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 「エルミタ的速攻撮って出しレビュー」番外編
 Home >エルミタ的「一点突破」 PCケース編 Vol.4 ドスパラセレクト「DP-2012」検証
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エアフローレイアウトと搭載ファンチェック

 PCケースとしての見せ所、お次はファンレイアウトをチェックしてみたい。とは言え「DP-2012」の標準搭載ファンは至ってシンプル。近頃では驚くことも無くなった200mmクラスの大口径ファンが搭載されているワケでもなく、前後120mmファンが各1基搭載されているのみ。
 フロント吸気120mmファンはBlueLEDが内蔵された静音ファンで、型番を確認してみたところ「RGS12025LL」とあり、あまり見慣れない文字列が並んでいた。「LL」とあるだけに、さぞ低速で静音仕様だろうとBIOS読みで回転数を確認すると、1000rpm前後だった。実際に耳を傾けると風切り音も無く、非常に静かなファンである事が分かる。
 一方リア排気ファンはLED無しのシンプルな120mmファンで、こちらもBIOS読みで1000rpm前後を指す。動作音も静かで申し分無く、それなりに風量もあった。ちなみにリアファンはShenzhen Ambition Technology(中国)社製「AMBITION AV12025」で、ケース内部側にはケーブル巻き込み防止用のファンガードが装着されていた。

 ゲーミングPCケースを謳うだけに、搭載されるパーツはハイエンド構成が見越されており、トップ部には排気用120/140mmファン2基分の搭載スペースが用意され、任意で増設する事ができる。ここを非搭載とした理由は定かではないものの、おそらく140mmクラス2基でも10ドル以下で搭載できるはず。良い方に解釈すれば、そもそもここにファンを必要としないユーザーの意見までさかのぼり、好みのファンを選んで欲しいといったメッセージが込められているのかもしれない。また細かい事を言えば、増設ファン用のテーパーネジ(ブラック塗装)は1基分(4本)しか同梱されていないため、搭載する場合は事前に用意が必要となる。

DP-2012 DP-2012
フロントBlueLEDファンの型番は聞き慣れない「RGS12025LL」。型番から推測すると、120mm口径25mm厚で、LLは低速回転を意味しているものと思われる
DP-2012 DP-2012
ブラウンスケルトンのインペラを採用する事で渦巻き状に発光するフロントLEDファン。見た目にも涼しげ 給電はホットスワップベイ基板の3pinコネクタからという少々珍しい方法が採用されていた
DP-2012 DP-2012
リアファンは中国・Shenzhen Ambition Technology社製「AMBITION AV12025」。ケーブル巻き込み防止用のファンガードが装着されている トップファンはオプション扱い。120mmまたは140mmファンを2基追加可能で、ラジエーターを搭載させる事もできるだろう
DP-2012
上から見た120/140mmファン2基分の搭載スペース。天版は大きくくりぬかれ、両側面を曲げた上でファン搭載用の糊代が作られている
DP-2012
オプションのトップファンを搭載させてみたところ。いかにもCPU周辺の排熱処理は万全といった印象。今回は手持ちの120mmファンをチョイスしたが、より低速・低騒音の140mmファンを組み合わせても良いだろう。ここまでくれば、人気モデルが集中する15,000円台のミドルタワーと遜色ない
DP-2012
フロント120mm吸気ファンとストレージドライブのエアフロー関係がよくわかるショット。直接的にカバーされているのは2.5インチ×4と3.5インチ×2の計6台で、3.5インチホットスワップベイは蚊帳の外
DP-2012
マザーボード各フォームファクタとエアフローの関係。トップ排気ファンはオプションなため、「DP-2012」出荷時は前後各1基での冷却という事になる。こう見ると非常にシンプルな構成である事が分かる

トップファン搭載部の剛性とスチールの厚み

DP-2012
構造上、どうしても弱くなってしまう“切りっぱなし”部。スチール素材の場合、0.8mmでも物足りない。これ以上を望むならステンレスしかないだろう。さすがにそれはやりすぎ
 このモデルの主たる素材はSECC(電気亜鉛メッキ鋼板)が使われている。シャーシ剛性を見極めるために、上からフレームを押しつけながら前後左右に揺らしてみると、不安材料は見あたらない。パーツを組み込めばさらに剛性は増すだろう。この点については合格点だが、ひとつ気になったのがトップファン増設部だ。本体シャーシからの曲げ加工によりファン装着用の糊代にネジ穴が用意されているのだが、テーパーネジでファンを締め付ける際にややふにゃふにゃした感があった。どうしても弱い部分となってしまうため致し方ないが、思った以上にファンへのネジ締め付け作業はテンションが掛かるため若干注意が必要だ。ただしこの部分はトップカバーで覆われてしまうため、使用時において気にする事はない。ちなみにデジタルノギスで素材厚を計測したところ0.8mmであった。つまり一般的なスチール素材が使われているというワケだ。



ファンレイアウトの違いによる温度テスト

 ここからは実際にシステムを組み込んだところで、CPU温度およびケース内温度を計測してみることにする。 テスト機材は従来通り、一般的な構成でストレスツール「OCCT 3.1.0」を20分間稼働させた場合のCPU温度と騒音値を計測している。
 なお「DP-2012」ではこれを2パターンでテスト。ひとつは前後120mmファンのみのデフォルト仕様、もうひとつはトップ部に120mm排気ファン2基を増設させた場合で、使用ファンはドスパラ秋葉原本店で購入した
NEXTWAVE「RDL1225S」(120×120×25mm/1200rpm/21dBA/流体軸受け/売価税込480円)。恐らく最安値クラスの汎用ケースファンで、ブルースケルトンボディ・非発光モデルとなる。(そもそも「DP-2012」はドスパラセレクトだけに、抜かりはない)

検証使用機材
CPU
Intel「Core i5-750」 Lynnfield
(2.66GHz/TB時最大3.20GHz/TDP95W)
マザーボード
GIGABYTE「P55A-UD3」
(Intel P55チップセット/ATX)
メモリ
OCZ「OCZ3P1333LV4GK」
(1333MHz/PC3-10666/CL 7-7-7-20/1.65V)
HDD
Western Digital Caviar Grenn
「WD10EARS」(1TB SATA3Gbps)
グラフィックスカード
ASUSTeK「ENGTX260/HTDI/896M」
(NVIDIA GeForce GTX260 SP216)
OS
Windows 7 Ultimate 64bit
騒音計
TM-102(国際規格IEC651 TYPE2適合)

計測日:2010年12月4日 室内温度20.9℃
騒音値:37.5dBA(フロントパネルから30cm地点)
DP-2012 DP-2012
【標準ファン稼働時(前後120mmのみ)】
CPU1:min 25℃/max 63℃
【トップ120mmファン2基増設時】
CPU2:min 27℃/max 65℃

 まず騒音値については、29.8dBAの室内で37.5dBAとなり、これは非常に静かな範囲の数値といえる。ちなみにファンを2基増設したところで、フロントパネルから30cmの距離では騒音計は反応しない。恐らくはファンそのものの動作音よりもグラフィックスカードのファンやCPUクーラーからの音が勝るため、良い意味でこれに負けているものと思われる。
 次にケース内温度は、室内温度20.9℃に対し、
アイドル時22.3℃/高負荷時22.2℃となり、数値での違いは出なかった。さらにCPU温度については、純正CPUクーラー使用で標準ファン構成の場合、アイドル時25℃/高負荷時63℃、トップ120mmファン2基増設の場合でアイドル時27℃/高負荷時65℃という結果になった。
 最近のPCケーステストにおいて、エアフローが向上するであろうファン増設により、CPU温度が上昇するという結果が表れているが、今回もトップファンを増設する事でCPU温度が2℃ほど上昇している。
 通常運用において気にするレベルではないものの、ハイエンド構成になった場合、このファンレイアウトを積極的に採用するか否かは意見の分かれるところとなるだろう。つまり多少CPU温度を犠牲にしても、ケース内温度を下げる(下がるであろうと仮定し)事で、グラフィックスカードやストレージによりよい環境を作ってあげるという使い方もできる。
 なおCPU温度とケースファンの関係については、別枠でテストを行ってみたいと考えている。

 


総評 1.5万円クラスの売価1万円PCケース

DP-2012
 執筆時点、全国に23店舗とウェブ通販を展開するPC業界の巨大グループ、ドスパラ(株式会社サードウェーブ)のセレクトPCケース「DP-2012」をつぶさにチェックしてきた。リリース以降の評判も良好というこのモデルは、なかなか見るべきポイントが随所に用意されているミドルタワーケースであると感じた。
 複数のドライブベイ、複数の冷却ファンスペース、グラフィックスカードの有効搭載スペース、電源ユニットボトムレイアウト、マザーボード背面ケーブルマネジメント機構およびスルーホールなど、ひと通り市場からリクエストされるであろうギミックを事前に兼ね備え、重箱の隅をつつかれるような箇所もさほど見あたらず、売価1万円前後という価格はかなりインパクトがあると言えるのではないだろうか。
 一頃のようにブランドで品物を選ぶという風潮も薄れつつあるだけに、各ライバルメーカーから見れば、なかなか手強いモデルになるだろう。
 好みの問題であるデザイン面に関してとやかく言っても仕方がないが、ゲーマー向けPCケースとしての雰囲気も持ち合わせており、注目に値するモデルであることがお分かり頂けたのではないだろうか。

 現在のPCケースは本当に熟成されている。平均レベルが非常に高く、よほどのことが無い限り、皆及第点を難なくクリアしてしまい、激戦区の中で勝負しなくてはならない熾烈なカテゴリとなった。残るはデザインと価格勝負なのかもしれないが、できれば後者ではなく、“少しばかり難アリでも欲しくなってしまう”魅力的なモデルの登場を期待したい。

ドスパラセレクト 「DP-2012」 エルミタ的総合評価

【静音性】 4ポイント ファン単体の騒音値は低く、十分に静音と言えるのだが、標準搭載ファンの数を考慮して4ポイントとした。ここで満点を出してしまうと、標準搭載ファン無しのPCケースでは満点になってしまう、、、(さすがにその場合ノーカウントにするが)トップ部に増設できる2基のファンのチョイスを間違わなければ、十分に静かなPCが構築できる素質がある。

【組み込み易さ】 5ポイント 組み込みだけを言えば満点。難しく凝ったギミックが無いだけに、作業工程が少なく、シンプルにくむことができる部類。サイドパネル開口部もそれなりにあり、ぎこちない工作精度の低さも感じる部分は無かった。

【剛性】 4ポイント フレーム自体を上から押さえつけて左右に揺らしても頼りなさは無く、比較的高い剛性が保たれている。ただし本文でも触れたようにトップパネルを外した内部に現れる増設ファンスペースの曲げ部分はドライバーのねじ込む力に完全に負けている。通常使用では隠れてしまう部分であり、実使用での不便は全くないが、見えない点もPCケースの内。満点には届かない。

【拡張性】 5ポイント この価格帯でこのドライブベイスペースとレイアウトは誰もが満点を付けるだろう。ドライブベイは全てを使う使わないは別として、エアフローを考慮して自由な場所にドライブが設置できるという利点は大きい。

【冷却性能】 4ポイント 標準ファン前後2基のみで冷却性能をジャッジするのはやや無理があるものの、シンプルなエアフローレイアウトと、トップ部に用意された2基分のファンスペースにより、少ない投資で高エアフローPCケースになってしまう。そもそも組込用の汎用ケースファンのコストはそれほど高いものではないため、現在の売価を考慮しても標準搭載で良かったのではないかと思う次第。その点はやはりマイナスポイントが付く。

【コストパフォーマンス】 5ポイント これは文句なしで5ポイントだろう。この製品を初めて見たとき「某社なら15,000円クラスだなぁ」と率直に感じてしまった。前述通り、トップファンは省略してコストが落とされているとはいえ、基板を使うSATAホットスワップベイが用意されている点はなかなかのもの。ブランドへのこだわりが無く、使えるPCケースが欲しいと思うならば、選んで損は無い。


【エルミタ的検証用PCケース募集】
エルミタ的「一点突破」では検証希望PCケースを募集しています。国内外を問わず、ご興味のあるメーカー様・代理店様は編集部までご一報ください。


機材協力:ドスパラ秋葉原本店(株式会社サードウェーブ)
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DP-2012
・2010年8月発売(初期モデル)
・実勢価格税込9,980円(12月現在)
・外形寸法W200×D493×H490mm
・重量7.3kg
・電源(オプション)
・拡張スロット×7
・5.25インチ×4
・3.5インチ
 オープンベイ×2(ホットスワップ)
 シャドウベイ×2
・2.5インチシャドウベイ×4
・ファン(標準搭載)
 フロント吸気120mm(BlueLED)×1
 リア排気120mm×1
・ファン(オプション)
 サイド吸気120mm×2/200mm×1
 トップ排気120/140mm×2
・フロントI/O
 USB3.0×2/eSATA×1/Audio
製品情報(ドスパラ)
 
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H70
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HDD-BOOST
 
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