「エルミタ的速攻撮って出しレビュー」番外編
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エルミタ的「一点突破」 PCケース編 番外編 CORSAIR「CC600T」検証
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CORSAIR「CC600T」を実際に組み込んでみた
組み込み易さ等をチェックするため、実際に組み込んでみたが、PCケース第3作目とは思えない完成度の高さを感じる事ができた。
数え切れないほどのPCケースがサンプルとして市場に流通しているが、闇雲に“いいとこ取り”をするワケでもなく、それでいて古めかしさ等は当然ながら皆無。現在主流のポイントを押さえつつ、使い勝手の良さは秀逸と言える。
リテールクーラーを使い、実際に組み込んでみたが、特筆すべきはケーブルマネジメント。ケーブルホールが随所に用意されているため、ケース内部を美しく仕上げる事ができる。これはイコール、ケース内エアフローを邪魔すること無く、理想的な吸排気レイアウトが構築できるというワケだ
マザーボードトレイ背面。どうしても複雑に入り組んでしまうケーブルは、極力こちらのスペースに収めたい
拡張カードスペースの有効奥行きサイズは実測値で340mm
HDDケージ上段を取り払うと、長モノグラフィックスカードが搭載できる広大なスペースが出現する(実測値440mm)。今後これだけのスペースを用意しても搭載できないグラフィックスカードが登場した場合“お手上げ”だが、仮にリリースされたならばPCケースの問題ではなくグラフィックスカード側の大問題と言えるだろう
少し頑張ればもうちょっと綺麗にレイアウトできるであろう背面の様子その2。たくさんのケーブルマネジメントホールと、結束バンドを掛ける穴が用意されているため、自在にケーブルレイアウトを行う事ができる。ケーブルマネジメントはクラス最上位と言えるだろう
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エルミタ的観測。逆行する販売戦略は今後要注目だ
今年の「COMPUTEX TAIPEI 2010」でお披露目され、つい先日、満を持して発売が開始されたCORSAIR「CC600T」。チェックポイント個別の解説は後ほどお送りするとして、最後は個人的に気になるCORSAIRの販売戦略について触れておきたい。
冒頭でも述べたように、CORSAIRはそもそもPCケースに関しては新規参入者だ。これまで多くの種類をリリースしてきたPCケースメーカーからすれば、当初「お手並み拝見」と言った感覚を持ったかもしれない。実は筆者もそれに近い目で見ていたが、実際に触れてみると、それが間違いである事に気がつかされた。CORSAIRは侮れない。
後発の場合、それは慎重に戦略を立て、これまで築き上げてきたブランドを汚さないモデルを投入してしかるべきだが、さていつ頃からこのプロジェクトが立ち上がったのだろう。
ご存じのように、CORSAIRはメモリに飽きたらず、電源ユニットのシェアを徐々に伸ばし、国内市場でもハイエンド系モデルでは必ずといって良いほど選択肢のひとつに挙がるまでに成長した。そしてPCケースのリリースを2009年後半から本格的にスタートさせ、現在3モデルが流通している。
ここで気がつくのは、
通常の販売戦略とは逆に進行している
という事だ。つまり、PCケースカテゴリを充実させた後に電源ユニットカテゴリに食指を伸ばすパターンはこれまでにも多く見られたが、CORSAIRはその逆を行き、第一段階での及第点を見事にクリアしている。
PCケースのヒット作はあっても、なかなか電源ユニットが思うように売れないというメーカーは多い。しかし電源ユニットから始まったCORSAIRは、これまでのパターンを打ち破り、今後もいろいろな新作PCケースを用意してくるだろう。果たしてこの戦略は正しいのか。これからの動向にも注目したい。
CORSAIR 「CC600T」 エルミタ的総合評価
【静音性】 5ポイント
そもそも低回転(静音)で、ある程度の風量を得るために200mm口径ファンが採用されているワケだが、「CC600T」も十分にその恩恵を受けている。サイドパネルに通気口が無い事も、音漏れ防止の役割を果たしてくれているのかもしれない。
【組み込み易さ】 5ポイント
実に組み込みし易いPCケースだった。電源ユニット搭載時に若干とまどうかもしれないが、マイナス要因とまでは言えず、全てにおいて容易に組み込む事ができる。またケーブルマネジメント用ホールが通常のPCケースより多いため、いかにうまくケーブルをまとめてやろうか、という楽しさも味わえた。
【剛性】 4.5ポイント
シャーシの剛性は高いものの、外装にプラスチックパーツが多いため、若干の弱さを感じてしまう。既存の上位モデル「CC700D」、「CC800DW」に触れてしまうと余計に感じてしまう点ながら、一般的に見ればもちろん合格点と言えるだろう。マイナス0.5ポイントは、CORSAIRブランドのラインから見た評価と考えて頂きたい。
【拡張性】 4.5ポイント
“ミドルタワーながらフルタワーの拡張性”の意味は、豊富なドライブベイと拡張スロットが通常よりも1段多い8段構成であること、さらにトップ部に120mm×2基仕様のラジエーターが搭載できる点。長モノグラフィックスカードのマルチ構成にも難なく対応する事で、ほぼ満点と言える。ただ満点に0.5ポイント及ばない理由は、ファンの追加搭載スペースが無い事だろう。本文とは矛盾するが、“必要以上にファンを搭載させる意味は無い”とは言え「せめて拡張カード部(側面)に1基分のスペースは欲しかった」と思うユーザーは少なくないだろう。その声を反映しての評価とした。
【冷却性能】 4.5ポイント
ファン構成でも説明した通り、PCケースの冷却性能はファンの個数で決まるとは限らない。要は効率よくPCケース内の排熱ができれば良い。
このモデルではオーソドックスとも言える前後/トップ計3基のファンで冷却が賄われているが、ケース内部には十分な風が流れている。これは今時珍しくサイドパネル部に通気口やファン搭載スペースが無い事も要因となっているようだ。つまり密閉している分、余分な箇所から空気が漏れること無く、ファン搭載箇所から想像通りの排熱ができていると言える。モデル毎の性格があるので、一概に善し悪しは断言できないものの、「CC600T」では、このモデルなりのコンセプトが性能に活かされていると言えるのではないだろうか。
【コストパフォーマンス】 4ポイント
執筆時点での実勢価格税込22,800円前後をどう見るべきか。市場的に性能とデザインが良いと言われ、15,000円前後で購入できるPCケースと価格だけを単純比較すれば、当然高価な部類となるだろう。ただし細部に目を配れば、金額なりの説得力が見えてくるはずだ。それがまったく見えてこない困ったPCケースも存在するが、少なくとも「CC600T」はその部類ではない。
普及価格帯モデルはPCパーツ専門店以外の店頭にも並ぶため、大量生産・大量販売体制が敷かれ、価格がある程度のラインに落ち着くが、さすがにこのモデルではその類ではないため、ある程度の価格(1万円台)は諦めなくてはならないだろう。その分妥協すること無く、自由にデザインやレイアウトができる。「CC600T」で具体的に言うならば曲線を使ったプラスチック成形部品や、8角形サイドパネル、プッシュ機構等が挙げられる。ギミックとして目立つファンコントローラーとは比べものにならないほど、それらにはコストが掛かるのだ。
作り手からは当然の価格でもユーザーに不要と思われれば高価と思われるだけであり、この辺りのバランスは非常に難しい「CC600T」は、作り手側の意志が強く込められたモデルとなるため、かなり判断が分かれる所だが、4ポイントとした。
機材協力:CORSAIR
機材協力:株式会社リンクスインターナショナル
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・外形寸法 W265×D592×H507mm
・素材 SECC + プラスチック
・重量 約11.3kg
・5.25インチ×4
・3.5インチシャドウベイ×6
・電源 非搭載
・対応 ATX/MicroATX
・I/O USB3.0×1/USB2.0×4/オーディオin/out(AC97/HD Audio対応)/IEEE1394×1
・ファン フロント200mm×1、リア120mm×1、トップ200mm×1
・実勢価格税込22,800円前後
・発売日:2010年10月2日
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メーカー製品情報
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代理店製品情報(リンクスインターナショナル)
Vol.1 Antec「DF-85」検証
Vol.2 サイズ「月光サイレント」
Vol.3 NZXT「PHANTOM」
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