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|「KUHLER-SHELF」冷却能力(温度)、騒音値、回転数テスト
例によってここからは「KUHLER-SHELF」の各種テストを行い、その能力を探って行く。
「Test Bench V1.0」はやっぱり便利
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CoolerMaster「Test Bench V1.0」
実勢価格 税込9,000〜9,500円前後
(製品情報) |
隠していたワケではないが、「エルミタ的一点突破」のテストにはCoolerMasterから発売されている「Test Bench V1.0」(型番:CL-001-KKN1-GP)を使用している。よくある“まな板”だが、マザーボードがワンタッチで着脱できる等、構成パーツを付け替える頻度が高い筆者は日頃から愛用している。少々価格は高めながら、あれば便利このうえ無し。 |
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|エルミタ的レギュレーション
|CPUクーラー計測環境および計測方法
1.マザーボードはケースに組み込まない状態で計測する
(ケースファンなどケース内エアフローの影響を受けない状態で、できる限りCPUクーラー本来の性能を見る)
2.マザーボードなどの各種設定はデフォルトのまま行う
3.CPU全コアに100%負荷をかけ、5回テストを行う
(計5回テスト中、平均値のスコアを掲載)
4.騒音値は、ファンから10cmの距離で計測
(騒音計はファンと垂直方向に設置)
5.高負荷状態は「OCCT 3.1.0」を使用
(アイドル時および高負荷時(100%/20分)の数値を計測)
6.コア温度およびファン回転数は「SpeedFan 4.40」を使用
(アイドル時および高負荷時(100%/20分)の数値を計測) |
検証使用機材 |
CPU |
Intel「Core i5-750」 Lynnfield
(2.66GHz/TB時最大3.20GHz/TDP95W) |
マザーボード |
GIGABYTE「P55A-UD3」
(Intel P55チップセット/ATX) |
メモリ |
OCZ「OCZ3P1333LV4GK」
(1333MHz/PC3-10666/CL 7-7-7-20/1.65v) |
SSD |
OCZ Vertex Series 120GB(SATA2/2.5インチ) |
VGA |
XFX「HD-567X-YNFC」
(Radoen HD 5670 512MB DDR5) |
OS |
Windows 7 Ultimate 64bit |
放射温度計 |
AD-5611A(非接触型温度計)
測定範囲(D/S比)11:1 |
騒音計 |
TM-102(国際規格IEC651 TYPE2適合) |
検証ツール |
高負荷状態 |
OCCT 3.1.0 |
温度/回転数 |
SpeedFan 4.40 |
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タイプが全く違うため、前回の「KUHLER-BOX」と比較するにはナンセンスながら一応数字上だけで見比べると、アイドル時32℃は同様、高負荷時54℃は+3℃という結果となった。
「KUHLER-BOX」はφ6mm×4本のダイレクトタッチヒートパイプを採用し、「KUHLER-SHELF」ではφ6mm×7本を非ダイレクトタッチとしている。
ヒートパイプ本数が3本増えている理由は、“高床式”にあり、ベース部で受熱したCPUの熱を高い位置にある放熱フィンに伝えるべく、熱移動を強化しなくてはならないためだ。ならばダイレクトタッチにすれば良いだろうという声もあるかもしれない。しかしφ6mmのヒートパイプをコア部に並べられるのはスペースの面から6本がほぼ限界と言われており、さらに製造工程の煩雑さによるコスト面でもこの方法が採られたのではないだろうか。
そして今回は、ストレスツール「OCCT 3.1.0」を実行した“CPU1”の結果を掲載してみた。ご存じのように「OCCT 3.1.0」ではスレッド毎の結果を排出してくれるが、ここでは比較的高い温度が結果として表れる“CPU1”を抽出。Maxで56.5℃、Minで34.0℃を指している事が分かる。
一方、騒音値については「KUHLER-BOX」がアイドル時46.6dBA(1675rpm)に対し43.8dBA(1531rpm)、高負荷時は52.8dBA(2109rpm)に対し52.2dBA(2103rpm)と、いずれも低い数字となっている。しかし「KUHLER-SHELF」の方が騒音値が高いように思えてならない。これについては総評の【静音性】で考察してみたい。
|「KUHLER-SHELF」ヒートシンク各部の温度計測
次にヒートシンク各部の温度計測結果を見て行く。今回の計測ポイントは計9箇所と、前回に比べてやや少なめだが、この形状を採るモデルでは細かく計測しても大差が無い事が多く、主要な箇所のみに絞る事とした。
結果を見ると、一番高い温度を示す箇所は(8)の38.1℃、逆に低い温度箇所は(3)の29.6℃だった。ちなみに最大最小の温度差は8.5℃。
グラフィックスカードに隣接する(7)35.4℃と(6)32.5℃が意外に低く、反面最大を示した(8)38.1℃とその裏側(5)35.7℃が、比較的高い数値を表している。
これは恐らくベース部から受熱し、熱移動をさせているヒートパイプが効果的に仕事を果たしている証拠で、(9)や(4)などのベース部から遠い箇所よりも自ずと温度が上昇しているのではないだろうか。この事から、“設計上”思惑通りの製品と言えるだろう。
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|総評 無骨な印象ながら、しっかりした作りは好感度「高」
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Antecが本気を出して(?)投入したCPUクーラー3兄弟の第2弾としてお届けした「KUHLER-SHELF」。キーワードの“高床式”は、意外にも剛性が高く、なかなかしっかりとした作りのモデルだった。
どうしても現在主流のサイドフロー型と比較をしてしまいがちだが、「一点突破」では初となるトップフローならではの良さを再認するモデルとして、“その点での”完成度は高いレベルだと感じる。とは言うものの、細かいマイナス点もあり、それらを中心に各項目毎に解説して行こう。
【静音性】 3.5ポイント
少々辛めの3.5ポイントとした理由は、ファンのインペラ角度と形状、さらにヒートシンクの“抜け音”のバランスだ。
鋭利なインペラは見るからに風量重視タイプで、角度もきついため風切り音が発生。また放熱フィンはほぼストレスが無い事が災いし、ここを抜ける音もなかなか勇ましい。
ファンの取り付けには防振ブッシュが採用されているものの、駆動振動云々を言う以前のレベルでアイドル時/高負荷時いずれも静音とは少々離れたところが見受けられた。“高床式”が好みで、どうしても静音PCを構築したい場合は、汎用のリブ無し120mmファンに換装して使用する事も検討すべきかもしれない。
【冷却性能】 4.0ポイント
数字上、高負荷時での温度は「KUHLER-BOX」には3℃ほど劣るものの、非ダイレクトタッチで、トップフロー形状を考慮すれば、十分及第点以上の性能を備えている。またテスト後の解説でも触れたように、放熱フィンへの熱移動は確実に行われている事も証明されており、言い換えれば基本に忠実なCPUクーラーとなるだろう。
ではなぜ5点満点ではないのかと言えば、やはりこのスタイルの限界を感じるからであり、これ以上冷却能力の高さを求めるならば、ファンの風量に頼るしかない。その影響で【静音性】のポイントが低くなり、【冷却性能】のポイントが上がっても、結局プラスマイナスがゼロ(またはマイナス)になってしまう。この点こそが、メーカーのPM(プロダクトマネージャー)が頭を悩ます重要なチューニングの根幹となるわけだ。
【取り付け易さ】 4.0ポイント
取り付け方法に関しては前回テストの「KUHLER-BOX」同様となるため、4.0ポイントとした。ただし、前回も触れたように限りなく3.5ポイントに近い事は繰り返させて頂こう。「KUHLER-BOX」では、リテンションのパーツ点数削減を提案したが、今回は「KUHLER-SHELF」のバランスがヒートパイプ側に傾くために起こる取り付けにくさが露呈した。
この形状はどうしても重心が片側に偏ってしまうため、ネジ留め式は少々手こずる事になる。コツは重心側となるヒートパイプ側の2点を先に仮留めし、残りのネジを締めて行くと良いだろう。しかしながらやはり要改善項目である事には違いなく、少々甘いジャッジとなっている。
【コストパフォーマンス】 4.5ポイント
「一点突破」では“費用対冷却性能”だけでなく、その作りの善し悪しも重要なポイントとして考慮したい。前述通り、このスタイルを採りながらも高い剛性は完成度が高く、放熱フィンとヒートパイプの接合箇所も良好で、十分に熱が伝導している。筆者の勝手な想像ながら、Antec“CPUクーラー3兄弟”の長兄「KUHLER-BOX」との差別化を図るために想定売価が500円ほど抑えられているように感じるが、実際に両者を比べると、同価格でも良いのではないかと思われる。
というワケで、コストパフォーマンスに関しては満点の5.0ポイントに近いレベルと言って差し支え無いだろう。 |
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Antec「KUHLER-SHELF」総合評価 |
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【エルミタ的検証用CPUクーラー募集】
エルミタ的「一点突破」では検証希望CPUクーラーを募集しています。国内外を問わず、ご興味のあるメーカー様・代理店様は編集部までご一報ください。 |
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機材協力:株式会社リンクスインターナショナル
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