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|Mini-ITXならではの組込み注意ポイント
Mini-ITXケースは内部容積が狭く、さまざまな制約があるのは仕方がない。初めてMini-ITXの組み込みにチャレンジする場合、やはりケーブルの取り回しには若干苦労する事があるだろう。うまく配線できても結束を怠るとCPUクーラーのファンに当たるなど、思わぬトラブルの原因にもなりかねない。
「SST-SG07Bシリーズ」では、ケーブルが避けられるスペースが側面等に用意されており、冒頭紹介した外装パッケージの記載にもあるように、説明書を見ながら順を追って組み込めばそれほど心配はいらないだろう。ただし1点、思わぬ事態が起きたので念のためご紹介しておきたい。
その“思わぬ事態”とは、薄型光学ドライブに接続するSATAケーブルの取り扱いだ。
テストにはSATAインターフェイスタイプの薄型光学ドライブを用意したが、ご存じのようにSATAデータおよび電源ケーブルはスリムライン(データ7pin+電源用6pin)SATAコネクタを接続する事になる。これはケース側に同梱されていないため、汎用スリムラインSATAコネクタを用意したが、薄型光学ドライブのSATAインターフェイスと180mmファン「Air Penetrator」の間隔が狭く、そのままではファンが固定できなかった。
これを回避するには、事前にSATAデータおよび電源ケーブルを極端に90度近くまで折り曲げてやる必要がある。
コネクタのボディ部が短い汎用品を探してはみたものの、そもそも選択肢が少なく、L字タイプという製品も見当たらない。データケーブルを折り曲げる作業は若干気が引けるものの、注意して作業をすれば難なくケーブルを逃がしてやる事ができる。
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薄型光学ドライブベイにスリムラインSATAケーブルを装着 |
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180mmファンにSATAケーブルが思い切り干渉してしまった。薄型光学ドライブと180mmファンの間隔が狭く、このままではファンが固定できない |
接続のコツとしては、薄型光学ドライブ接続前に、SATAケーブル2本を90度折り曲げておく。一気にテンションをかけると断線やコネクタ破損の恐れがあるので、徐々に癖をつけてあげたい |
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無事接続完了。180mmファンも固定できるようになった。限られたスペース内で設計されるMini-ITXでは“ありがち”なパターン。ここはひとつ慌てずに対処したい |
|Mini-ITXと言えばやっぱりAtomで組んでみた
ハイパフォーマンス構成の後は、Intel Atom D510オンボードのNM10 ExpressマザーボードGIGABYTE「GA-D510UD」を使って、一般的なMini-ITX PCも組んでみた。
TDP15WのDualCore Atom D510にとって、80PLUS BRONZE認証600W電源ユニット搭載「SST-SG07Bシリーズ」はかなりオーバースペックとなるが、高エアフロー環境を作り出すケースでの使用、特にファンレスモデルを選ぶ場合は安心して常時稼働ができるだろう。このような用途で使用するのも決して悪くない。
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Mini-ITXの代表格、Intel Atom搭載マザー「GA-D510UD」でも組み込みを行った。マザーの立場から見るならば180mmファンの高エアフロー環境下はかなり“居心地がよい”はずだ |
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180mmファンを外した状態で上から見たところ。ちなみにファンは背面に立てかけてあるだけで、決して背面ファンではない |
真っ当にAtomで組むもよし。だが、、、
今回、Radeon HD 5870構成の後にAtomで組み込みを行ったが、ハイエンド後のローエンドというギャップから、やや大振りなATXケースにMicroATXを組み込んだような気分だった。
「SST-SG07Bシリーズ」は、その内部レイアウトからマザーボード面積上のスペースに遮るものが無いため、シンプルなAtomマザーを組み込んだ場合、想像よりも広く感じる事ができるだろう。
マザーボードから見れば、空間がある事に不都合は無い。Atom搭載Mini-ITXマザーボードでは、ファンレスタイプも存在するため、トップ面に180mmファンを搭載する高エアフローケース「SST-SG07Bシリーズ」は最良な選択肢となるだろう。
ただし拡張性が低いAtom搭載Mini-ITXマザーボードでは、どう頑張っても600W電源ユニットは持て余してしまう事になる。本当のところを言えば、やはり価格との兼ね合いも考慮し、省スペースハイエンドPC構成でそのポテンシャルを存分に楽しみたい所かもしれない。 |
|ケース内部温度を測ってみよう
Radeon HD 5870構成とAtomのシンプル構成の2タイプを実際に組み込んでみたところで、稼働時の温度を計測してみたい。
特にCube型ケースにハイエンドクラスのグラフィックスカードを搭載させる場合、やはり内部温度が高温になってしまう懸念がつきまとう。カードスペースを用意し、ただ搭載できるだけでは、さすがにそれを特徴として認めるワケには行かないだろう。
今回行った温度計測は、ケース内温度に注目して見ることにした。「SST-SG07Bシリーズ」では、180mm口径「Air Penetrator」ファンが搭載され、さらにグラフィックスカードはサイドパネルの通気孔から外気を吸気し、スロット部から排出する“自己完結型”が採用されている。これらの工夫により、ハイエンドクラスのグラフィックスカード搭載時の高負荷環境で、内部温度はどれほど上昇するのだろう。
というわけで、Radeon HD 5870構成時では「3DMark06」を30分間走らせてた時点での最高温度を、Atom D510のシンプル構成時では「OCCT 3.1.0」で100%負荷状態30分間継続時点での最高温度をそれぞれ計測してみる事にしよう。なお温度の計測には、温度センサー付きの小型汎用温度計を用意。温度センサーはケース内中心部に据え置く方法を採っている。
|Radeon HD 5870のスロット外排気部も測ってみた
次にRadeon HD 5870の拡張スロット部に設けられた外排気孔部の温度を計測してみた。計測には同じく温度センサー付きの小型汎用温度計を用い、温度センサー部を排気孔から約1cmの距離まで近づけた箇所を計測ポイントとしている。
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GIGABYTE「GV-R587D51GD-B」の外排気スロット部の通気孔付近(1cm距離)での温度計測を行ってみた |
■省スペースでありながら、良好なケース内温度
Radeon HD 5870構成でグラフィックスカードとCPUに対して負荷状態を作り、ケース内温度を計測したところご覧のような結果となった。正直拍子抜けとも言えるほど想像以上に良好な温度状態が保たれているのは、やはり180mmファンの強力なエアフローが功を奏していると言えるだろう。
高静圧ファンでマザーボード全体に風を当て、内部「正圧状態」により通気孔から一気に熱を排出させる構造。熱源は常に風の通り道にあり、その循環により“温度が上昇する暇を与えない”状態が作り出されているというわけだ。
このケースのような内部容積が狭いモデルでも、エアフローレイアウトにより大型デスクトップPCケースに匹敵する排熱状態が実現できる事を見事に証明している。
ちなみにAtom構成では解説するまでもなく、アイドル時/高負荷時いずれも温度変化は誤差の範囲程度の違いなので、当然ながらファンの回転数は風切り音の少ない(L)設定で十分にまかなう事ができてしまう。 |
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