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エルミタ的「一点突破」 CPUクーラー編 Vol.20
ENERMAX 「ETS-T40シリーズ」検証 |
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2011年7月16日 0:00
TEXT:GDM編集部 松枝 清顕 |
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|こんな日が来るとは、、、ENERMAXブランドのCPUクーラー
「ENERMAXからCPUクーラーが発売される」。国内正規代理店の株式会社リンクスインターナショナル(本社:東京都千代田区)から編集部に一報が入った。
ENERMAXと言えば、自作PCパーツ界の老舗メーカー。PCケースや電源ユニット、そして美しい発光ファン、キーボードやノートPC用クーラーなど多種多様なカテゴリ展開で長きに渡り自作界を牽引するメーカーのひとつに数えられている。そんなENERMAXからCPUクーラーがリリースされるとは、さすがに少々驚いてしまった。
しかし前述通り、ENERMAXはアクセサリー要素が強いモデルとは言え、汎用ファンを積極的にリリースしてきた実績があり、冷却パーツに関して全くの無縁であったワケでは無い。
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CPUクーラーでも成功を収めることができるのか?(画像は「ETS-T40-TA」) |
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以前、PCケース、電源ユニット、CPUクーラー、汎用ファン、アクセサリー類など、とにかくなんでも扱う某メーカーのプロダクトマネージャーに、何が一番売りたいのか?と尋ねてみたところ、「全てだ」という回答を得た。理由は、構成パーツの全てに自社のブランドを選択してもらう「トータルソリューションの提案」にあるという。
これほど多くのメーカーがひしめき合う自作業界にあって、自社ブランドでの“一本釣り”は、ハードルが高い上に「二兎追うものは一兎をも得ず」という事にもなりかねない。
さて、ここでの主役ENERMAXだが、彼らはどのようなコンセプトから、CPUクーラー部門の本格的参入を決めたのだろうか。機会があれば是非聞いてみたいと思う。
|「ETS-T40シリーズ」は搭載ファンの違いで3モデル展開
背景はどうあれ、相変わらずの“脱線イントロダクション”を反省しつつ、ENERMAXが今回市場に投入するCPUクーラーを徹底検証していこう。
7月23日から発売が開始される期待の新製品、「ETS-T40シリーズ」は「ETS-T40-TB」、「ETS-T40-TA」、「ETS-T40-VD」の3種類が用意されている。いきなり3モデル展開での参入だが、各モデルの違いで目に付くのは搭載ファンだ。
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ENERMAX「ETS-T40シリーズ」
(左から「ETS-T40-TA」、「ETS-T40-TB」、「ETS-T40-VD」) |
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他社に無い美しい発光が特徴的な汎用ファンを既に持っているENERMAXだが、その資産を活かし、「ETS-T40シリーズ」では3つのモデルを搭載させ、それぞれ個性的なモデルに仕上げられている。まずは採用されているファンをチェックしてみよう。
各々のファンスペックや、発光ギミックについての解説は割愛させて頂くが、おおざっぱに見ると「-TB」のみ非発光ファンで、残る「-TA」「-VD」はENERMAXのお家芸的とも言える、なんとも美しい光を放つファンがチョイスされた。
ただしCPUクーラーとしての仕事は、あくまでCPUの冷却にある。アクセサリー要素がゼロでも、高い冷却能力があれば、市場からは支持されるのは言うまでも無い。あくまでギミックは脇役に徹するべきだろう。
発光ギミックの詳細を割愛した理由はここにあるワケだが、無視できないのはファンそのもののスペックだ。
■搭載ファンスペック
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ETS-T40-TB |
ETS-T40-TA |
ETS-T40-VD |
ファン |
T.B.Silence-PWM |
T.B.APOLLISH-PWM |
T.B.VEGAS-DUO PWM |
回転数 |
800〜1800rpm |
800〜1800rpm |
800〜1800rpm |
風量 |
37.57〜88.70CFM |
33.26〜75.98CFM |
33.26〜75.98CFM |
騒音値 |
10〜21dBA |
16〜21dBA |
16〜21dBA |
LED |
N/A |
Circular Type Blue |
Circular Type Blue(11mode) |
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回転数は800〜1800rpmで3モデル共通。しかし風量と騒音値に冠しては、非発光ファンと発光ファンで違いがある。
非発光ファン搭載の「-TB」は、37.57〜88.70CFM/10〜21dBAでだが、「-TA」「-VD」の発光ファン搭載は、33.26〜75.98CFM/16〜21dBAが公称値だ。回転数が共通なのにスペックに大きな開きがある事に解せないと感じるかもしれないが、実は非発光ファンの羽枚数は通常の120mmファンとしては多い9枚で、発光ファンは7枚となっている。この2枚の差に加え、非発光ファン「T.B.Silence PWM」は、「Batwing Blade構造」と呼ばれる凹凸のある特殊なブレードと、より多くの空気を取り込む事ができる「HALO Frame」により、風量アップと騒音値低減が実現されているのだ。
実際にテストを行う前段階ではスペック上、同一回転数ながらスペックの高い「T.B.Silence PWM」を搭載する「ETS-T40-TB」は、当然発光ファン搭載モデルよりも冷却能力は高くならなければならない。テストセッションでは、その点に注目していくことにしよう。
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外装パッケージは共通の「ETS-T40シリーズ」。右下部に3種類の画像を載せ、シールで識別できるようになっている。さて、どのモデルに人気が集中するのだろうか |
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|搭載ファンだけじゃない。よく見ると異なるヒートシンク
通常ならここから外観チェックに入るわけだが、今回の3兄弟はなかなか手強い。実はよく見るとヒートシンク部にも違いがある事に気がつく。通常のパターンであれば、一際目立つ搭載ファンの違いだけで終わるはずで、まさかヒートシンクに種類があるとは思わなかった。
その違いは、放熱フィンと銅製ヒートパイプにニッケルコーティングが施されているか否かで、1モデルは処理済み、2モデルは非処理となる。さらにややこしいのは、処理済みの1モデルが非発光ファンの「-TB」ではなく、発光ファン2モデル中の「-TA」なのだ。
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ETS-T40-TB |
ETS-T40-TA |
ETS-T40-VD |
ファン |
非発光 |
発光 |
発光 |
放熱フィン |
未処理 |
ニッケルコーティング |
未処理 |
ヒートパイプ |
未処理 |
ニッケルコーティング |
未処理 |
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左から「-VD」、「-TB」、「-TA」。右端の「-TA」のみ、放熱フィンおよびヒートパイプにニッケルコーティング処理が施されている |
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ニッケルコーティング処理については、見た目の美しさと腐食の防止効果はあるものの、冷却能力に関して非処理モデルとのアドバンテージは恐らく無いだろう。逆にコーティングされている分、能力が落ちるのでは無いかという懸念はある。
もはや資料を見なければ正確に説明ができない筆者だが、難解なラインナップを用意する意図はどこにあるのだろうか。ちなみに市場想定売価を見比べると、工程が増えるニッケルコーティングの「-TA」が最も高価かと思いきや、実際には非発光モデル「-TB」(非コーティング)が4,280円前後で最も安価。そして発光モデル「-TA」(ニッケルコーティング)と「-VD」(非コーティング)は4,980円前後に設定されていた。そろそろ耳から煙が出そうである。 |
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