特別企画
2018.04.17 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 Tawashi
In Winは1986年に創業された老舗メーカー。企業やサーバー向けシャーシをはじめ、自作PC向けパーツなど、幅広いアイテムの開発・製造を行っている。中でも同社を代表するPCケースは、自作PC黎明期より秋葉原でも多くのPCパーツショップで取り扱かわれていた。そもそも組み込み向け大量生産PCケースに強いメーカーとあって機能性やコストが優先。お世辞にもデザインについて話題にならない、”アイボリーの筐体”といった体だった。そんな時代が長らく続き、自作PCブームを迎えた2000年代前半からは、コンシューマ向け専用モデルにも注力。ブランド名も広く知れ渡るようになった。
そしてIn Winのイメージをガラリと変え、今のカタチを作ったのが2012年に発表されたオープンフレーム型PCケース「X-Frame」であろう。
In Winがコンシューマ市場へ舵を切るきっかけとなった「X-Frame」。いわゆる「検証台」だが、組み込み向け大量生産品とは明らかに違うことを”市場に宣言”したメモリアルモデルと言えるだろう |
以降、アルミ板を重ね合わせた「H-Frame」(2012年)、鉄パイプと砂型鍛造プレートで構成された「D-Frame」(2013年)などデザイン重視のPCケースを次々と投入。その衝撃的なスタイルで「COMPUTEX TAIPEI 2013」の話題を独占した「Tou」(2013年)は、強化ガラス採用PCケースの元祖として、確かな足跡を残した。
デザインPCケースという新たな境地を開拓した「H-Frame」 | 本体を自ら組み上げる自作ケースの「D-Frame」 |
圧倒的存在は現在でも十分に通用するであろう、全身強化ガラスパネル採用の「Tou」 |
4mm厚アルミ一体成型フレームと強化ガラスで構成された「IW-CF02(901)」。2014年発売のモデルながらまったく色褪せることがない | 3面にスモークの強化ガラスを使った「805」は2015年リリースのミドルタワーPCケース |
素材の特性から、どうしても破損トラブルが心配された強化ガラスを自作PC市場に導入。その起源は「D-Frame」や「Tou」の2012年にあり、”魅せるPC”というビッグキーワードが市場を牽引しながら、RGB LED搭載パーツは現在でも増殖を続けている。低迷する自作PC市場を活性化させた立役者、それがIn Winなのだ。