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渡邉氏:
僕は日本の自作市場において、メモリに限らずですが“オーバークロック”という分野にはまだまだ伸びしろがあると思っているんです。メディアさんやメーカーもそうですが、そこまで手が回っていない感じがある。このあたりは、今回オリジナルブランドを立ち上げた大きな理由の一つでもありますね。ですので、初心者大歓迎といったら言い過ぎかもしれませんが、どんどんオーバークロックの世界に飛び込んで来てもらいたい。そのためのサポートはさせていただきます、ということですね。今回発売する製品のパッケージも、実はそういった意味も込めたでデザインになっているんですよ。
編集部:
あ、そうなんですか。実は先ほどから手に取りつつ、かなり気になっていました。
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OCMEMORYのセールスエンジニアという肩書きをもつ「MemoLin」。雰囲気は大人の女性ながら、なんとなくソリッドなイメージも漂わせる |
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渡邉氏:
ええ。ブランド共通のパッケージなんですが「あれ?このパッケージ、なんだかカッコいいな」とか、そんな理由でもよいのでオーバークロックに挑戦していただきたい。オーバークロックへの間口を広げて欲しいという願いも込めています。
編集部:
せっかくなので、もう少しパッケージについて聞かせてください。やはり気になるのが、メガネをかけたこの女性キャラクターなんですが。名前とかあるんでしょうか?
渡邉氏:
はい。名前は「MemoLin」といいます(笑)。Linは台湾っぽいというか・・・林さんのLinですね。デザインを描いていただいたのは、「初音ミク」を手掛けたイラストレーターのKEI(けい)さんです。今後は彼女がTwitterなんかでもアカウントをとって擬人的につぶやいてみる、といった活動も考えています。なのでキャラクターとしては、OCMEMORYのセールスエンジニアというポジションです。
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作者は「初音ミク」で知られるKEI氏というから驚き。OCMEMORY側の注文としては「大人のイメージ」だったそうで、完成後はイメージ通りのキャラクターで大満足とのこと |
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編集部:
え〜!それはまた驚きました。超有名ですもんね「初音ミク」。でも雰囲気的には少し違いますね。なにか要望など出されたんでしょうか?
渡邉氏:
服装もなんとなく近未来風といいますか、開発者をイメージした感じで。今回のキャラはKEIさんが普段描かれるキャラクターと比べると少し大人っぽいんですね。この点はある程度強調してお願いしました。結果的にはイメージ通りのキャラクターを描いていただき、非常に満足しています。
編集部:
やはり、こういったキャラクターを採用したというのは、ある程度初心者のユーザーも意識したということでしょうか?
渡邉氏:
ターゲットというより日本発の製品ですから、日本のCoolなアニメ、マンガの流れをくんだキャラクターを使いたいと思っていました。
この手の製品ですから、やはり軸足はハイエンドユーザー寄りにはなります。ヒートスプレッダを装着せずにあえて搭載チップを公開するのはハイエンドユーザーさんを意識した結果ですし。ただ、MemoLinのようなキャラクターをパッケージにあえて採用したというのは、初心者ユーザーへの間口を広げるアイデアといえるかもしれません。
|DDR3-2000スペックをきっちり回し切る
編集部:
う〜ん、なるほど。カッコいいお姉さんなので注目を呼びそうですね。
さて、そろそろ肝心のメモリについて、しっかり聞いておこうと思います(笑)。
実際に投入するモデルについて、まず今回発売されるのは「OCM32000CL9T-6GB」という2GB×3枚のトリプルチャンネルセットですね。「X58」チップセット専用モデルです。なぜ、このモデルになったのでしょうか?
渡邉氏:
オリジナルブランドの企画自体は結構前からありまして。実はMemoLinのデザインもだいぶ前から用意はしていました。そんな折に“B-die”がまとまって手に入るというチャンスがありまして、今回ようやく第1弾の製品を出すことになりました。
ELPIDAの“B-die”に関しては他社の“B-die”採用モデルを見ても分かる通り、相性問題も非常に少なく、安定して高クロックで動作します。ただし現在では入手困難という状況です。今回、限定発売にはなりますが、ユーザーのみなさんに提供できるようになりました。
ここで、改めて先ほどから出てくるELPIDA製DRAMの“B-die”について説明しておきたい。今回のOCMEMORY「OCM32000CL9T-6GB」が採用しているDRAMは、ELPIDA製「J1108BBSE-AE-F」という製品で、同社のカタログスペックではDDR3-1066動作CL7/電圧1.5Voltとなるものである。そもそも、“B-die”の「B」はDRAM型番の「J1108B『B』SE-AE-F」を指し、リビジョンを表す記号ということになる。
以下の写真を見てほしい。ご覧のように、同じELPIDA製DRAMでも、大まかだが世代順(開発順)に「J1108BASE-MNH-E」、「J1108BBSE-AE-F」、「J1108BDBG-DJ-F」、「J1108BFBG-DJ-F」となる。言い方を変えると“A-die”、“B-die”、“D-die”、“F-die”となるわけだ。
いずれもELPIDAが日々の開発による努力の結果、様々な変更が加えられているのである。ただ、ELPIDAはなにも高速動作のみを目的にDRAM生産を行っているわけではない。当たり前の話だが、生産効率の向上も常に迫られているのである。よって、目指したスペックを達成するDRAMを、歩留まりを上げて生産するべく、日々バージョンアップが行われていく。
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製造プロセス70nmの初代モデル。本来は型番が「J1108BASE-DJ-F」となるが、現行モデルではないため画像を用意することができなかった。よって同じ“A-die”でも、型番の後に続く“HYPER”の文字からも分かる通り、「ELPIDA HYPER」と呼ばれOCメモリ用DRAMを代表するチップとなった銅配線仕様モデル「J1108BASE-MNH-E」を用意した。素晴らしいOC性能を発揮する同DRAMだが、ELPIDAからすると、本来は低電圧から標準電圧(1.2V〜1.5V)までをワイドにカバーするワイドレンジDRAMとして開発された製品であった |
「J1108BASE-MNH-E」“A-die”
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“A-die”ベースにコスト削減を目指して65nmにシュリンクした改良モデル。偶然の産物と言ったらELPIDAには失礼だが、想像するに同社の意図とは良い意味で異なったモンスターDRAMが誕生したのではないか。想定以上の高速動作を実現する、まさに奇跡の配合だったと言える。市場では当時、競合他社に同クラスの高速DRAMがなかったということもあり、各メモリメーカーがこぞって採用する事態となった。それに加えてELPIDAが実際に生産していた期間が短かったため、現在でも希少価値があるDRAMとなったわけだ |
「J1108BBSE-AE-F」“B-die”
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その“B-die”をベースに、さらなるコストパフォーマンス向上を図って生産された“D-die”。現行のDRAMである。1Gb 65nm x4/x8/x16ハイブリット設計であった"B-die"をスタンダードタイプのx8bitに特化。それにより“B-die”よりさらにコンパクトかつシンプルにまとめた量産クラスのDRAMとなった。ダイサイズも“A-die”や“B-die”と比較すると一回り小さくっている。ただ、“B-die”で実現した奇跡の配合はもちろん崩れた。OC用メモリの採用DRAMとして現在でも数多くのメモリメーカーが採用するが、“B-die”での性能を再現するには至っていない |
「J1108BDBG-DJ-F」“D-die” |
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秋葉原でも2010年9月から採用メモリの販売が確認できた最新モデルが“F-die”である。特徴は明かになっていない部分が多いものの、“D-die”と同様に65nmプロセスながら50nmクラスを実現した「スーパーシュリンクタイプ」と呼ばれる。2010年後半から2011年前半にかけての主力製品となるだろう |
「JJ1108BFBG-DJ-F」“F-die” |
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