エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.851
2020.04.10 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
MISTEL「Barocco MD770」 実勢売価税込19,000円前後(2020年2月現在) 製品情報(MISTEL/株式会社アーキサイト) |
設立からまだ数年という新興のキーボードメーカーながら、MISTELはその独特な立ち位置でマニアに知られる存在だ。製品ラインナップの主流を占めるのは、これまで極めてニッチなジャンルだった左右分離型のエルゴキーボード。しかも第1弾プロダクトとして投入された「Barocco MD600」は、その手の製品の常識を覆す、HHKBサイズのコンパクトデザインで大いに話題を呼んだ。
それ以降もRGBモデル「Barocco MD600 RGB」やロープロファイルモデル「Barocco MD650L」など、コンパクトな左右分離型キーボードを続々リリース。そのコンセプトに磨きをかけてきた。
昨年のCOMPUTEXでデビューを飾り、このほど発売が開始されたMISTELの最新作。肩幅をくつろげたフリースタイルで入力できる、左右分離型コンセプトの小型キーボードだ |
そして「Barocco」シリーズ最新作として新たに登場した製品が、今回の主役である「Barocco MD770」だ。昨年の「COMPUTEX TAIPEI 2019」で披露されたキーボードで、第1作である「Barocco MD600」の正統進化形に位置付けられている。
コンパクトな左右分離型というコンセプトは当然ながら継承、最大のトピックはレイアウトの刷新だ。ユーザーからの要望を取り入れる形で、ファンクションキー(F1~F12キー)や矢印キー、一部機能キーを追加した合計85キー(英語配列)に拡張された。いわゆる“75%タイプキーボード”に生まれ変わり、レイアウトの面では、ほぼ一般的なテンキーレスモデルと同等のキーが揃えられたことになる。
左右ユニットを合体させると、まるで通常のテンキーレスキーボードのようなスタイルになる、シリーズ共通のデザイン。初代の「MD600」と比べると、レイアウトが大きく拡張されていることが分かる |
もちろん入力のポテンシャルは搭載キーそのままではなく、Fnキーとの同時押しによる機能拡張にて、フルキーボード同等の入力が可能。さらに高度なハードウェアマクロ機能を搭載し、一部を除くほぼすべてのキーに任意のキー・入力パターンを登録できる。これらのマクロは最大3つのレイヤー(プロファイル)に登録が可能で、用途に応じて使い分けられる仕様だ。
そして「Barocco」シリーズ共通の機能として、キーボード配列の変更に対応。QWERTY/Dvorak/Colemak配列の3パターンに切り替えられるという、ユニークな特徴を備えている。
メカニカルスイッチの大定番であるCHERRY MXスイッチを採用。RGBイルミネーションを内蔵した「Barocco MD770 RGB」シリーズも同時に発売されている |
キースイッチはCHERRY MX茶軸/青軸/赤軸/クリア軸/静音赤軸の5種類をラインナップ。一級品のリッチな打鍵感が期待できる。また、キーキャップには新設計の2色成形キャップが採用されており、物理的に刻印が摩耗して消えることがない。キーボードマニア垂涎の仕様が詰め込まれた、実にプレミアムな仕上がりだ。
なお、接続インターフェイスはUSBで、ポーリングレート1,000Hzをサポート。「COMPUTEX TAIPEI 2019」に持ち込まれたサンプルはBluetoothとの2-WAY接続だったところ、ひとまず製品版ではワイヤレス化は見送られたようだ。