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|流通インフラの整備=通信販売の勢力拡大=店舗の衰退
編集部:
そんな夢のような通販サイトがあると、PCパーツショップの実店舗は厳しいですね。
Patric:
はい。台湾のPCパーツと言えばご存じ「光華商場」ですが、体力の無い小さな店舗は閉店に追い込まれています。24時間以内に商品が届けば、わざわざ交通費と時間を使って買い物に出かける人は少なくなります。流通インフラが整備され、在庫や取り扱い商品点数の多い通信販売が繁栄すれば、自ずと実店舗の経営は厳しくなる。
編集部:
どこの国も事情は同じなんですね。
Patric:
もうひとつ興味深いのは、台湾のPCパーツショップでは、Intelの低電圧版CPUが販売されていないんですよ。「S」や「T」が。
編集部:
需要がない?
Patric:
需要はあると思います。でも取り扱い自体が無い。そこで通販という事になる。「PChome」の他に、最近では中国の「淘宝」(Taobao)も利用する人がいます。
編集部:
ジャック・マー氏のアリババ(阿里巴巴集団)ですね。ソフトバンクの孫正義氏とも親交が深く、業界では有名人です。
Patric:
はい。「PChome」のように24時間以内とはいきませんが、台北であれば翌日、高雄などの台南では翌々日に到着します。「淘宝」は台湾での利用者がまだまだ少数ですが、これらのサイトを利用して低電圧版CPUを購入しています。通販は実に便利ですね。ちなみに台湾に「amazon」はありません。
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台湾・八徳路電気街の大通りから一本中へ入ると、そこには古き良きアキバを彷彿とさせる、風情のあるPCパーツショップや電子部品屋が軒を連ねる |
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|タブレット端末の繁栄と自作PCの関係
編集部:
ところで台湾でもタブレット端末やスマートフォンは人気ですか?
Patric:
もちろん、みんな持っていますよ。自作が好きな人は飛びつきますね。台湾はSIMロックフリーが基本なので、複数台所有して使い分けたり。自作マニアは何台もPCを作りますよね?それと似て、新しいタブレット端末やスマートフォンが発売されると、次々買って気がつくと増えている(笑)。
編集部:
その気持ちはよく分かります。でもそんな傾向が業界を支えている側面がありますね。「1台あればいいや」では困る。
Patric:
私も仕事を失うことになりかねません(笑)。それでいいんだと思います。そしてこれからも続くでしょう。
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台湾のアキバ的存在の「光華商場」。近年自作PCパーツだけでなく、スマートフォンやタブレット端末も幅広く取り扱われている |
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編集部:
一般的なメディアでもスマートフォンの話題やタブレット端末の新作が出ると、それを買い求める行列などの様子を扱いますね。自作PCではまずあり得ない。
Patric:
それは仕方がないですね。ただしスマートフォンやタブレット端末の勢いが自作PC業界の脅威とは必ずしも言えないと思っています。実際に台湾の自作PC関連企業は“これ以上は無いが、これ以下も無い”と考えています。つまり昔のように爆発的な勢いはなくても、これ以上状態が悪くなることもない。今の状態がずっと続くと思っています。
スマートフォンもタブレット端末もPCに接続しなければ、最大のパフォーマンスは得られない。結局PCは必要です。
編集部:
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ソフトウェアをインストールするだけで、iPhoneをPC上でよりスピーディーに充電できるASRock「App Charger」等、スマートフォン関連機器との親和性は自作業界の新たな課題 |
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さらに言えば、近頃のマザーボードにはUSB端子が常時通電状態になるものや、急速充電に対応するハイパワーなものが搭載されるようになっていますね。これは明らかにスマートフォンやタブレット端末を意識した装備。以前では考え裸レ無かった。どこかで好調なアイテムと関係を持ち続けようという動きは感じられます。
Patric:
それらを使っているユーザーは多いですからね。あればあったで便利。ややそれに関連して、Mini-ITXがもう少し伸びるのではないかとの見方がありますがどう思いますか?つまりスマートフォンやタブレット端末接続用に特化されたミニPCというアプローチです。
編集部:
自作ユーザーは、こちらからアプローチすると反発する傾向にあります(笑)。「こうやって使おう」と手取り足取り用意しても、ほとんどハズレ。メディアやメーカーだけ盛り上がっておしまいというパターンです。やはり自然派生していかなければダメじゃないでしょうか。アップルのように、パッケージでアピールする作戦は非常に有効ですね。ただし自作にそのパターンはどうやっても当てはまらない。決して後ろ向きではなく、自作は自作の道を突き進むのみです(笑)。恐らく放っておく事が得策かと。 |
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