エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1235
2022.12.30 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
MSI「GeForce RTX 4080 16GB SUPRIM X」 実勢売価税込240,000円前後(2022年12月現在) 製品情報(MSI) |
自作市場はここ数ヶ月に渡り、相次ぐ最新GPUの登場に湧いている。10月から11月にかけてNVIDIAが「GeForce RTX 40」シリーズを投入したと思えば、12月にはAMDが追っかけで「Radeon RX 7900」シリーズをデビューさせた。いずれも性能面で長足の進歩を遂げているところ、AMDのフラッグシップである「Radeon RX 7900 XTX」から直接の競合としてターゲットに指名されたことで、あらためて注目を集めているのが「GeForce RTX 4080」だ。
GeForce RTX 4080グラフィックスカードは11月の解禁時より多くのバリエーションが顔を揃え、選択肢は多い。今回はその中から、MSIの最上位シリーズ「SUPRIM」に属するハイグレードモデル「GeForce RTX 4080 16GB SUPRIM X」をチョイスした。
GeForce RTX 4080のローンチに合わせ、MSIは3モデルを同時に投入。今回主役となる「GeForce RTX 4080 16GB SUPRIM X」は、その中でも最上級の「SUPRIM」シリーズに連なる製品だ |
ブラッシュドメタルカバーと多角形ファンカットが施された、ゴージャスな仕上げが目を引く“第2世代「SUPRIM」”のデザイン。最大のトピックは、MSIが「これまでで最高の空冷システム」と謳う大型の3連ファンクーラー「TRI-FROZR 3S」だ。
従来型ファンから風量を23%向上させた「TORX FAN 5.0」を3基搭載。独自構造を採用するこのファンは、外輪部で結合された3枚のファンブレードが直進性の高い気流を生み出し、低速回転でも高圧のエアフローを維持できるよう設計されている。セミファンレス機能の「ZERO FROZR」にも対応。負荷に合わせてスマートに回転・停止をコントロール、騒音の発生を最小限に抑えてくれる。
大がかりな冷却機構に加えて強力な電源回路を搭載し、ファクトリーオーバークロックが施されている |
組み合わせるヒートシンクも特別仕様だ。CPUとVRAMの両方をベイパーチャンバーで覆い、吸い上げた熱を接触性を向上させたヒートパイプの「CORE PIPE」で全体に伝える構造になっている。また、ヒートパイプ配置の最適化に合わせて、アルミニウム製フィンをセクションごとに異なる形状に成形。不要なエアの流れを抑制してノイズを低減させることに成功した。
なお、これらで構成される「TRI-FROZR 3S」は、メーカー担当者いわく「上位GPUであるGeForce RTX 4090搭載の『SUPRIM』とまったく同じ構造が採用されている」とのこと。GeForce RTX 4080は前世代に比べて消費電力が低く抑えられるなど、扱いやすさも特徴の一つになっているだけに、本製品は冷却面で相当な余裕を備えていると見ていいだろう。
ホワイトを基調とした「SUPRIM」シリーズお馴染みのパッケージ。背面には、主に「TRI-FROZR 3S」クーラーの機能についての解説が記載されている |
そしてクーラーだけでなく、こだわりの独自基板もトピック。チョークコイルには一体成形によりチョークノイズを低減させた「High-Efficiency CarbonyI Inductors (HCI)」、MOSFETも統合型の「DrMos」を組み合わせた、多フェーズ構成の堅牢電源回路を搭載している。
これらの充実した装備を与えられた「GeForce RTX 4080 16GB SUPRIM X」は、出荷時からチューニングが施されたオーバークロック仕様。ブーストクロック2,625MHz(リファレンス2,505MHz)、メモリスピード22.4Gbpsで、メモリバス幅256bit、GDDR6X 16GBのビデオメモリを実装している。
また、フルパフォーマンスの“GAMING”と低騒音の“SILENT”から選択可能な「デュアルBIOS」を搭載。好みに合わせて動作パターンを切り替えることができる。
補助電源コネクタは12VHPWRを採用。非搭載電源ユニットでも使用できるように、8pin×3から変換する変換ケーブルが付属する | 3スロット以上を占有する重量級カードだけに、スロットへの負荷を軽減する対策は必須。製品にはロゴ入りの特別なVGAサポーターが同梱されていた |