「エルミタ的速攻撮って出しレビュー」
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エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.54 イマドキ水冷と空冷事情
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FF XIVオフィシャルベンチマーク実行時のCPU温度比較
ここからは今が旬の
「ファイナルファンタジーXIVオフィシャルベンチマーク」
を実行し、各々のCPU温度を計測する。
なお水冷の「H50」については、ラジエーターファンを推奨のケース内吸気およびイレギュラーのケース外排気、両者のテストも行っている。
「FF XIVオフィシャルベンチマーク」はご存じのようにグラフィックスカードに関わるベンチマークであり、CPUにはそれほどのストレスはかからない。
このテストでは、
最も冷えたのは水冷「H50」のケース内吸気(High実行時)の42℃
で、逆に
CPU温度が高いのは、空冷「CAFA70」のLow(1600rpm時)と、水冷「H50」のケース外排気のそれぞれLow実行時48℃
だった。最大と最小の差は6℃だが、この程度の“仕事”での性能差は両者共に拮抗している。ひとまず「FF XIV」は、安心して楽しむ事ができると言った所だろう。
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内排気/外排気比較 - VGAスロットからの熱比較 -
次に外排気仕様の2Slot占有VGAクーラーから排出される熱の温度比較を行ってみたい。
ここでも「FF XIVオフィシャルベンチマーク」を用い、グラフィックスカード排気スロットから1cm付近にサーミスタを固定(スロットには接触させず、浮いた状態)。水冷・空冷各々の環境におけるグラフィックスカードへの影響を知ろうという目論見だ。
ここで注目すべきは「H50」の“吸気ファン”によるグラフィックスカードへの影響度合い。推奨設定の吸気およびイレギュラーの排気、それぞれの結果に注目
ハイエンドクラスに多く採用されている、拡張スロット部を利用した外排気型2Slot占有VGAクーラー。ケース内部にGPUの熱を残さない事が大きなメリットである事は言うまでも無い
このテスト結果で重要なのは、またしても「H50」ラジエーターファンのエアフロー方向だ。
ストレスツール「OCCT 3.1.0」、および「FF XIVオフィシャルベンチマーク」実行時のいずれも、推奨されている
ケース内吸気がケース外排気よりも高い冷却性能を発揮する
事は分かっている。ただしこれはCPUに対する結果であり、ラジエーターから奪い取った熱がケース内部に吹き付けられるグラフィックスカードには想像通り、それなりの“反動”が表れている。
具体的に見ると、
Low設定で内吸気時49.2℃に対し外排気時44.1℃(-5.1℃)
、
High設定で内吸気時49.7℃に対し外排気時43.5℃(-6.2℃)
となり、グラフィックスカードから吐き出される
GPU排熱温度は5℃以上、上昇している
。
グラフィックスカードは恐らく「CPUクーラーの排熱処理はしっかりやって欲しい」と思っているはずだ
これをどう見るかは個々の判断に委ねるが、比較的高い冷却能力を誇る
空冷の「CAFA70」は「H50」のデフォルトケース内吸気と大きな差は無い
。つまり、空冷もトップ排気ファンやリア排気ファンに囲まれていながら、水冷と同等のGPU排出温度である事から、
特別に「H50」のケース内吸気設定が悪いとは言えない
。逆に、CPUの冷却能力を若干落とした場合の「H50」ケース外排気設定は、CPUの熱がケース内に影響を及ぼすこと無く外部へ排出されるため、グラフィックスカードにとっては理想的な状態になるというワケだ。
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FF XIVオフィシャルベンチマーク実行時のGPU温度比較
本来であればグラフィックスカードのレビューで行うテストだが、水冷「H50」のラジエーターファンのエアフロー方向の違いによる、GPU温度の変化も見てきたい。これは拡張スロットからの排熱温度比較に付随するもので、先ほどの結果から仮説を立てると、「H50」ケース外排気時が最もGPU温度が低くなるはずだ。
結果はご覧の通り、スロット排出熱温度が一番低かった「H50」ケース外排気設定時が70℃で僅差ながら最も良い結果となった。やはりグラフィックスカードにとっては、CPU冷却時の排出熱に影響が出る事が分かる。
なお参考までにアイドル時のGPU温度は46〜47℃で、各設定の違いによる大きな差は無かった。
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エアフローレイアウト別ケース内温度比較
空冷「A70」、水冷「H50」のベンチマークテストによるCPU温度およびGPU温度の変化を見てきたが、最後にケース内温度を比較しておこう。
ケース内温度は、一般的なデジタル温度計を使用。サーミスタは5.25インチベイとCPUの中間地点にワイヤーで固定し、その最高温度を計測した。各々のケース内温度結果は以下の表にまとめた通りだ。
各状況別のケース内温度比較
※FFは「ファイナルファンタジーXIVオフィシャルベンチマーク」(各設定)、高負荷は「OCCT 3.1.0」計測時
※「H50」の(排気)は外排気設定時、(吸気)はケース内吸気設定時
思ったよりもケース内温度は高くならない。CPUとGPUそれぞれに高負荷を掛けた状態でも32℃に届かず、ケース内部環境は良好と言えるだろう。
恐らくはテストに使用したAntec「DF-35」のエアフローが温度上昇を効率良く低めに保つ能力を備えているようだ。ちなみに「DF-35」の各ファンは最低回転設定としているため、これ以上のハイエンド構成でも難なく運用できる余力を残している。
なおこのテストで
一番良い結果だったのは「H50」のイレギュラー外排気設定の「FF XIVオフィシャルベンチマーク」(Low)実行時と「OCCT 3.1.0」実行時の30.3℃
。逆に
高かったのは「A70」1600rpm設定、「FF XIVオフィシャルベンチマーク」(Low)実行時の31.9℃
。その差は1.6℃と僅かで、何度計測してもほぼ同じ数字だった。
やはりこの結果から、「H50」イレギュラー外排気設定+グラフィックスカード外排気の組み合わせは、ケース内温度には非常に良い状況である事が分かる。「H50」外排気設定はCPU温度を若干上昇させてしまうが、その他構成パーツとの兼ね合いを考慮するならば、イレギュラーとは言え、簡単に諦めてしまうのは惜しい。
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総評 空冷か水冷か?悩み未だ尽きず
これまで多く語られた「水冷vs空冷」の構図は、ただ単に冷却能力の結果にスポットが当てられてきた。ただ単にこれだけを見るならば価格が安く、選択肢が多い上に手軽に換装でき、さらに高性能化により冷却能力も高い「空冷」がまだまだ有利と言えるだろう。しかしそれではつまらない。
これまで決め手がなかった水冷「H50」が何故これほどまでに売れたのかについては、そのテスト結果からも明らかであろう。「H50」の場合は、CPUソケット周りのスペースが広いため、トップ排気ファンが確実な仕事をしている。つまりグラフィックスカードをはじめ、PC構成パーツには都合が良い。さらにラジエーターファンのエアフロー方向を敢えて変える事で、熱源となるCPUとGPU両者共に外排気となり、極めて理想的な状態が構築できる事も分かった。
一方、空冷「A70」は、イマドキのサイドフローながら、φ8mmという太いヒートパイプをダイレクトタッチ式にする事で、熱移動能力の高さ、さらにデュアルファンによる素早い冷却を得意とし、オーバークロックユースにも十分対応できるだろう。
このように水冷「H50」は装着も容易な上、静かに仕事をこなし、販売実績から市場からの高い信頼性も獲得している。また空冷「A70」については、現在の主流であるサイドフロー型としての冷却能力が高く、「H50」とほぼ同等の冷却性能を備えていた。
結局「水冷」と「空冷」どちらが良いのか?その答えはやはり、使用するユーザー自身の判断に委ねるしかない。両者それぞれの優れた特性、さらに短所も知った上で好みを見つける事こそ自作の楽しみではないだろうか。
ただ今回のテストを通して感じたのは、
“水・空”いずれも確実に進化し、以前よりも短所が見つけにくくなっている
事だけは確かだ。悩みはまだまだ尽きない。
機材協力:株式会社リンクスインターナショナル
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・市場想定売価税込10,800円前後
・発売日:2009年10月10日
・
代理店製品情報
・市場想定売価税込7,980円前後
・発売日:2010年7月24日
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代理店製品情報
・市場想定売価税込5,980円前後
・発売日:2010年7月24日
・
代理店製品情報
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