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エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.77 SilverStone「RAVEN 3」 〜ルールを再定義〜
エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.77
SilverStone「RAVEN 3」 〜ルールを再定義〜
2011年3月31日 22:18
TEXT:GDM編集部 松枝 清顕
SilverStone「RAVENシリーズ」
が帰ってきた。2009年10月にレビューした秀作
「RAVEN 2」(SST-RV02B-W)
から約1年半、
「RAVEN 3」(SST-RV03B)
がまもなくリリースされる。非常に完成度が高く、国内市場でも一躍人気PCケースとなった「RAVEN 2」。その進化版のキャッチはズバリ
「ルールを再定義」
だという。期待のNewモデルを早速徹底検証してみたい。
進化を遂げた「RAVEN 3」(画像左)と、完成度が非常に高く、国内市場でも高評価の「RAVEN 2」(画像右)
[COMPUTEX TAIPEI 2010] SilverStoneブースに良さげな倒立型ケース登場。「RAVEN 3」もデビュー(2010/6/3)
http://www.gdm.or.jp/pressrelease/201006/03_01.html
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兄貴分「RAVEN 2」の重圧を背負う運命
ただの“斬新なケース”ではなかった前作「RAVEN 2」
“これはハードルが高いな”と感じた。冒頭でも触れたとおり、
「エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.20」(2009年10月23日付)で前作
「RAVEN 2」(型番:SST-RV02B-W)
で徹底検証したが、近年リリースされたPCケースの中でも国内外で極めて評価の高い、SilverStoneの代表作。そんな「RAVENシリーズ」が進化を遂げ、兄弟モデルの位置付けで
「RAVEN 3」
が市場に投入される。
本来なら他社のPCケースをライバルとして技術やアイデアを盛り込んでいけば良いところ、立ちはだかるのは「RAVEN 2」であり、その後継モデル(正確には後継ではなく「RAVEN 2」も継続販売される※後述)ともなれば、市場の期待感は否が応でも高くなる。ある意味「RAVEN 3」はそれを超えなければならない“重圧”を背負いつつ誕生したモデルと言えるだろう。
エルミタ的速攻撮って出しレビューVol.20 「RAVEN 2」(SST-RV02B-W)を徹底チェック(2009/10/23)
http://www.gdm.or.jp/review/silverstone/index_01.html
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位置付けは秀作「RAVEN 2」の正常進化モデルなのか?
SilverStone国内正規代理店のマスタードシード株式会社から入手した資料には、
「ルールを再定義」
というキーワードが掲げられている。「RAVEN 3」を語る上で象徴的に「再定義」と言うからには、もちろん「RAVEN 2」の存在を意識していると考えるのが妥当。やはり既存モデルの“呪縛”は、セールスを担当する正規代理店にもプレッシャーを与えているようだ。
ここで「RAVEN 3」の検証を始める前に、もはや避けては通れない「RAVEN 2」とのスペック比較をしてみよう。
RAVEN 3
RAVEN 2
型番
SST-RV03B
SST-RV02B
主素材
SECC 0.8mm
SECC 0.8mm
幅
235mm
212mm
奥行き
570mm
643mm
高さ
522mm
503mm
重量
11.4kg
12.5kg
5.25インチベイ
最大7
最大8
3.5インチシャドウベイ
10
3
2.5インチシャドウベイ
2
1
拡張スロット
8
8
トップ排気ファン
120mm×1
(900rpm 18dBA)
120mm×1
(950rpm 18dBA)
ボトム吸気ファン
180mm×2
(AP181 700/1200rpm 18/34dBA)
※120mm×3互換
180mm×3
(700/1000rpm 18/27dBA)
側面ファン
120mm×1(オプション)
なし
フロントファン
120mm×4(オプション)
なし
リアファン
120mm×1(オプション)
なし
入出力ポート
USB3.0×2
音声入出力端子
USB2.0×2
音声入出力端子
電源
別売り
別売り
売価
14,980円前後
19,800円前後
発売時期
2011年4月
2009年8月
とかくPCケースには数字だけでは読み取ることができない数多くのチェックポイントがあるワケだが、両者を見比べると特に3.5インチシャドウベイの数が3倍以上に増えている事が目に付く。完成度の高かった「RAVEN 2」唯一の弱点と言われた箇所の大改良は、歓迎すべき注目点と言えるだろう。
反面、「RAVEN 3」では180mm口径ボトム吸気ファンの数が1つ減ってはいるものの、SilverStoneが正圧設計のために開発したとも言うべき通称
“徹甲弾ファン”「Air Penetrator fan」(AP-181)
が装備される事になり、風圧面での向上が図られている。
このように「RAVEN 3」は、モデルを重ねる毎に市場からのフィードバックを反映しつつ、確実に進化している事が分かる。
■「RAVEN 3」について聞いてみた(その1)
冒頭触れたように、「RAVEN 3」は既存モデル「RAVEN 2」(および「RAVEN 2 Evolution」)の後継モデルという位置付けではなく、両モデル共に併売されていくという(代理店確認済み)。製品名の数字が「2」→「3」になれば当然既存モデルはフェードアウトだと思ってしまうのだが、その点をSilverStoneに質問をぶつけてみた。
Q.「RAVEN 3」は「RAVEN 2」の後継という位置付けではないのか?
A.メーカー(SilverStone)からの回答
「RAVEN 3」は、ファンを自由に追加できるのをはじめ、「RAVEN 2」では載せきれない数のハードディスクを搭載できるよう設計されています。
また「RAVEN 2」は奥行きが長すぎ、多くの人の使用環境において問題がありましたが、「RAVEN 3」はその問題を解決しています(「RAVEN 2」が奥行き643mmに対して、「RAVEN 3」は570mm)。また、私たちは「RAVEN 3」について非常にアグレッシブな価格目標を設定しており、マザーボード90度回転レイアウトに関心のあるより多くのユーザーを獲得したいと思っています。
「RAVEN 2」は電源ユニット搭載空間に余裕があり(奥行きに事実上制限がない)、その点では奥行き180mmまでの電源ユニットしか搭載できない「RAVEN 3」より優れています。「RAVEN 3」は、PCパーツ構成を試行錯誤する時間的余裕のあるエンスージアストを想定しており、好みに合った的確な構成のPCを組み上げることが出来るでしょう。一方で「RAVEN 2」は、卓越した冷却性能と静音性を備えるPCを素早く組み立てたいというプロフェッショナルユーザーを想定しています。
■「RAVEN 2」も進化している
2009年8月に国内デビューを果たした秀作「RAVEN 2」だが、実は2010年11月に大幅なマイナーチェンジが行われている。
【参考記事】
[新製品] SilverStone、煙突効果そのままに各部強化を行った「RAVEN 2 Evolution」発売日確定(2010/10/29)
http://www.gdm.or.jp/pressrelease/201010/29_10.html
主な変更点は(1)ボトム180mmファンを「Air Penetrator fan」(徹甲弾ファン)に変更、(2)3.5インチシャドウベイ部の改良で3段→5段に変更、(3)誤操作を防止できるスイッチ形状の変更、(4)振動や歪みを防止する上部シャーシ補強等で、外装デザインはそのままに、内部はフルモデルチェンジに近い。
内部だけを見ると、ほぼフルモデルチェンジに近い改良がなされている
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ラインナップはラインカラー違いの2種類展開
「RAVEN 2」は限定生産ながらホワイトカラーのバリエーションまでリリースされたが、今回は最初から2機種をラインナップ。「RAVEN 3」は両サイド部のラインがゴールドのワールドワイドモデル
「SST-RV03B-W」
と、国内正規代理店のマスタードシード限定となるグレーラインモデル
「SST-RV03B-WA」
の2タイプから選ぶことができる。
なお執筆時現在、両モデル共に市場想定売価は税込14,980円に設定されている。「RAVENシリーズ」としてはかなり思い切った価格という印象だが、シリーズを重ねる毎に製造の効率化が進み、さらにSilverStoneミドルレンジ“看板PCケース”としての戦略的価格設定から、前作以上にシェアを伸ばせるという自信と意欲を窺うことができる。
ゴールドラインの「SST-RV03B-W」(画像左)と正規代理店限定グレーライン「SST-RV03B-WA」(画像右)。いずれも市場想定売価は税込14,980円に設定されている
■「RAVEN 3」について聞いてみた(その2)
前面両サイドからトップ部に伸びるラインがアクセントの「RAVEN 3」。国内正規代理店のマスタードシード株式会社では、ワールドワイドモデルのゴールドライン「SST-RV03B-W」と、マスタードシードオリジナルのグレーライン「SST-RV03B-WA」のカラーバリエーションを初回から用意してきた。これについて、マスタードシード広報担当者は以下のように回答を寄せている。
Q.国内オリジナルカラーをラインナップさせたその理由は?
A.代理店(マスタードシード)からの回答
エンジニアリングサンプルや開発段階の資料を元にヒアリングを行った結果、日本市場においては、より落ち着いた配色を希望するユーザーやショップが多いのではないかという配慮から、導入を決定しました。製品型番が2つに増えることによって弊社の負担は増えますが、それ以上に、RV03を日本市場でプッシュしていきたいと考えての決定です。
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外形寸法
W235×H522×D570mm
重量
11.4kg
カラー
ブラック、サイドパネルウインドウ仕様
対応フォームファクター
SSI-EEB/SSI-CEB/E-ATX/ATX/MicroATX
素材
強化プラスチックケース、0.8mmスチールボディ
ドライブベイ
5.25インチ×7、3.5インチ×10(6台は5.25インチアダプタ使用)、2.5インチ×2
拡張スロット×8
ファン
底面吸気:180mm×2(AP181 700/1200rpm、18/34dBA(120mm×3互換)
上部排気:120mm×1(900rpm/18dBA)
前面:120mm×4ファンスロット
側面:120mm×1ファンスロット
背面:120mm×1ファンスロット
フロントI/Oポート
USB3.0×2、オーディオIn/Out
電源ユニット
別売り
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製品情報(マスタードシード株式会社)
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