものの、Felicaも内蔵しているとのこと。これが解放され、QRコードやバーコードも満足に表示できるようになれば、来るキャッシュレス社会のキラー端末になれるかもしれない。
なにかプラスアルファの決定打があれば、間違いなくヒットしそうな「小型ケータイ」。今のような現実的な端末価格を前提としつつ、“曲がるスマホ”以上にトレンドになる予感がする。
文: フリーライター 太田 文浩