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 「エルミタ的速攻撮って出しレビュー」 INWIN特集その1
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エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.57
MicroATXゲーミングPCケースの非凡なる才能を徹底検証
In Win 「IW-BR661」編
2010年11月12日 14:00
TEXT:GDM編集部 松枝 清顕
 ASUSTeK、BIOSTAR、CoolerMaster、GALAXY等、名だたるPCパーツメーカーの正規代理店業務を行う株式会社エムヴィケー(本社:東京都千代田区)が、2010年8月18日付けプレスリリースにおいて新たなるパートナー、台湾 In Win Development Inc.(以下:In Win)製品の新規取り扱い開始を発表した。
 1985年設立のIn Winは、PC自作ブームの流れに乗って成長を続け、現在も多くのPCケースをリリースし続けているのはご存じの通りだ。

 そこで「速攻取って出しレビュー」は複数回に渡り、頑なにPCケースを作り続ける老舗企業、In Winにスポットを当て、彼らのこだわりや製品に込められた技術力など、多角的にその魅力を引き出して行きたいと考えている。
 その第1弾として選んだモデルが今回の主役「IW-BR661」だ。
 「IW-BR661」については、“Dragon Slayer”の愛称にて6月開催された「COMPUTEX TAIPEI 2010」の同社ブースでも一際目立つ存在となり、各社メディアにも一斉に取り上げられた注目のPCケース。MicroATXでありながら、高エアフローと高拡張性を武器に発売以来、世界各国で好調なセールスを記録していると聞く。
 なかなか“鉄板モデル”が育たないと言われるMicroATX対応PCケースカテゴリにあって実力派の「IW-BR661」、その魅力にさっそく迫ってみたい。

IW-BR661
国内正規代理店のエムヴィケーでは「IW-BR661」を“甲冑をまとった中世の騎士を思わせるような個性的な外観”と形容されている


MicroATXフォームファクタ再考

 製品チェックを始めるまえにMicroATXフォームファクタについて少しおさらししておこう。
 「IW-BR661」が採用するMicroATXフォームファクタと言えば、当然ATXよりも小振りなサイズから、狭い場所(限られた机したのスペースなど)での運用に特化されているというキャッチをまず頭に思い浮かべる事ができるだろう。PCメーカーや代理店の製品アピールも決まってここからスタートする場合が多くみられる。しかし実際にMicroATXケースを所有した事があるユーザーならばお分かりの通り、劇的に小さいというイメージはあまり持てない。そこで今更ながら、マザーボードの規格毎にサイズを見比べてみよう。

規格
奥行き
Extended ATX 305mm 330mm
XL-ATX 325mm 244mm
ATX 305mm 244mm
Micro ATX 244mm 244mm
DTX 244mm 200mm
Flex ATX 244mm 191mm
Mini DTX 170mm 200mm
Mini ITX 170mm 170mm
Nano ITX 120mm 120mm
Pico ITX 100mm 72mm

 現在考えられるメーカー独自フォームファクタを含めるとMicroATXはVIA系の極小マザーボードを入れると意外に上位にソートされる事が分かる。
 実際に現在流通しているMicroATX用PCケースはマザーボードサイズを十分に活かしたギリギリのコンパクトさを追求するのではなく、ある程度パワーユーザーの顔色を窺った拡張性が強く考慮されているように思える。つまり拡張性が確保される=上位スペックの構成パーツが組み込まれる余地ができる事で、ATX並のエアフローが要求される。
 コンパクトで拡張性が高く、高エアフローと3拍子を求める風潮にメーカー側からは「だったらATXを買ってくれ」という声が聞こえてきそうだが、いつの時代も立場が強いのはユーザー側。一部を除いて完全にそっぽを向かれてしまった今は亡きBTXフォームファクタの悪夢を思えば、メーカー側の提案は必ずしも強い効力を発揮する事はできない。



市場に鍛えられ、進化しなければならないMicroATXケース

 “市場に鍛えられるのもテクノロジー”。MicroATXのPCケースに話を戻せば、現在の市場の要求はなるべくコンパクト且つハイエンドグラフィックスカードを難なく飲み込み、背の高いサイドフロー型CPUクーラーも当然のように装着可能、さらにケース内部温度が異常に上昇せず安定稼働ができる(ついでに言えばストレージも複数搭載したい)という要求を満たさなければならない。そのリクエストにIn Winが応えたモデルがMicroATXケースの「IW-BR661」という訳だ。

意外に多かったMicroATXマザーボードの選択肢

 ATXに比べればその選択肢が限られると思われがちなMicroATXマザーボード。しかしメーカーによってはそうとも限らないようだ。
 In Win正規代理店の株式会社エムヴィケーに11月現在の「MicroATX事情」を聞いてみたところ、同社が取り扱うマザーボードメーカーASUSTeKとBIOSTAR、2社のATX/MicroATX比率は以下通りだった。

取り扱いマザーボードATX/MicroATX比率(11月上旬調べ)
グラフ グラフ
ASUSTeK
BIOSTAR

 これはIntel、AMD両社の合算を2社毎に集計した数だが、国内流通品のみの割合で、各メーカーサイトには販売終了モデルや、そもそも日本では販売されていなかったモデルも含まれる場合があるので、その点は予めご了承頂きたい。
 結果を見ると、意外に種類が豊富である事がお分かり頂けるだろう。BIOSTARに限っては比率が逆転し、MicroATXが約4分の3を占めていた。新製品の発売タイミングやメーカーのリリース時期によってこの割合は常に変動するが、それでも数多くの選択肢があるという事が分かった。


特徴的なフロントパネルデザインが印象的な「IW-BR661」

 “甲冑をまとった中世の騎士”と言わしめるそのフロントフェイスだが、さしずめ“楯”と言ったところ。フラットなデザインが多い中、やや湾曲したカーブを付ける事でボリューム感と存在感を高める工夫がなされている。
 フロントメッシュ部はハニカム構造を採用。以前どこかで触れたが、ハニカム構造(=蜂の巣)は正六角形の蜂の巣状に空けられた穴の事で、通常のパンチング穴よりも隙間なく穴が空けられるだけでなく、非常に高い強度を保つ事ができ、電源ユニットの通気孔にもよく見られる構造だ。PC自体、精密機器なため乱暴に扱う人はいないはずだが、なにかの拍子に物をぶつけたとしても、多少のことでは湾曲したフロントパネルが曲がってしまうような事は無いであろう強度が保たれている。

IW-BR661
編集部に到着した「IW-BR661」。ボディカラーはブラックというよりも深いネイビーといった印象。外観の押し出しから、ATXケースにも見える
IW-BR661 IW-BR661
正面からトップ部を見たところ。天板奥には140mm口径の排気ファン搭載部が確認できる 正面左側面パネルの大部分はメッシュ通気孔で占められている。LEDファン等を仕込むドレスアップも可能
IW-BR661 IW-BR661
斜め後ろから。この画像ではATX対応モデルにも見えるほどの存在感がある 正面右側面パネル。下部にはデザインされたスリットが設けられている。ちょうどこの部分は3.5インチHDDシャドウベイにあたる
IW-BR661 IW-BR661
フロントパネルは通常の組み込み手順では着脱を必要としない仕様となるが、念のため説明すると、6カ所のツメで本体に固定されていた。よって両サイドパネルを外す必要がある上、フロントポートの基板から本体シャーシにアースが取られているため、これも事前に外しておかなければならない。見過ごしがちなトラップ
IW-BR661 IW-BR661
フロントパネルの表裏。通気性を高める目的からほぼメッシュ仕様となるため、裏面には目の細かいフィルターが装着されていた。ただし着脱はできない
IW-BR661 IW-BR661
本体シャーシ側に取り付けられたプラスチックのBOX。ここにはフロントパネル部に装着されたIn Winロゴプレートの発光用LEDが3個埋め込まれている。電源供給は4pinペリフェラル。LEDカラーはブルーで、別途PowerLEDが搭載されているため、好みによって電源をカットしてしまう事も可能
IW-BR661 IW-BR661
インシュレーターは一般的な丸型。高さは実測値で10mm



フロントポートをチェックしてみる

 このモデルでは、フロントアクセスポートが3.5インチオープンベイ下に用意されている。左からヘッドフォン、マイク、USB2.0×2、そしてUSB3.0×1の順。USB3.0については現状背面引き回しタイプを採用。USB3.0ヘッダピンの規格が策定されるもう一世代先までは、マザーボードのリアUSB3.0端子から引き出すしか無い。ただし数ヶ月前から、各PCケースメーカーにはUSB3.0ヘッダピンの規格が“内密に”通達されているらしく、来年発売されるモデルからUSB2.0を扱うように、内部接続で使用できるようになるだろう。

IW-BR661
フロントポートは左からヘッドフォン、マイク、USB2.0×2、USB3.0×1が利用可能。その下には長方形のパワースイッチ、そしてその下の隙間にリセットスイッチが装備されている
IW-BR661 IW-BR661
フロントポート裏面にあるむき出しの基板。画像左端にある青色のケーブルはUSB3.0背面引き回し用 USBコネクタは2ポートなので1本のみ
IW-BR661 IW-BR661
Audio用コネクタはHD Audio/AC97両対応 マザーボードヘッダピン用コネクタ類。ごく一般的なものだが、POWER LEDは2pin/3pinの2種類が用意されている
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目くじらを立てるほど不便を感じる事はないものの、できればヘッダピンタイプが良いという声は多いUSB3.0。水冷ホース用穴と同じガスケットを付けた引き回し用穴を使い、マザーボードのUSB3.0ポートに接続する
IW-BR661 パワースイッチおよびリセットスイッチのユニット部。この手のタイプにはめずらしく、ストロークの短いプッシュスイッチが搭載されていた。なおLEDは左がパワー、右がHDDアクセス用。カラーはそれぞれ青とオレンジ

同梱品もチェックしておく

 近頃リリースされるPCケースでは、ギミックの数に比例し大量に付属品が同梱されている場合がある。自作経験のある人ならたいていの場合、いきなり組み込みを始めてしまうと思うが、一応付属品はチェックしておきたい。

 なお同梱品は予告無く変更される場合があるため、以下に掲げたものはテスト機材(現行流通品)付属のものである事を予めお断りしておく。また一部の表記は取り扱い説明書に準拠し、3.5インチHDDレールについては後ほど装着画像にてご紹介する。

IW-BR661 IW-BR661
同梱品はケース内部にワイヤーで固定されていた。この他マルチランゲージの取り扱い説明書が別袋で付属する 両面テープが付いたケーブルクランプは4個が付属する
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マザーボード用スペーサー(×2) インチネジ(×8)
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ミリネジ(×8) 3.5インチHDD用ネジ(×12)
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2.5インチHDD用ネジ(×6) 3.5インチHDD対衝撃スライドレール用インチネジ(×6)
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サイドパネルファン用取り付けネジ(×16) 手回しインチネジ(×4)
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IW-BR661
カラー写真豊富なマニュアルはマルチランゲージ。日本語表記もなされている。またこのモデルならではのギミックがあるため、裏面の組み立てガイドは一度目を通しておく事をお薦めしたい

次は「IW-BR661」内部をつぶさにチェックしてゆこう。組み込みやすさと使い勝手の良さが画像から読みとる事ができる


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IW-BR661
・外形寸法 W430×D196×H426mm
・素材 0.6mm SECC
・重量 5.72kg(ネット)/7.04kg(グロス)
・5.25インチ×1
・3.5インチベイ×1
(オープンベイ下部に2.5インチドライブ固定部×1を搭載)
・3.5インチシャドウベイ×2(シャドウベイと80mmファンを外すことで5インチベイx2に換装可能)
・拡張スロット×5
・電源 オプション(ATX12V / PS2)
・対応 MicroATX/Mini-ITX
・I/O USB3.0×1(マザーボード背面へ接続)/USB2.0×2/オーディオin/out
・ファン 140mm×2(トップ/フロント)/80mm×1(HDD)/90mm×1(リア)/120mm×4(オプション/サイドパネル)
・市場想定売価税込7,980円
・発売日:2010年8月中旬
メーカー製品情報
代理店製品情報(株式会社エムヴイケー)
 
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