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|「SST-FT03」と念願のご対面。サンプルが編集部に到着
さて今年も余すところ数日という最中、実機が届かず空想するばかりの日々を数日過ごしたところでようやく編集部にサンプルが到着した。
発表後から“傘立て”や“ゴミ箱”などと形容された「SST-FT03」だが、発売前から愛称が付くPCケースなど希で、市場の期待度および注目度の高さは折り紙付きと言えよう。(筆者は密かに“一斗缶”をまっさきに連想していたがそれはさておき)さて実際の製品はどのような風貌なのだろうか。
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・年末ギリギリのタイミングで編集部に到着した「SST-FT03」。外装パッケージサイズは実測値で330×380×610mmと、PCケースにしてはやはりコンパクトな印象 |
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|「SST-FT03」の外観をチェックする
やっとの思いでご対面と相成った「SST-FT03」。到着したサンプルは「SST-FT03S」(シルバー)だが、ブラック「SST-FT03B」も用意されている。ちなみに実機を目の前にした第一印象は「内部がどうなっているのかまったく分からない」であった。
一般的PCケースの概念はフロントパネル、両サイドパネル、さらに背面にはI/Oポート類や電源ユニットが露わになっているはずだが、このモデルは左サイドパネルに通気孔らしきものがあるだけで、側面4方はほぼのっぺらぼう状態。もし量販店の家電コーナーに陳列されていたならば、多くの人がPCケースとは思わないだろう。「よくこんなモデルを作ったなぁ」と思いつつ、早速いつも通りに外観からチェックを行ってみよう。
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・外形寸法はW235×H487×D284mm。高さだけを見ればATXミドルタワーPCケースと変わらない。なおアルミニウム製パネルはサンドブラストとアノダイズ処理が施されている |
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・角部は丸みを帯び、その容姿は非常に美しい。素材は外装パネルが2.5mm厚のアルミニウム製、ボディはスチール製。ちなみにどこかで聞いた余談だが、PCケースの角部を鋭利にしないのは、PL法の問題もあるとか |
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■着脱可能なトップパネル部
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・トップカバーはABS樹脂製。外装アルミニウムが肉厚2.5mmだけに、少々チープな印象も拭えないが、成型の自由度を優先すれば当然の選択。目の粗い菱形デザインが採用されており、表面はほぼフラット。重要な通気孔の役割を果たしているため、稼働時は無造作にモノを置いたりしてはいけない |
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・トップ部はツールフリーで着脱が可能。ロックにはジェラコンキャッチが採用されている |
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・シルバーモデルのシャーシはホワイト塗装が施されている。内部塗装へのこだわりは高級感を演出するには必須な手法。「SST-FT03」のような“見せるPC”は特に手抜きはできない。ちなみにブラックモデルの内部はもちろんブラック塗装 |
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■ツールフリー式のフロント&サイドパネル着脱機構
このモデルがSilverStoneの自信作である事を感じさせられる点として、フロントおよびサイドパネルの着脱機構が挙げられる。
多くのPCケースの場合、フロントパネルはシャーシはめ込み式(場合によってはネジ留め)、サイドパネルはハンドスクリューにより固定されているが、「SST-FT03」では、ネジが一切使用されていない完全ツールフリー仕様に仕上げられている。
フロントパネルはトップパネル同様にジェラコンキャッチ式、さらに両サイドパネルは支柱部の突起(丸形)にサイドパネル側に用意されたスリットを合わせ、スライドさせる事で固定/脱着ができるように工夫されている。これならばサイドパネルの着脱を繰り返すウチにネジが紛失し、いつの間にか上下違った形のハンドスクリューを装着せざるを得ないと言ったよくある話に陥る心配は無い。
それはともかく、SilverStoneがわざわざこの方法を採用した理由は、外観の美しさへの気遣いに他ならない。
初めてこのPCケースを手にすると、一瞬どこから手を付けたら良いのか誰もが戸惑うことになる。それはこれまでのPCケースの概念から外れた、製品へのこだわりがそうさせているのだ。“傘立て”や“ダストボックス”等と揶揄されるゆえんはもちろん“ちょっと見、PCケースには見えない”からで、つまりそれらを連想させる事こそSilverStoneの思惑通りと言えるだろう。
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・フロントおよびリアパネルはトップパネル同様、ジェラコンキャッチによるツールフリー仕様 |
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・サイドパネル側のスリットにボディ支柱に仕込まれた丸形突起を合わせ、パネルをスライドさせる事で着脱が可能。ネジは一切使用しない |
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・シャーシのパネル接触部には保護ラバーが貼り付けられていた |
・開口部約4mmのスリットはスロットインタイプの薄型光学ドライブベイ用の穴。イジェクトボタンは無い |
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・左側面下部にある通気孔。ABS樹脂性で、ワンタッチ着脱が可能。内側上部には防塵フィルターが装着されていた |
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■スイッチ類、I/Oポート部/USB3.0引き回しなど
2010年、PCケースのひとつのキーワードとしてUSB3.0ポートの搭載が挙げられる。そろそろトピックにならなくなってきた感があるほどの普及振りだが、外付けHDDを接続する場合には便利この上ない。
「SST-FT03」に装備されているアクセスポートはこのUSB3.0が2ポート用意され、マザーボード背面I/Oポートにケーブルで接続する引き回しタイプが採用されている。ただし引き回しとは言え、アクセスポートとマザーボードのI/Oポートまでの距離は非常に短い。
なお両ポート間にはマイク/ヘッドフォン各端子が配列され、床ベタ置きでの利便性を優先し、Power/Resetスイッチ共、トップ部にレイアウトされている。
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・トップ部にレイアウトされているスイッチ & アクセスポート部。左からPowerスイッチ、リセットスイッチ、USB3.0ポート×2、その間にヘッドフォン、マイク端子が並ぶ |
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・Power & リセットスイッチはストロークの短いしっかりとしたカチカチタイプ |
・マイク/ヘッドフォン端子はHD Audio専用 |
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・USB3.0ポートは2口はさすがにイマ風。マザーボードのポートもトップ面にあるため、内部ケーブル引き回しの迂回は極めて短距離 |
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・マザーボードヘッダピン接続の各種コネクタ類。PowerLEDの(+)(−)は分割タイプを採用。オーディオはHD Audioのみ |
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■ボトム部とインシュレーター部
本体ボトム部をチェックすると、足の高いゴム製インシュレーターがまず目に入る。高さは実測値で30mmで、硬質ゴムにより安定感に申し分は無い。
さらにボディ底面部には大きな開口部がひとつ設けられ、これが電源ユニットの吸気孔の役割を果たしている。さらにその横には2連の穴があり、オプションで80mmファン2基が増設できるようになっている。なおこの部分にはメッシュフィルターが装着されているが、それについては後ほど詳しく解説しよう。
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・硬質ゴム製のインシュレーター。装着方法はネジ留め式 |
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・3カ所の開口部を備えた底面。この部分については後述 |
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|「SST-FT03」付属品チェック
ここからは付属品をチェックしてみたい。「SST-FT03」では、よくある別箱ではなく、いたってシンプルにジッパー袋の中にすべてが収められていた。
中を確認すると、3pin分岐ケーブル、結束バンド、2.5インチSSD/HDD搭載用ブラケット、組み込み用ネジ一式、そしてマルチランゲージのマニュアル(日本語ももちろんアリ)が同梱されていた。
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・4pinペリフェラル→3pinコネクタ×3の分岐ケーブル。ファン用コネクタが少ないMicroATXマザーボードを考慮しての付属品。別途用意する必要が無く、うれしい装備 |
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|“所有感”をも大切にするSilverStoneの取り組み
SilverStoneは以前から外観を非常に大切にするメーカーだ。デザインはもとより、その大きな理由の一つに外部を覆うパネル厚が挙げられる。
比較的低い価格帯のモデルでもユーザーが日頃目にし、手に触れる頻度の高いフロントパネル等には肉厚のアルミニウムを採用する事が多い。「SST-FT03」でも外部を覆うアルミニウムパネルは半ば必要以上に厚い2.5mmが採用され、非常に頑丈な作りも製品の特徴。それを手にしたユーザーの所有欲を満たすメーカーの取り組みはライバル他社も見習うべき点と言えるだろう。 |
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・非常にシンプルな外装パネル部をチェックしたところで、次に「SST-FT03」の内部構成をチェックしてみよう。外観だけでは分からない特異な構造が徐々に明らかとなって行く |
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