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編集部:
たしかに今になっての“B-die”は貴重ですね。それだけでも売れそうです。ただ、DR3-2000ということですが、ハッキリ言って「X58」環境でDDR3-2000トリプルチャンネル動作というのは、非常に難しいですよね?というか、普通の人にできるんでしょうか?
渡邉氏:
そうですね、他社さんもDDR3-2000スペックのモデルは出していますが、難しいですね。結局、CPU側もオーバークロックする必要がありますし。メモリ対比的にはDDR3-1866とDDR3-2133の間になっちゃいますから。ですからCPUをオーバークロックしつつ、DDR3-2000で使用するという方法を推奨するということになると思います。ただ安定して動かすには、やはりCPUの耐性にかなり左右されます。「Core i7-920」や「Core i7-930」では相当難しい。この辺については「なぜ難しいのか?」という点を、早い段階でウェブサイト等を通じて詳しく紹介していきたいと考えています。
編集部:
メモリ設定ガイドといったようなものが御社の製品に付属していたり、またはOCMEMORYのウェブサイトでも公開されていますが、あのような感じでしょうか?
渡邉氏:
いや、あれとは少し違いますね。「なぜDDR3-2000はちゃんと動いてくれないのか?」「どうすれば動くようになるのか?」というような部分ですね。まぁ実際はCPUになるわけです。
メモリのクロック耐性にかかわるCPUのUncore部のクロックと電圧が大きなポイントとなります。「Core i7-980X」は、Uncoreのクロックが下げられるので、メモリはハイクロックで動作しやすいのですが、このあたりはあまり知られていないのではないでしょうか。
今までDDR3-2000動作をうたうメモリは多数発売されていますが、トリプルチャンネルできっちり動かせている人はおそらくそんなにいないはずです。その辺は「P55」環境とはかなり違いますね。その難しさを逆に楽しんでもらいたいという思いも多分にあります。
編集部:
では、そういった手引きのようなものが製品やウェブサイトに用意され、かつ聞かれた場合ば、分かる範囲でお答えしますよということでいいですね?
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ウェブサイトでまずは確認。それでも分からなければ、OCMEMORYのサポートを利用するとよい。実際に製品をチェックした人間がサポートしてくれるはずだ |
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渡邉氏:
ええ、発売になるべく間に合うように準備したいと思います。また製品にも日本語の設定マニュアルが付属しています。初めてオーバークロック用メモリを使う方でも、なるべく安心して導入できるよう、国内人気の高いマザーボードの設定例も掲載しています。
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製品に添付されているOCMEMORY発行の「メモリ設定マニュアル」。メモリ設定の基本から、メーカー別主要マザーボードでの設定方法までが詳細に記載されている |
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編集部:
ではもう少し先のお話を。今後、第2弾製品の予定などは決まっていますか?
渡邉氏:
はい。予定としては4GB×3枚のトリプルチャンネルセットを考えています。どうしてもハイエンドユーザー向けとなると「X58」環境となりますね。大容量でハイパフォーマンンスを求めるユーザー向けの製品になります。
|本当にメーカーや代理店が責任を取れる保証体系とは?
編集部:
さて、こちらも重要なポイントかもしれません。保証についてです。メモリの保証規定というとなにかと話題になりやすいですが、今回「OCM32000CL9T-6GB」は1年保証ですね。なにか理由があるんでしょうか?
渡邉氏:
「永久保証」=「良いメモリ」という図式が、ユーザーには成立しやすいですよね。「永久保証って言うくらいなんだから、壊れないという自信があるんだろう。安心して使えそうだ」と思ってしまう。ハッキリ言ってそんなことはありません。メーカー側のマーケティング戦略にまんまとはまってしまっているのです。
品質は各メーカーのチェックのレベルに左右されます。チェックレベルの低いメーカーは「永久保証」であっても不良率は高いです。つまり「永久保証」でも品質が今ひとつな製品もあるのです。
もちろん“Life Time Warranty”という言葉を日本語にどう訳すかという、ニュアンス的な問題もあるとは思いますが。例えば製品がディスコン(製造/販売中止)になってしまえば、代わりの製品はないわけです。
ICチップメーカーは、それほど長い期間同じチップを作りませんから、どんどん新しいチップになっていきます。オーバークロックメモリにおいては、1ヶ月もすれば同じICチップのものは手に入らなくなることさえあります。となると、そもそも永久保証とは何なのか?ということですね。
今回、発売する「OCM32000CL9T-6GB」ですが、ある程度の予備は確保しています。といっても生産が終了しているチップなので数に限りはありますが。仮に不良があった場合には、交換させていただきますし、今回製造を依頼した工場でも可能であれば修理することになっています。1年は、同じICチップの同じ性能のものを用意したい。逆にいえば、この手の製品では1年ぐらいが妥当な期間だろうと考えています。
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自作パーツ市場においてのメモリ保証問題は混とんとしている。メーカーや代理店によってまちまちとなるのはざらで、非常に分かりにくくかつ利用しにくいのが現状だ。今回、オリジナルブランドだからこそできる責任ある保証は製品本体のクオリティとは別に、もうひとつの大きなアピール要素であるのは間違いない |
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編集部:
なるほど。この問題については、そのうちエルミタ的特集など組む必要があるかもしれませんね(笑)。根が深い問題ですし、各ショップのサポート担当者を悩ませている問題でもあります。では「永久保証」に対するアンチテーゼと言ったら言い過ぎでしょうか、とにかく保証は1年であると。
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実際の検証の様子。発売を控えて、最後のチェックに追われれいた。このように1セットずつ時間をかけて検証作業は進められていく |
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渡邉氏:
「OCM32000CL9T-6GB」について言えば、かなり厳重なチェックをしています。初期段階でのエイジングも施してありますので、品質には自信はありますね。あとは我々が、このスペックで動作させるための方法や知識をいかにユーザーの方にひろめてゆくかだと思います。
編集部:
なるほど、よく分かりました。まずは「OCM32000CL9T-6GB」の発売を楽しみにしています。本日はありがとうございました。
|ようやく登場した日本人ユーザーのためのOCブランドメモリ
アントラック社。いや渡邉氏を中心にOCMEMORYというブランドを作った男たちは、今までも、そしてこれからも日本のオーバークロックユーザーを支え、牽引していく存在だ。そんなOCMEMORYがようやく動いた。日本人ユーザーのためのオーバークロックブランドメモリのプロデュースには、彼ら以上に適した集団はないはずだ。
第1弾製品となる「OCM32000CL9T-6GB」は、今や手に入れることが難しくなったELPIDA製DRAMの“B-die”をさらに厳選。メーカーチェック後、国内でさらに1セットずつ全て手作業でOCMEMORYが自ら検証を行ったという安心感は、到底他のブランドでは出せない大きなセールポイントとなる。
渡邉氏は最後に「今まで半信半疑でDDR3-2000動作のメモリを購入していたような方や、どうせ動かないからスピードを落として使おうなどというユーザーさんには、是非『OCM32000CL9T-6GB』を使ってみてくださいと言いたい」と自信のほどを語った。今後のラインナップからも目が離せないが、まずは日本中に散らばるオーバークロックユーザーのみなさん。君たちのために用意されたブランドの記念すべき第1弾製品だ。やはり試してみる価値はあるのではないだろうか。 |
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