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エルミタ的「一点突破」 CPUクーラー編 Vol.8 Antec「KUHLER-SHELF」検証
エルミタ的「一点突破」 CPUクーラー編 Vol.8
Antec 「KUHLER-SHELF」検証
2010年7月23日 2:00
TEXT:GDM編集部 松枝 清顕
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Antecの“高床式”トップフロー「KUHLER-SHELF」検証
第8回エルミタ的「一点突破」CPUクーラー編は、前回予告から若干変更し、Antec
「KUHLER-SHELF」
を検証してみたい。さてなにがどう変更かと言うと、実は前回お届けした
「
KUHLER-BOX
」
と同時リリースされた
「KUHLER-FLOW」
を一緒に検証する予定でいたが、似たヒートシンク形状を採用しているとは言えタイプが全く違うため、やはり別に検証すべきと感じたからに他ならない。
と言うわけで、「KUHLER-FLOW」については後日お届けするのでそちらも期待して頂ければと思う。
さて、Antecが満を持して市場に本格投入を果たした3モデルのうちのひとつ、「KUHLER-SHELF」は、トップフローレイアウトのCPUクーラーで、放熱フィンと120mmファンをφ6mm 7本のヒートパイプで持ち上げた、いわゆる“高床式”が採用されている。
この特殊とも思える形状の利点を考えてみると、CPUと放熱フィンを高い位置に切り離す事で、直接的な温度上昇を防ぐ事ができると共に、120mmファンからのエアフローが受熱ベース部だけでなくCPUソケット周りのコンポーネントにまで冷却効果があると言われている。
以前どこかで指摘したと記憶しているが、筆者はCPUクーラーからのエアフローが周囲に良い影響を及ぼすというキャッチについては非常に懐疑的で、マイクロバーストのような状況をマザーボード上に発生させて、周囲も温度が下がるという考え方は単なる理論上に過ぎず、大口径吸排気ファンが多数搭載される昨今のPCケース内では、それらの影響の方が大きいため、劇的な効果は得られないと考えている。
さらに同じく理論上では隣接するメモリおよびグラフィックスカードPCB背面への影響に関しては、“無いよりはマシ”程度のレベルであり、過剰な期待や過信はしない方が良いだろう。これについてはいずれ検証テストを行おうと考えている。
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「KUHLER-SHELF」外観をチェックしてみる。
相変わらずの脱線になってしまったところで、「KUHLER-SHELF」の外観からチェックしてゆこう。
実測値150×165×200mmのパッケージ。「KUHLER-BOX」同様、中は2ピース構造のブリスターパッケージが収められている
ヒートパイプ反対側のカバー部には“Antec”のロゴがプリントされている。その容姿はなかなか美しい
ヒートパイプはφ6mm×7本。上段3本、下段4本が互い違いにレイアウトされ、放熱フィンに均等に熱を拡散される工夫がなされている。なおベース部の厚さは実測値で20mm。放熱フィン枚数は55枚
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“高床式”を採用する利点と、各メーカーへの要望など
「KUHLER-SHELF」を語るには、やはりその特徴的なスタイルがポイントとなるだろう。
とは言うものの、これまでにも多くの種類がリリースされたデザインであるため、珍しいという表現は当てはまらない。ただし昨今のCPUクーラーは、判で押したようにサイドフロー型がデファクトスタンダード然と化しているため、逆に新鮮な印象を持つかもしれない。
そんな“高床式”の利点として気がつくのは、その高さ故の空間スペースが挙げられるだろう。これまでの「一点突破」でも、大型ヒートシンクを採用するサイドフロータイプのCPUクーラーでは、メモリソケット部分にまでヒートシンクが出っ張る事で、大型ヒートシンク付きメモリの装着が物理的不可能となるケースがあった。ハイエンドやオーバークロックユース向けと謳いながら、それらに不可欠なヒートシンク付きメモリが装着できない等、本末転倒も良いところ。購入後、装着の段で初めて気がつく意外なる死角により、搭載を諦めたという読者も少なからずいるのではないだろうか。
一部のメーカーでは、この件に関しての注意喚起が事前になされているケースも確認できるが、多くの場合パッケージにそれが大きく謳われているモデルは無いに等しい。事前にアナウンスがなされているモデルを“親切”と感じるレベルでは問題であり、きちんと表示しておくのが当たり前の事となって欲しいものだ。(筆者もかなりの損を経験している)
高床式で問題になるのはその強度だが、φ6mm×7本のヒートパイプががっちりとベース部に装着されているため、ヒートシンクがぐらつくことも無い
テストで使用しているメモリの高さは実測値は30mm。ちなみに大型で知られるCORSAIR DOMINATOR GTシリーズの全高は53mmだが、十分なスペースが確保できている
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リテンションをチェックしない代わりに、ファンをチェックする
前回Antec CPUクーラー3兄弟の長兄的存在「KUHLER-BOX」をお届けしたが、「KUHLER-SHELF」のリテンションは同じモノが採用されているためここでは割愛し、搭載ファンに目を向けてみる事にしよう。
「KUHLER-SHELF」搭載ファンは120×120×25mmのリブ無しモデルが採用され、フレームおよびインペラは半透明タイプとなっている。
半透明の理由は、LED搭載ファンとの汎用フレームが採用されているためで、側面にはLEDを埋め込む穴が確認できる。なおフレームの強度にはなんら不安は無く、比較的硬質な印象を持った。
リブ無し半透明タイプの120mmファン。スペックやメーカーを示すラベルは付けられておらず、代理店発表の1000〜2200rpm PWM可変ファンである以外の情報は無い。ならば調べてみよう
さてここからは完全に推測となる事をご了承頂き、どんどん進めて行くと、前回のテストで
“DYNATRONのOEMではないか”
と半ば勝手に推測している。
これは同梱のグリスに貼り付けられていたラベルと、同社サイトにそっくりなモデルが確認できたという理由からだったが、今回も念のためDYNATRONのサイトを確認してみる事にした。しかしながら今回は「KUHLER-SHELF」に似たモデルは掲載されていなかった。ならばとリテール向けCPUクーラー搭載のファンを探してみたところ、非常に近い120×120×25mmファンを発見。もしこのファンと同じだとするならば、以下のようなスペックとなる。(ちなみにフレームとインペラのカラーは全透明タイプ)
120×120×25mm DC12V PWM / Sleeve Bearing
At Duty Cycle 0%
1000rpm
36.64CFM
19.38dBA
At Duty Cycle 20%
1500rpm
54.96CFM
28.18dBA
At Duty Cycle 50%
1700rpm
62.28CFM
30.90dBA
At Duty Cycle 100%
2200rpm
80.60CFM
36.50dBA
「KUHLER-SHELF」は代理店製品情報で詳細スペックを公開しておらず、さらにファンには型番や仕様が記されたシールも貼り付けられていないため、本当に推測となるが、見る限りでは非常に似たモデルだけに、おおよそこのスペックと見て良いだろう。
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・サイズ:140(奥行)×120(幅)×140(高さ)mm
※ヒートパイプの突起部分を高さに含まれています
・ヒートパイプ材質:銅
・φ6mmm×7本
・ベース素材:アルミニウム
・フィン素材:アルミニウム
・定格電圧:12V
・ファンコネクタ:4ピン
・ファンサイズ:120mm
・ファン回転数:1000-2200rpm
・ファン機能:PWM制御
・RHOS:適合
・対応ソケット:Intel LGA775/1366/1156
AMD Socket AM2/AM2+/AM3
・重量:720g
・保証2年間
・付属品:Intel LGA1366マウンティングキット、Intel LGA1156マウンティングキット、Intel LGA775マウンティングキット、AMD Socket AM2/AM2+/AM3マウンティングキット、ミニレンチ、リテンションマウント、CPUグリス
・市場想定売価税込4,500円前後
・発売日:2010年6月26日
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代理店製品情報
Vol.1 サイズ「夜叉」
Vol.2 Thermalright「Venomous X」
Vol.3 Thermaltake「Contac 29」
Vol.4 Thermaltake「Frio 冷却魂」
Vol.5 Intel「Core i7-980X Extreme Edition純正クーラー」
Vol.6 サイズ「忍者参」
Vol.7 Antec「KUHLER-BOX」
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