「エルミタ的速攻撮って出しレビュー」
Home
>
エルミタ的「一点突破」 CPUクーラー編 Vol.5 「Intel Core i7-980X Extreme Edition純正クーラー」徹底検証
エルミタ的「一点突破」 CPUクーラー編 Vol.5
Intel Core i7-980X Extreme Edition純正クーラー徹底検証
2010年4月18日 3:00
TEXT:G&D matrix編集部 松枝 清顕
|
せめてCPUクーラーだけでも拝んでおこう
第5回エルミタ的「一点突破」CPUクーラー編
は、高額ながら異例のヒットを飛ばす
Intel「Core i7-980X Extreme Edition」同梱の純正クーラー
を検証してみたい。
Intel「Core i7-980X Extreme Edition」(以下:Core i7-980X EE)と言えば、2010年3月17日に発表されたフラッグシップモデルである事はご存じの通り。売価10万円超えながらIntelの“控えめな”供給量も相まって、単品販売開始直後は売り切れ店舗が続出する人気振りとなった事は記憶に新しい。
新しいモノ好きな筆者にとって、ひとまず発売当日に入手しなければ気が済まない悪癖がありつつも、さすがにこの金額をぽんと出すほど懐に余裕は無い。かと言って編集部で購入する道理もなく、静観を決め込んでいた。
言うまでもなく6コアは魅力的だが、実はそれ以上に気になっていたのが何を隠そう、サイドフロータイプを採用した純正CPUクーラーの存在。自称「CPUクーラー好き」としては、見過ごすワケには行かず、どうにかならないモノかと思っていたところ、編集部に朗報が舞い込んできた。話によると知人の業界関係者が「Core i7-980X EE」を購入したというのだ。さらに続きを聞くと、明日にも組み込む予定との事。これは一大事とばかりに時間も構わず連絡を取ってもらったところ、快くCPUクーラーの貸し出しに応じてくれる事と相成った。
半ば無理矢理強奪の感はありつつも、このような経緯で今回の「一点突破」は、少々異例ながら、「Core i7-980X EE」の純正CPUクーラーを取り上げてみたい。
|
Intelが示してしまった、CPUクーラートップフロータイプの限界
Core i7-980X EEリテールBOX
さて、
「Core i7-980X EE」同梱の純正CPUクーラーが無事編集部に届けられたところで、例によって外観ディテールからチェックして行く。と、その前にやはりBOXの大きさについて触れないわけには行かないだろう。
すでにご存じのように、「Core i7-980X EE」リテールBOXはあり得ない程に巨大化している。「Xeon」のBOXも以前はかなりの大きさであったが、それにも勝るインパクトがある。ユーザーにとっては大枚をはたいて購入する製品なので、“買った感”は味わえるのかもしれないが、机に置いたBOXを片手でひょいと持ちあげる事はできず、しかしながらBOXの紙質や厚さは従来通りなため、どこか華奢な印象がある。
なおリテールBOXのサイズは実測値で190×195×155mm。「Core i5-750」のリテールBOXサイズは125×143×78mmなので、その違いがお解り頂けるだろう。
これほどまでに大きくしなければならなかった理由を考えると、やはり純正CPUクーラーのサイドフロータイプへの変更にあるだろう。ちなみに純正CPUクーラーは
「DBX-B」
と名付けられている。
Intel Core i7-980X Extreme Editionの6コアもトピックだが、サイドフロータイプの純正CPUクーラーも大きなトピック。さてどんなパフォーマンスを見せるのか
今回「DBX-B」が採用された事は、プロセッサ自体のプレミアム感の演出とも言えるが、それよりも重要なのは直接的ではないにせよIntelがトップフロータイプCPUクーラーの限界を認めた点に注目したい。市販の汎用CPUクーラーはサイドフロータイプに大半が移行されているが、ここまでIntelの純正CPUクーラーは頑なにトップフロータイプがチョイスされてきた。中には2007年11月に発売された「Core 2 Extreme QX9650」で採用された120mmファン回転数モード切替付き巨大トップフローモデルも存在しているが、通常は見慣れたアルミ製ラウンドタイプとなっている。
Model
TDP
クロック
コードネーム
製造プロセス
Core i7-980X EE
130W
3.33GHz
Gulftown
32nm
Core i7-975X EE
130W
3.33GHz
Bloomfield
45nm
Core 2 Extreme QX9650
130W
3.0GHz
Yorkfield XE
45nm
「DBX-B」と名付けられたサイドフロータイプと、お馴染みトップフロータイプ
ここにならべた3モデルはいずれもTDPが130W。2009年6月にリリースされた「Core i7-975 Extreme Edition」もアルミと銅を使用したハイブリッドのトップフロータイプCPUクーラーが同梱されていたが、製造プロセスが32nmになったところで「DBX-B」を投入してきた。その背景を考えると、今後リリースされるプロセッサへの準備なのか?と妙な想像もしてしまうわけだがここは素直にトップフローの限界を認め、さらに市場の要求にようやく応えようとするIntelの方針転換の表れかもしれない。(深読みのしすぎ)
ともあれ、自作業界をある意味リードするIntelが、時代の潮流に遅ればせながら乗ってきた事は、やはりトピックとして取り上げるに値する事ではないだろうか。
|
Core i7-980X EE純正CPUクーラーのディテールをチェック
Intelが名付けた「DBX-B」には、例によってパーツナンバーが与えられており、公開されている「Thermal and Mechanical Design Guide」によるとこのモデルは
DELTA製「E75476-002」
となり、
Nidec製「F10T12MS3Z9-18A01A1」
というファンが採用されている。
特徴的なセミスケルトンインペラファンは、オープンフレームタイプで、BlueLED仕様。パフォーマンスは、アイドル時最小20dBA/800rpm、最大で35dBA/1800rpm。実測値でインペラ最大幅は約100mm、厚さは21mmで、一般的フレームタイプとは明らかに違う、風車のような羽形状が採用されている。
一方ヒートシンク部は、アルミニウム放熱フィンと銅製受熱ベース、さらに4本のヒートパイプで構成されており、サイドフロータイプとしては至ってオーソドックスなデザイン。ヒートシンクサイズはそれぞれ実測値でD70×W100×H77mmとなり、ファンを含めた外形寸法はD97×W110×H129mm。なお銅製受熱ベースサイズは29×31mmで、信越化学工業社製のサーマルグリスが付属される。
見た目だけで判断すると、高冷却とは少々言い難く、どちらかといえば風量で冷却能力を向上させるタイプではないだろうか。つまり市販のCPUクーラーで言えばひと世代ほど前のモデルの印象で、無骨さからサーバー向けの感が強い。BlueLEDファンがせめてもの救い?
底面から見たところ。ファンはオープンフレームタイプのBlueLED仕様で、ケーブルの巻き込み防止用にWire Guardが装着されているが、指のガードまではしてくれない
トップ部に設けられているファン回転数切替スイッチ。左がQモード(Quiet)、右がPモード(Performance)で、任意選択が可能
U字型に配列されたヒートパイプ本数は4本。受熱ベース部は銅製で、やや鏡面仕上げ。冷却能力を左右するヒートパイプと受熱ベースの接合部は、市販の汎用CPUクーラーに比べれると外見上はお世辞にも美しいとは言えない。美しい事と熱伝導能力は必ずしもイコールではないものの、どこか心許ないイメージを抱いてしまう。やはり純正CPUクーラーは“オマケ”の域を抜け出せないのだろうか
装着は一部で悪名高きプッシュピンタイプではなく、バックプレートを用いたネジ式を採用。ネジは手回しタイプで、中にはバネが装着されている
ファンはNidec社製DC12V 0.70Aの4pin PWM可変モデルとなる
次のページ
からは、冷却能力、騒音値、回転数のテストを行う。これまで前4回とは趣の違う純正CPUクーラーテストには、「Core i7-920」同梱モデルを比較対照として用意した。
<次のページを読む>
・ヒートシンクサイズ:D70×W100×H77mm
・外形寸法(全体):D97×W110×H129mm
・ファンサイズ:インペラ最大幅約100mm×H21mm
※編集部実測値
・ヒートパイプ径 6mm径×4本
・本体重量:非公開
・ヒートシンク:Delta「E75476-002」
・ファン:Nidec「F10T12MS3Z9-18A01A1」
・付属品:信越化学工業グリス
・パッケージサイズ:125×143×78mm
Copyrightc1997-2010 GDM Corporation All rights reserved 掲載記事の無断転載を禁じます