|Pentium 620Tと組み合わせて省電力化に挑戦
現在懸念されているのは電力問題。PCを組む上でも“節電”を重視したり、これから暑くなる季節に向けて、発熱を少しでも減らしたいと考えているユーザーは少なくないだろう。すでにIntel、AMDとも、ATOMやFusion Eシリーズといった省電力向けのプラットフォームを用意してはいるが、性能面での制限が大きくメインマシンで使用するにはチョット不安がある。そこで今回はTDP35Wと省電力ながら実売価格が6,000円前後と安価な「Pentium G620T」を使ってPCの省電力化を試してみることにした。
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「Pentium G620T」のTDPは35Wとデスクトップ向けCPUとしては非常に低く抑えられている。ただし、動作クロックが2.2GHzと無印の「Pentium G620」の2.6GHzから400MHz低下している点には注意が必要だ |
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今回は5月13日リリースの最新BIOSである「F4」を使用したがPentium G620Tを正しく認識している |
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Pentium G620Tの「CPU-Z1.5.6」の結果。HyperThreadingには対応していないため2スレッドまでとなる |
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|ベンチマークで「Pentium G620T」の性能をチェック
まず「Pentium G620T」の性能を確認するためベンチマークを確認していこう。今回は省電力向PCの比較ということでスコアは「エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.75 ファンレスFusion、ASUSTeK「E35M1-I DELUXE」検証」の結果を流用することにした。OSがSP1になっているものの、それ以外のハードウェア条件は出来る限り同じ環境を用意しスコアを測定している。
ベンチマークを確認する限り、CPUについては「E-350」の約2倍、定格動作の「Athlon X2 240e」とほぼ同等のスコアとなった。GPUのスコアも「E-350」より4割以上高く、総合スコアでも「ファイナルファンタジー11ベンチマーク3」を抜かせば今回テストした中で最速となった。「Pentium G620T」の実力は省電力CPUとしてはかなり高いことがわかる。
|低電圧化による「Pentium G620T」の省電力化に挑戦
続いて本題となる「Pentium G620T」の省電力化に挑戦してみよう。今回は性能を落とさずに消費電力を削減するため、動作クロックは定格のままでCPU VcoreとGraphics Coreの電圧を下げる方法で行った。「Pentium G620T」のCPU Vcoreは標準で1.065Vに設定されていたが、0.915Vまで下げることができた。一方、Graphics Coreについては定格1.050Vで0.05V刻みでの調整が可能となっているが、1.045Vでもベンチマークが完走しなかったため今回はそのままとした。
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低電圧動作時のBIOS設定。今回のCPUでは0.915Vまで下げることができた |
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「EasyTune6」で電圧設定を確認したところ。CPU VCoreが0.915Vになっていることが確認できる。ちなみに定格の電圧は正常に取得できていなかった |
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消費電力の測定はこれまでと同様「Watts up? PRO」を使い、30分放置して最も低い状態をアイドル時、「3D MarkVantage 1.0.2」実行中で最も消費電力が高かった時点を高負荷時とした。
「Pentium G620T」の消費電力は定格動作させた場合、最大で69.2WとTDP45Wの「Athlon II X2 240e」と比較しても約17W程低い。これはデスクトップCPUとしてはかなり優秀な数値といっていいだろう。さらに0.915Vまで動作電圧下げた場合、負荷時の消費電力は8.8W下がり60.4Wとなった。さすがに「Fusion E-350」の53.1Wに比べると7.3W高いものの、倍以上のCPU性能と最大4割高いGPU性能を考えれば十分納得いく結果だ。
消費電力は削減したいが、性能は妥協したくないという場合「Pentium G620T」と「GA-Z68MX-UD2H-B3」の組み合わせはパフォーマンスと消費電力のバランスが良くおすすめだ。 |