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エルミタ的「一点突破」 CPUクーラー編 Vol.7 Antec「KUHLER-BOX」検証
エルミタ的「一点突破」 CPUクーラー編 Vol.7
Antec 「KUHLER-BOX」検証
2010年7月7日 19:45
TEXT:GDM編集部 松枝 清顕
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AntecはCPUクーラー市場に本格参入するのか?
第7回エルミタ的「一点突破」CPUクーラー編は、注目の新製品、Antec
「KUHLER-BOX」
を採り上げる。
ところでAntecと言えば、PCケースを真っ先に思い浮かべる人がほとんどではないだろうか。電源ユニットにも力を入れてはいるものの、やはり
「P180」
から始まった日本市場での一大“Antecブーム”は強烈なインパクトを残し、今日まで同社のブランドを深く浸透させた功績はあまりにも大きい。
そんなAntecが6月末、3種類のCPUクーラーを同時リリースした。国内正規代理店の株式会社リンクスインターナショナル(本社:東京都千代田区)扱いとなるそのモデルは、トップフローの
「KUHLER-SHELF」
、サイドフローの
「KUHLER-FLOW」
、そして今回のサイドフロー
「KUHLER-BOX」
となる。
同時に3モデルをリリースしたAntecは、果たしてCPUクーラー部門にも本格参入しようと目論んでいるのだろうか。ライバルメーカーの多い冷却パーツで生き残るには「P180」でAntecブームを巻き起こしたようなインパクトが必要になるだろう。それは成功者であるAntecが一番理解しているはずだ。
単なる新製品ではない今回のCPUクーラー3モデル同時リリース以降の動きには今後も注目しつつ、今回はその中でも最上位にあたる
「KUHLER-BOX」
を徹底検証して行きたい。なお他の2モデルについては、次回お届けする予定、乞うご期待。
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「KUHLER-BOX」外観をチェックしてみる。
φ6mm銅製ヒートパイプで構成されている。オーソドックスなスタイルを採用しつつ、ファンをサンドイッチ搭載させる事で、外観上の違いをアピール。さらにφ6mm×4本のヒートパイプはダイレクトタッチ式を採用し、ベース部のアルミニウムはそのまま小型ヒートシンクが一体成形されている。
実測値150×150×H190mmのパッケージ。中は2ピース構造のブリスターで、CPUクーラー本体が収められている
「KUHLER-BOX」全体像。かなり面積のあるヒートシンクに見えるが、センター部にファンが内蔵されているため、最大幅44mmのヒートシンク×2ブロックで構成されている
プラスチック製カバーには“Antec”のロゴが。側面アクリル窓付きケースなどを想定してのデザイン
「KUHLER-BOX」背面。ヒートパイプは放熱フィンのセンターライン上に貫通するオーソドックスなスタイル
押し出し小型ヒートシンク一体型のアルミ製ベース部。最大部高さは実測値で25mm、フィン枚数は13枚で構成。ファンレイアウトから、この部分に直接風が当たるわけではない
U字加工が施されたφ6mmヒートパイプ4本はダイレクトタッチ式を採用する。少々気になるのは、ベース部がフルフラットではない点。ヒートパイプとベース部に溝があり、これが冷却能力にどんな影響を及ぼすのだろうか
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センターレイアウトの120mmファンをチェックしてみる
「KUHLER-BOX」は、2ブロックで構成されたヒートシンク間に、オープンフレームタイプ120mmのPWMファンが内蔵されている。フレームレスを採用する事で360度方向に、より多くのエアフローを送り出そうとしている。
ただしひとつ懸念されるのは、ファンのマウント方法が特殊なため、スクェアフレームの汎用ファンに換装する事はできない。カスタマイズの余地がないCPUクーラーはこれに限らず市場で見受けられるものの、購入時は後々泣きを見ないよう留意しておきたい。
なお搭載ファンのメーカーおよび型番等の詳細はラベルが貼られていないため不明。スペックは700-2000rpmのPWM可変対応モデルである事のみが明らかにされている。
センターレイアウトのファンをチェックするにはプラスチック製のカバーを外す必要がある。ボトム部にあるネジを外し、さらにトップ部6箇所のネジを外す
カバーを外すと、ヒートシンクとオープンフレームファンが露わになる。ファンのマウント方法は独特で、片側は2本のネジを、もう一方はヒートシンクに引っかける事で固定されている
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ここは“落ち着いて”リテンションキットを確認しておく
同梱品のチェックをしてみよう。「KUHLER-BOX」は、久し振りにパーツ点数の多いモデルだった。
各々は画像で確認頂くとして、「一点突破」では再三指摘してるように、Intelの複雑なSocket毎の僅かなピッチ違いにより、CPUクーラーによってはこのようにたくさんの部品を用意しなければならない。繰り返しは極力避けたいが、不要なパーツがごっそり出てしまうようなSocket毎のピッチ変更は本当に止めてもらいたい。
Intelに注文を付けたところでCPUクーラー側にもひとつ指摘するならば、共通パーツを用意する工夫は欲しいところだ。これまで紹介してきたモデルの中には、
“Intel対策”
として部品点数を減らす努力がなされているものが多数存在している。確かにCPUクーラーの性能にはなんら影響は無いにせよ、実測値でCPUクーラー本体が816gに対し、同梱品が245gは少々バランスが悪いと言わざるを得ない。この辺りをみる限りにおいて、まだ発展途上のレベルと言わざるを得ず、Antecには早急にこの部分を脱出して頂きたいと思う。
非常に点数の多いリテンションキット。共通部品の採用等の工夫により、もう少し削減できなかったのだろううか
AMD用バックプレート。Socket AM3/AM2+/AM2共通穴を使用するAMDは好感度も高い
Intel LGA775専用のベースプレート
2連の穴が空けられているのはIntel LGA1366/1156共用ベースプレート。内側に「i5」、外側に「i7」の刻印がある
Intel LGA用ベースプレートの受け手となるプレートには、両面テープが付けられており、M/Bに貼り付けて作業する事ができる
こちらはAMD用のベースとなるプレート
バネネジはIntel用とAMD用の計2セットが同梱されている。違いは前者がミリネジ、後者がインチネジだが、こうする意味はあったのだろうか?
ミニレンチは、バネネジをねじ込む際に使用する
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大きな声では言えないが、グリスから読み取れる事
同梱品のひとつに注射器タイプのサーマルグリスがある。通常であれば大きな謳い文句になっていない限りただの紹介で終わる所、この製品に付属されているグリスには
「DYNATRON」
のロゴシールが貼られていた。
グリスにはDYNATRONのロゴが入っている。やや粘性のあるGray Pasteの内容量は0.8g
ご存じの方は少ないと思うので紹介すると、DYNATRONはアメリカ カリフォルニア州や台湾に拠点を置く冷却機器メーカーで、コンシューマ向けのみならずシステム向けのヒートシンクまでを手がけている。
興味津々、早速同梱グリスの詳細を調べるべく同社サイトに行ってみると「KUHLER-BOX」そっくりのモデルが掲載されていた。
「G950」という型番がそれに該当するモデルとなるが、詳細を見ると若干の違いは見受けられるものの、デザインはほぼ同様と言って良い。
どうやらAntecブランドのCPUクーラーOEM元がDYNATRONのようだが、このケースに限らず大手ブランドのPCパーツの多くは同様にOEM元が存在し、決して珍しい事ではない。
日本でもお馴染みのとある台湾メーカーの電源ユニットなどは、シリーズ事にOEM元に違いがある上、頑なにOEM元を明らかにする事を恐れる。独自ブランドを前面に押し出したい気持ちは理解できるのでこちらも開示は極力避けるようにしているが、ことAntecのCPUクーラーに関しては同梱品に堂々とメーカーロゴがある上、この件を代理店に確認したところ、お咎め無しの開示OKという返答を頂いている。
OEM元がどこであろうと、厳しい条件をクリアすべく改良が加えられ、独自の味付けがなされているモデルも多く見受けられる。要は
ユーザーが満足する製品であれば、なんら気にする事はない
だろう。
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LGA1156対応マザーボードに固定してみる
少々脱線したところで次に装着手順をご紹介しよう。同梱品は嫌というほどあるが、必要点数は少なく(逆に無駄が多いという事)、マザーボードへの固定は至って簡単な部類と言える。工程も決して複雑ではないが、ヒートシンクが大きいだけにバネネジがその下に隠れてしまう事で、場所によっては若干イライラするかもしれない。放熱フィンを曲げないようにゆっくり作業すれば数分ですべては完了してしまうので、ここは慌てず作業しよう。
LGA1366/1156用ベースプレートをヒートシンクに装着
受け側となるプレートをM/B背面に固定。両面テープが付いているので、作業中のポロリは無い
Intel用バネネジを順番にねじ込めば装着は完了。若干バネのストロークの影響からか、あまりテンションを感じずに最後までねじ込む事ができてしまった。ただし装着後の不安は無く、CPUへの密着にも問題は無いように思われる
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・サイズ:120(奥行)×130(幅)×150(高さ)mm
※ヒートパイプの突起部分を高さに含まれています
・ヒートパイプ材質:銅
・φ6mmm×4本
・ベース素材:アルミニウム
・フィン素材:アルミニウム
・定格電圧:12V
・ファンコネクタ:4ピン
・ファンサイズ:120mm
・ファン回転数:700-2000rpm
・ファン機能:PWM制御
・RHOS:適合
・対応ソケット:Intel LGA775/1366/1156
AMD Socket AM2/AM2+/AM3
・重量:815g
・保証2年間
・付属品:Intel LGA1366マウンティングキット、Intel LGA1156マウンティングキット、Intel LGA775マウンティングキット、AMD Socket AM2/AM2+/AM3マウンティングキット、ミニレンチ、リテンションマウント、CPUグリス
・市場想定売価税込5,000円前後
・発売日:2010年6月26日
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代理店製品情報
Vol.1 サイズ「夜叉」
Vol.2 Thermalright「Venomous X」
Vol.3 Thermaltake「Contac 29」
Vol.4 Thermaltake「Frio 冷却魂」
Vol.5 Intel「Core i7-980X Extreme Edition純正クーラー」
Vol.6 サイズ「忍者参」
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