2018.04.11 00:00 更新
ガジェットライフにどっぷりハマる、ギークな野郎は毎日何を考えている?「ギークの殿堂」でお馴染みなアノ人が、スマホやデバイスのアレコレから、業界事情やオトクな契約プランに至るまでを徒然に語る。今回のテーマは、マニアも納得の完成度に仕上がった「Galaxy S9+」をレビューするぞ。
よく色んな方に「何のスマホ使っているんですか?」と聞かれるのだが、私はGalaxyが大好きで人二倍(?)くらい様々なモデルを利用してきた。Edgeディスプレイをいち早く取り入れたり、VRを3年も前から対応させたり。そうした新しい技術を積極的に取り入れる姿勢を何より魅力的に感じている。
試験的に導入されたと言われる「GALAXY Note Edge」の野心的なEdgeディスプレイ。その後スタンダードになり、さらに両面に拡大することになる | なんと3年も前から本格的な360°のVRに対応していた「GALAXY S6」 |
スマートウォッチも黎明期から何度もリリース。こちらはLTE対応版も発売された「Gear S3」 |
そんなマニアの私が違和感を覚えたのが、昨年モデルの「Galaxy S8」。デザインを中心によくも悪くも仕様が変わりすぎて、長年のファンとしてはどこか釈然としなかった。大ヒットした製品に違いはないけれど、その違和感は拭い去れず。正直なところ、ここ一年Galaxyから離れていた。
そんなワケで、「今回はスルーしようかな」くらいに思っていた「Galaxy S9+」。うっかりバイヤー林の羅針盤に導かれて、気が付いたら手に持っていた!しかもその完成度たるや、「S8」とはいったい何だったのかというくらい、完成形に近づいている。ややマニア寄りの視点ながら、長年のファンも納得するであろう「S9+」の一面についてお話したい。
やだ、うっかり買っちゃったじゃない!と、(毎度お馴染み)ほぼ衝動買い同然に手に入れた「Galaxy S9+」。見た目は「S8」とほぼ同じだが、完成度は段違いだった!? |
まずポイントとして挙げたいのが「指紋認証」だ。「GALAXY S6」から始まった物理キー兼用の“Galaxy式”指紋認証センサーは、ひょっとしてiPhoneよりも面積が広いのでは!?と思うくらい押下しやすく、以前からすでに完成の域にあった。
ホームボタン一体型の指紋認証センサーを搭載してきた、歴代のGalaxy。2017年のドコモ向けモデル「Galaxy Feel SC-04J」では、指を置くだけで即解除できるなど、使い勝手はそれまで以上に向上していた |
「S8」で不評だった、指紋認証センサーの位置。「S9」ではその反省を踏まえ、カメラ直下の押しやすい位置に移動している。これがデカい |
それが「S8」では、指紋センサーが背面の、しかもカメラの横という中途半端な位置へ移動してしまい、指の当たり具合から認証に失敗するシーンが増えてしまった。ところが「S9」では、センサーがメインカメラ直下に移動されたおかげで、非常に把握しやすく押しやすい。ケースを着ければ凹みができるため、さらにセンサーを意識しやすくなりグッド。認証もまさに一瞬、このロック解除の速さこそGalaxyだ。
ちなみに顔と虹彩を合わせた「Intelligent Scan」という新しい認証が追加されてはいるのだが、正確さやスピードでは指紋認証に軍配。やはり現時点では、指紋認証に勝る認証は存在しないのではないだろうか。
「Galaxy S9」シリーズに搭載された、新しい生体認証の「Intelligent Scan」。顔と虹彩認証を組み合わせて信頼性を向上させたが、まだまだ指紋認証の方が使いやすい |
もう一つの巨大なセールスポイントが、圧倒的なカメラ性能だ。「Galaxy Note8」と同様に「S9+」はポートレート撮影に対応しているのだが、この完成度がお見事。「iPhone 8 Plus」や「Note8」より背景ぼかしが自然に調整できている。
私も世間並みに上野公園に桜を見に行った時、そこで「S9+」でパシャリとやって大感激!とてもスマホだけで撮影・加工・調整したとは(そして何より自分で撮影したとは)思えない、キレイな写真が出来上がってしまった。これまでは「スマホがあればデジカメ不要」と言われていたけれど、もう「スマホがあれば高級コンデジは要らない」くらいの時代が来てしまうかもしれない。
高級コンデジクラスも不要になるかも?絞りの可変機能やスーパースローモーション撮影機能などを盛り込んだ、優れたデュアルカメラ(「S9」はシングル)を搭載している |
それ以外にも、自撮りした写真をアバターにしてくれるAR機能「AR Emoji」もあり、これがなかなか面白い。いるかいらないかは賛否両論あるにせよ、「ネットに顔出しNGだけどアバターならいいかな」という人にはピッタリ。HPやSNSのプロフィールに貼れたりと、実用性も高い。そして同機種だけでしか送受信できないというiPhoneっぽい縛りもなく、GIF形式のアニメメッセージで共有できてしまうのも評価ポイントだろう。
「S9」世代のカメラ機能に追加された、「AR Emoji」なる新機能。ユーザーを撮影してアバター化してくれる |
もちろん「Galaxy S9+」の見どころは、それだけではない。スピーカーがステレオになったり、「Galaxy S7 edge」と比べて2倍高速というAntutuベンチ26万点オーバーのプロセッサを積んでいたりと、ほぼ「S8+」ママな外観からは分からない、大きな変更点がある。最近どのメーカーでも廃止される傾向にある、3.5mmイヤホンジャックが残っている点も注目だ。
一見するとマイナーチェンジしただけに見える「S9+」。ところが「S8」世代に比べて、長年のファンを納得させる、素晴らしい仕上がりになっていた。Huaweiの台頭が著しい昨今のスマホ市場にあって、「Galaxy健在」を堂々とアピールする1台。次にとんでもない端末と出会うまで、立派にメインを張ってくれそうな気がする。
文: 太田 文浩(イオシス アキバ中央通店)