エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.841
2020.03.18 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
ユニークかつ斬新なPCケース、「ALICE」を取り上げる。これまで数多くの個性的なPCケースを世に送り出してきたIn Win Development(本社:台湾)。台湾に自社工場を持つことで、アイデアをカタチにするスピード感は他社に無い圧倒的な強みと言える。ちょっとした改良や、品質管理など、自在にやってのける環境は、こういった”作品”を生み出すには都合が良いのだろう。
今回の主役である「ALICE」は2019年10月15日、ABS樹脂製フレームと布製カバーを採用するPCケースとして正式にアナウンス。日本国内では、正規代理店の株式会社アユート(本社:東京都文京区)により、同年12月13日より販売が開始されている。
In Win「ALICE」 市場想定売価税抜各6,800円(2019年12月13日発売) IW-ALICE-GRY(グレー)/IW-ALICE-ORG(オレンジ) 製品情報(In Win / 株式会社アユート) |
インパクトの強さから、記憶されている読者も多いだろう。正式発表から遡ること約4ヶ月前。台湾で開催された「COMPUTEX TAIPEI 2019」では、ほぼ製品版の「ALICE」が披露されている。例年In Winのブースでは、数多くの量産モデルとは明らかに異なる、突拍子もないコンセプトモデルを用意し、多くの自作派を楽しませてくれるIn Win。主な製品を振り返ると、2018年はちょっとやり過ぎの感があった「Z-Tower」、2017年は球体ケース「Winbot」、2015年はトランスフォームする「H-Tower」、そして2013年には全身強化ガラスパネル採用の「Tou」があった。
どれも強烈な個性を持つ渾身の作品だが、いずれも市販化されていることに驚く。「作品」を「製品」にするあたりは、冒頭触れた自社工場を持つアドバンテージと言えるだろう。
COMPUTEX TAIPEI 2019のIn Winブースを飾った「ALICE」 |
そしてABS樹脂製フレームと外装を布で覆った「ALICE」は、マテリアルが主役のミドルタワーPCケースだ。市場想定売価税抜各6,800円という価格は、これまでに無い身近で手頃な製品として、In Winが本気で売ろうとしている事が分かる。決して単なる企画モノではないのだ。
評価サンプルを開封する前に、スペック表から「ALICE」の概要を把握しておこう。ちなみに編集部に届けられたのは、トップカバーがオレンジ色の「IW-ALICE-ORG」だった。カラーバリエーションのグレー「IW-ALICE-GRY」とはトップカバーの色が異なるのみで、その他仕様に違いは無い。
今回の検証ではトップカバーがオレンジ色の「IW-ALICE-ORG」を使用する |
主素材のABS樹脂は、電化製品や自動車の内装部分、リコーダー等の楽器やブロック(玩具)などに用いられており、軽いだけでなく、耐熱性および耐衝撃性にも優れている。ちなみSECC(亜鉛メッキ鋼板)を主素材とする「303」(10.88kg)に比べ約3分の1、「103」(7.31kg)では約半分の重量でしかない。
なお内部にはSECCも使用。外装を覆うカバー素材はポリエステル100%で、それぞれの役割ごとに素材が使い分けられている。パッケージサイズは幅294mm、奥行き445mm、高さ628mmで、梱包材と付属品を含めた総重量は5kg。店頭からの持ち帰りは可能なレベルに収められている。