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エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.58
Cooler Masterが本腰を入れた電源ユニット
Silent Pro Goldシリーズ検証 |
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2010年11月19日 22:47
TEXT:GDM編集部 松枝 清顕 |
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今回の「エルミタ的速攻撮って出しレビュー」は、PCパーツ業界の大手メーカー、Cooler Masterの電源ユニットをお届けしよう。
社名からも分かるとおり、同社は冷却機器を本来得意とするが、現在はPCケースが代名詞的なカテゴリとして、自作市場を牽引している。そんなPCケースにもっとも深い関係にあるのが、電源ユニットだ。そこで今回は、PCケースだけでは飽きたらず、電源ユニットカテゴリでも攻勢をかけるCooler Masterの旗頭、80PLUS GOLD認証を取得した「Silent Pro Goldシリーズ」をチェックしたい。 |
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日本国内では10月上旬から販売がスタートした「Silent Pro Goldシリーズ」。なかなか売り上げも好調で、ユーザーからの評判も良いと聞く。なお全モデルのパッケージには製品の特徴を画像で解説した日本語ステッカーが貼られている |
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|Cooler Masterが贈る、“本気”の電源ユニット
冒頭触れたように、Cooler Masterが現在最も得意とするPCケースについては誰もが疑う事無く、同カテゴリで高いシェア率を誇っている。そのほとんどは電源ユニットがオプション扱いとされ、ユーザーは自由に選択する余地が残されているわけだが、メーカーの立場からすれば、同一ブランドの電源ユニットを搭載させて欲しいと考えているはずだ。しかし、当然の事ながらそう思惑通りには行かない。
とは言うものの少しでもその理想に近付けたいと、あれこれ試行錯誤している状況が続いていたCooler Masterだが、10月上旬に国内市場にリリースされた「Silent Pro Goldシリーズ」は、かなり本気なモデルと言えそうだ。
今回の主役となる「Silent Pro Goldシリーズ」は、そのシリーズ名が表す通り、80PLUS GOLD認証を取得したハイエンドユーザー向け電源ユニットで、市場想定売価も20,000円台から35,000円前後まで、決して誰もが手を出せる製品とは言い難い。しかし電源ユニットはPCにとって非常に重要な構成部品であり、ただ単に価格だけで製品選びをすると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性がある。Cooler Masterが贈る80PLUS GOLD認証電源には、PCを継続的に安定して稼働させたいニーズに応えたモデルである事を細かくチェックしてみよういというのが、本稿の主旨となっている。
|各モデルのスペックをチェックする
今回のレビューに先立ち、Cooler Masterから国内で販売されている1200W、800W、600Wの3モデルを借り受けた。実はこの3容量の他に、700W、900W、1000Wの3モデルが存在し、合計6モデルが「Silent Pro Goldシリーズ」としてラインナップされている。
日本市場で入手できるのは前述3モデルだが、国内ユーザーにとって最適であろう容量にターゲットが絞られた妥当なラインではないだろうか。敢えて挙げるならば1000Wがあっても良いかと思うワケだが、価格とのバランスもあるのではないだろうか。しかしながら現在の3容量で十分と言えるだろう。
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日本国内市場に用意されたのは1200W、800W、600Wの3種類 |
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|高変換効率「80PLUS GOLD認証」と+12V 1系統仕様
CPUが頭脳であるならば、電源ユニットはさしずめ心臓と言ったところだろうか。いずれも重要である事は言うまでもないが、こと電源ユニットは、PCを構成する基本パーツ全てに接続され、ここにトラブルが発生すると起動ができなくなるだけでなく、最悪パーツを破壊してしまうだけの“威力”を携えている。よほどの事が無い限り、それほどの粗悪品は市場から排除されていると思われるが、ことハイスペックな構成では、安定した出力が要求され、単なる数字上の高出力・大容量だけでは、判断が付きにくく、製品の善し悪しが分かりにくい。このようにハイスペック構成を安定的に稼働させたいならば、事前に電源ユニットを選ぶポイントは押さえておくべきだろう。
「Silent Pro Goldシリーズ」は、そのモデル名が表すとおり、コンシューマ向けでは最上位となる80PLUS GOLD認証が取得されている。ご存じのように、80PLUS GOLDは非常に高いハードルが設けられており、高変換効率を実現するために独自テクノロジーやワンランク上位の構成部品を組み合わせる必要がある。ではここでメーカーから開示されている「Silent Pro Goldシリーズ」3機種の変換特性グラフをチェックしておこう。
このように80PLUS GOLDのハードルである負荷率20%時で87%以上、50%時で90%以上、100%で87%以上がすべてクリアされている事が分かる。次に少々見づらいかもしれないが、3機種の変換特性を1つのグラフにまとめたものを用意してみた。
■3機種の変換特性
個別に見るよりも一目瞭然だが、1200/800/600Wの3機種中、グラフ上で最も優れていると言えるのは800Wである事が分かる。ただし、その他2モデルが劣っているという解釈は間違いで、1200Wも600Wもひとランク下の80PLUS SILVER(それぞれ85%/88%/85%)の基準と比較すれば、かなり高効率であると言えるのだ。
高効率、80PLUS GOLD再確認
Ecos Consulting社の80PLUSプログラムについては、すでに電源ユニットにまつわる製品紹介やレビューでたくさん取り上げられているため、深く触れる必要はないだろう。
策定されたプログラムの認証には、かなり高額な費用が発生する事から、全てのモデルでライセンスが取得されているわけではない。そのため、80PLUS認証が無いモデルだからといって、性能(変換効率)が劣っていると決めつける事はできない。
とは言うものの、電源ユニットの性能を推し量るには公的な指標となっており、製品選びの手助けとなるだけでなく、メーカー側(製造メーカー)が、それに合わせた効率の良い製品を提供しようという動きが活性された事はユーザーにとって高いメリットと言えるだろう。
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20% |
50% |
100% |
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80PLUS |
80% |
80% |
80% |
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80PLUS BRONZE |
82% |
85% |
82% |
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80PLUS SILVER |
85% |
88% |
85% |
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80PLUS GOLD |
87% |
90% |
87% |
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「Silent Pro Goldシリーズ」は、80PLUSプログラムの中で、コンシューマ向け最上位となる高変換効率を実現。電気的ロスが軽減されることで低発熱化し、構成部品へのダメージおよび劣化スピードを遅らせることで、さらに低回転数のファンが搭載でき、静音化にもつながっているというワケだ。 |
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さて、このチャプターの最後に「+12V」出力について触れておきたい。「Silent Pro Goldシリーズは、全モデル+12Vが1系統となっているが、最近リリースされる高出力ユース向け(ゲーマー向け)電源ユニットの多くがこれを採用している。
説明するまでもなく、「+12V」はCPUやグラフィックスカード、ストレージ等、PCを構成する主要パーツに供給される重要な出力。近年CPU以上の消費電力が要求されるハイエンドグラフィックスカードを複数搭載し、安定稼働させたい場合には当然「+12V」に高いスペックが必要となってくるわけだ。
「+12V」が複数系統から1系統化されている背景には、現在の構成パーツ事情が顕著に読みとれる点とも言えるが、今後CPUのTDPやグラフィックスカードの消費電力に改良が重ねられれば、また「+12V」複数系統の電源ユニットが幅を利かす状況になるかもしれない。
ちなみに非力な電源ユニットでハイエンド構成が動かないというワケではない。しかし100km/hしか出ない自動車を高速道路で常時フルスロットル巡航させた場合と180km/h出る自動車で100km/h巡航させた場合を比べると、機械への物理的ダメージや寿命にどう影響するかは想像に難くないだろう。電源ユニットもそれと同じ事が言えるのだ。
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・型番:RS-C00-80GA-D3
・外形寸法 W150×D180×H86mm
・メーカー製品情報 |
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・型番:RS-800-80GA-D3
・外形寸法 W150×D160×H86mm
・メーカー製品情報 |
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・型番:RS-600-80GA-D3
・外形寸法 W150×D160×H86mm
・メーカー製品情報 |
Chapter.1
・「Silent Pro Gold」3機種スペックをチェックする |
Chapter.2
・「Silent Pro Gold」パッケージ、外観、フラットモジュラーケーブルをチェックする |
Chapter.3
・「Silent Pro Gold」エアフロー、内部構成パーツ(1200W)をくまなくチェックする |
Chapter.4
・「Silent Pro Gold」内部構成パーツ(800/600W)と総括 |
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