「エルミタ的速攻撮って出しレビュー」
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エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.77 SilverStone「RAVEN 3」 〜ルールを再定義〜
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「RAVEN 3」実際に組み込みを行う
「RAVEN 3」のケースデザインコンセプトや新しく用意されたギミックの数々をチェックした後は、いよいよ実際に組み込みを行ってみたい。
■SilverStoneの代名詞「90度回転マザーボードレイアウト」
「RAVENシリーズ」最大の特徴となる90度回転マザーボードレイアウトについては、もはや説明するまでもないだろう。これまで同様のレイアウトを採用する
「RAVEN 2」(SST-RV02B-W)
、
「Fortress」(SST-FT02B-W)
、
「Fortress」(SST-FT03)
、
「TEMJIN」(SST-TJ11B-W)
の計4台をテストしてきた。SilverStoneのお家芸とも言えるこのスタイルは、「正圧設計」「煙突効果」を実現するためには最も重要なポイントであり、現時点、改良の余地は無い。ライバル他社には無いこのスタイルを、SilverStoneではこれからも採用し続けて行くに違いない。
ちなみに「RAVEN 2」に比べ、奥行きが短く設計されているが、懸念されていた組み込みがしにくい等の影響は感じられなかった。「90度回転マザーボードレイアウト」によりATXメインケーブルが下方向に伸びるため、ケーブルの取り回しも良好だ。シャドウベイをマザーボードトレイ背面に移動させた事で、ケース内はより自由度を増した印象だった。
熟成された「90度回転マザーボードレイアウト」。もはや改良の余地は無い
■電源ユニット搭載スペース
電源ユニット搭載スペースに関しては、5.25インチベイ下部に移動させた事で、「RAVEN 2」よりも随分と窮屈に見えるかもしれない。では実際に搭載した場合の“収まり具合”を見てみよう。
今回用意した電源ユニットはW150×D180×H86mmの
SilverStone「STRIDER Gold SST-ST1200-G」
(80PLUS GOLD/1200W)
。ちなみに「RAVEN 3」の電源ユニット対応奥行きサイズは180mmまでとされているので、サポートされるギリギリのサイズとなる。
搭載手順は、マザーボード裏面から電源ユニットを押し込み、表面でネジ固定。ボトム面引き回し用電源ケーブルを挿せば完了
電源ケーブルはフロント側ボトム面から伸びる。このスタイルは電源ユニットを5.25インチベイ下にレイアウトしたことによる「RAVENシリーズ」初の試み。極力ケーブル類は隠してしまおうというコンセプトはここでも貫かれている
■ちょっとタイトな電源ユニットスペースの開口部
人気の「RAVENシリーズ」最新モデルだけに、これまで蓄積されてきた「技」が随所に見られ、なるほど感心するばかり。ただし電源ユニット搭載スペースだけは「要改良箇所」として指摘しておかなければならないだろう。
事実上、なんの物理的制約もなかった「RAVEN 2」から、5.25インチベイ下に電源ユニット搭載スペースが移動した事で、かなり窮屈に見えるのは致し方ない。しかし、実際に5.25インチベイとシャーシ側面の縁とのスペースがATX規格である高さ86mm分ギリギリしかなく、電源ユニットに装着されるファンガードが大きく張り出しているモデルや、それを固定するネジのヘッドが大きくはみ出している場合は、物理的干渉を起こす可能性が高い。次回モデルではもう少し余裕を持たせて欲しい。
赤いライン上下のスペースがタイトなため、ファンガードなどの突起に干渉する可能性が高い
■拡張カード搭載スペース
「RAVEN 3」の拡張スロット数は合計8段。この辺はマルチグラフィックス構成のハイエンド仕様にも対応できるよう、抜かりは無い。
今回テストで使った
「SAPPHIRE HD6970 2G GDDR5」(型番:21179-00-40R)
の公称値(長さ)は275mmだが、実際に組み込むと70mmの空きスペースがあった(PCI-Express補助電源コネクタがサイドパネル側にレイアウトされているため、まだまだ余裕がある)。
ちなみに有効拡張スロットスペースのメーカー公称値は13.58インチ(約345mm)とされ、実測値との相違はなかった。
ボトム180mmファンと垂直位置に搭載されるグラフィックスカード。この位置関係が最も効果的な冷却能力を実現する
●推奨されるグラフィックスカードのエアフロー方向
正圧設計が採用されている「RAVEN 3」では、グラフィックスカード搭載のVGAクーラー推奨エアフロー方向が定義されている(画像参照)。
現在ミドルレンジクラス以上のグラフィックスカードの多くは、2Slot占有の外排気型が採用されている。「RAVEN 3」ではGPUの熱がケース内部に排出されない外排気型が理想的レイアウトとされ、スムーズで効率的な気流が維持できる事で最大の冷却効果を発揮する。
■CPUクーラー有効スペースとファンレス稼働について
マニュアルによると、「RAVEN 3」のCPUクーラー有効スペース(高さ)は163mmとされている。このサイズなら大型サイドフロータイプも搭載できるはずだ。また通常のPCケースと違い、「正圧設計」を実現するために、ボトムからトップ方向に常時強力なエアフローが流れているが、その気流を使ったファンレス稼働を想定するユーザーも少なくないだろう。
高性能を謳うサイドフローCPUクーラーを用意すれば、ファンレス動作も一応可能
PCケースメーカーの多くは、ファンレス稼働について触れる事は無い。これはメーカーが動作を保証するかのような記述から起きるトラブルを回避するためだろうと容易に想像できるが、SilverStoneではQ&A方式のフィクションの形で、敢えてファンレス稼働に言及している。
それによるとSilverStoneが開発時に行ったテストでは、“高品質”のタワー型(サイドフロー)のファンレス稼働で、TDP 130W(Intel Core i7定格動作)が動作できたと言う。
もちろん推奨するものではなく、単に「正圧設計」とボトム吸気ファンの能力の高さが窺えるエピソードとして捉えるべきかもしれないが、ちょっとやってみたくなる。言うまでもなくメーカー側では推奨も保証もしていないのだが、自作とはそもそも“自己責任”の世界。内部高エアフローを利用して、チャレンジしてみてもよいだろう。
■ケーブルマネジメント機構
近年のPCケース事情で重要視されているのがケーブルマネジメント機構(ケーブル内部取り回し)だ。特に複数の構成パーツやハイエンド構成で組む場合に、余ったケーブルの行き場や、無駄の無い配線を行う必要がある。マザーボードトレイの表裏面を結ぶケーブルホールはもとより、トレイ背面スペースも重要。結束バンドやタイラップ等を上手に使い、仮組み状態から理想的なレイアウトを心がけたい。
至る所に用意されたケーブルマネジメント用ホール。SilverStoneは早くからこの取り組みに力を入れていた
3.5インチHDD×2基、2.5インチSSD×1基構成での背面ケーブルレイアウト例。マザーボードトレイ背面が有効に使用できる「RAVEN 3」は、ケース内部もきれいにスッキリと組み込む事ができる
●「RAVENシリーズ」ケーブルマネジメントはボトム面に注目
正圧設計コンセプト「RAVENシリーズ」では、特有のボトムスペースほぼ全てを占めるファンからのエアフローを妨げる事無く、ケーブル類は丁寧に結束しよう。冷却能力を余すところなく発揮させるには、用意されたケーブルマネジメント機構を存分に活用したい。
ひとまず組み込みを行ったところ。せっかくのケーブルマネジメント機構は有効に使いたい
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「RAVEN 3」推奨オプションパーツ
多彩なPCケースラインナップを展開するSilverStoneは、オプションに豊富なレコメンドパーツを用意している。ここではメーカー推奨の「RAVEN 3」に最適なアイテムをご紹介しておこう。
「ST1200-G」(
製品情報
)・・・SilverStoneブランドの80PLUS GOLD認証1200W電源はまさにハイエンド構成に最適
「FP55」(
製品情報
)・・・2台の2.5インチSSDスペースを備えた5.25→3.5インチベイコンバーター
「FF141」(
製品情報
)・・・樹脂フレーム部に磁石を内蔵した140mmファン口径の防塵フィルタ
「CLEARCMOS」(
製品情報
)・・・SilverStoneのPCケースオプションパーツでお馴染みの拡張ブラケットタイプのCMOSクリアスイッチ
「FM181」(
製品情報
)・・・ホワイトフレームの180mm口径ファン。ファンコン付きで500〜1300rpm/65〜150CFM/17〜36dBAのスペックを誇る
「FN181-BL」(
製品情報
)・・・クリアスケルトンタイプでBLUE LEDを内蔵するドレスアップ用の180mmファン。スペックは700rpm/100CFM/18dBA
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外形寸法
W235×H522×D570mm
重量
11.4kg
カラー
ブラック、サイドパネルウインドウ仕様
対応フォームファクター
SSI-EEB/SSI-CEB/E-ATX/ATX/MicroATX
素材
強化プラスチックケース、0.8mmスチールボディ
ドライブベイ
5.25インチ×7、3.5インチ×10(6台は5.25インチアダプタ使用)、2.5インチ×2
拡張スロット×8
ファン
底面吸気:180mm×2(AP181 700/1200rpm、18/34dBA(120mm×3互換)
上部排気:120mm×1(900rpm/18dBA)
前面:120mm×4ファンスロット
側面:120mm×1ファンスロット
背面:120mm×1ファンスロット
フロントI/Oポート
USB3.0×2、オーディオIn/Out
電源ユニット
別売り
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製品情報(マスタードシード株式会社)
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