「エルミタ的速攻撮って出しレビュー」番外編
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エルミタ的「一点突破」 PCケース編 Vol.1 Antec「DF-85」検証
エルミタ的「一点突破」 PCケース編 Vol.1
Antec 「DF-85」検証
2010年8月5日 3:45
TEXT:GDM編集部 松枝 清顕
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「一点突破」新シリーズ PCケース編スタート
これまで
「エルミタ的速攻撮って出しレビュー」
の番外編としてお送りしてきた
「一点突破」
。これまでCPUクーラー編を9回に渡りお届けしてきたが、いよいよ新カテゴリ“PCケース編”がスタートする。
まず最初にお断りしておくと「速攻撮って出し」は、基本的に新製品や鮮度の高い話題のパーツを中心に選定し、文字通り“エイやっ”とばかりに1〜2日程度でテストを行うが、「一点突破」では、
筆者の個人的に興味のある製品を独断でチョイスし、数日間寝食を共にしながら徐々に掘り下げて行くという手法
を採っている。(あくまで基本的にです)
CPUクーラーの場合でもすぐに火を入れる事はせず、作業の合間に手にとっては眺め、稼働させてみたくなるまでテストは行わない。(だから遅いのかと納得された関係者の皆様、スミマセン)
というわけで今回第1弾としてお届けするミドルタワーケース、
Antec「DF-85」
も編集部到着からだいぶ“熟成”された製品となるが、実際に眺めている間に、色々な注目点を見つける事ができた。そこでそろそろ頃合いとなった「DF-85」を、「速攻撮って出し」と違ったスタンスから、細部をチェックして行く事にしたい。
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Antec「DF-85」は本当に良いPCケースなんだろうか?
Antecの
“DARK FLEETシリーズ”
に属する最上位モデル
「DF-85」
。発売以来、内外問わずあちこちで採り上げられている注目のPCケースである事はご存じの通り、ハイエンドゲーマー向けの高エアフローモデルとして、市場での人気も高いと聞く。
そもそも筆者の認識は、Antec=静音PCケースというイメージが未だ変わらず、最近のラインナップにはどうも馴染めないでいる。
最近のラインナップとは一連の
「xxx HUNDREDシリーズ」
を指し、Antecは静音PCケースブームの立役者としてナンバーワンPCメーカーとなったが、数年前から高エアフローをウリにするゲーミングPCケースへと徐々にシフトして行く事になった。
当時のインパクトから、筆者同様の呪縛が解けない人も少なからずいるのではないかと思うが、いつまでもそうは言っていられない。時流に乗るためにもここは「DF-85」でそのイメージをガラリと変えようというのが今回の個人的目論見の一つとなっている。
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DARK FLEETシリーズならではのギミックが満載
では早速「DF-85」を画像中心にチェックして行こう。なお本稿では全体画像から入る、定石通りの外観や内部紹介は割愛した。その理由はAntec国内正規代理店のリンクスインターナショナル製品情報サイトやその他で既に詳細は紹介され尽くしており、今更重複してもという思いに加え、あまり紹介されない部分(明につき暗につき)をお届けしたいからだ。(決して面倒だからではない、、、)
いきなり組んでしまった「DF-85」。構成部品はCPUクーラー編と同じパーツを使い、CPUクーラーにはAntec「KUHLER-BOX」をチョイス。なおCPUクーラーは本稿とは別の冷却テストを行ったため、エアフローが敢えて縦方向に搭載されている事をご了承いただきたい
●トップ部の2.5インチホットスワップベイはかなり便利
イマドキのPCケースでは、エアフローと共にドライブベイの豊富さが必須とされている感がある。「DF-85」はいずれも申し分無く、ドライブベイについて先に見て行くと、5.25インチオープンベイ×3、3.5インチシャドウベイ×9、2.5インチシャドウベイを底面に用意し、さらにトップ部には
2.5インチビルトインホットスワップベイ
が装備されている。
これはSATAインターフェイス(3Gbps)を持つ2.5インチSSDまたはHDDに対応したホットスワップベイで、それらをカートリッジ式に着脱使用ができるというものだ。
弟分の
「DF-35」「DF-30」
にも装備されたこのギミックは、手軽さだけでなくアクリルカバーを採用する事で装着したデバイス本体が常に見える状態となり、“見た目重視”の演出がなされている。恐らくはSSD装着を想定してのギミックであり、まだまだ高価な部類となるSSDの存在感を味わうことが出来る装備として、特別な印象を持たせる狙いがあるのだろう。実際に使用してみたが、使い勝手は非常に良好。
フロント上部に用意された2.5インチビルトインホットスワップベイ。やはりここにはSSDがよく似合う。なおケーブルはケース内部引き回しにて装着する
透明カバーにより、装着したストレージデバイスがいつでも視認できるような演出は、自作ユーザーの“ハートを掴む”的なギミックと言ったところか
5.25インチオープンベイ部には、右側蝶番のフタが装着されている。これを装備する利点は別段無いものの、デザイン上では重要な構成部品のひとつと言えるのだろう
フリートスワップベイはSATA HDDをフロントアクセスにより簡単にホットスワップする事が可能。2台分1組が2個、計4台の3.5インチHDDで使用が可能だ
フロントにはUSB3.0対応ポートを用意。対応機器や搭載マザーボードが増えたイマドキPCケースである事が分かる象徴的な装備のひとつ
現状USB3.0はマザーボード上にピンヘッダが無いため、フロントUSB3.0対応ポートを使用するにはケース背面までケーブルを引き回す方法を採らざるを得ない。なお拡張スロット部にUSB3.0ケーブル“抜け穴”が用意されていた
●電源ユニットレイアウトは独自電源に特化?
電源ユニットはボトムレイアウト。これも現在の主流の沿った形を採用しているが、やや違うところはシャーシボトム部に吸気ファン用の通気孔が無い点。ボトムレイアウト採用のPCケースのほとんどは、吸気ファンを下向きに搭載させ、電源の冷却を“自己完結”させているが、「DF-85」では画像通り上向きにしか搭載ができない。
少々残念と感じる人もいるかもしれないが、このモデルではAntec専用電源
「CP-850」
「CP-1000」
搭載に対応しており、ストレートエアフローを採用する両モデルを暗に推奨しているのかもしれない。
電源ユニットはボトムレイアウトを採用。ただし底面に吸気ファン用の通気孔が無いため、ファンはケース内部方向に設置する事になる。なお奥行きにはかなりの余裕があり、ボトム2.5インチストレージデバイス用スペース(底面4つ穴部)を使わなければ270mm程度の奥行きまで対応できる
●大型インシュレーターや水冷ホールなど
インシュレーターはオーソドックスな“ゴム足”が採用されている。高さは実測値で約6mm、直径は約30mmだった。表面はグリップ感を高めるブツブツがあり、フルスペックの重量級パーツ構成でも心許ないという印象は無いだろう。
また背面には水冷ユニットユーザー用に、ホース用抜け穴が2口用意されている。これも現代のPCケースでは必須ギミックとなっている。
ゴムインシュレーターは一般的なもので、高さは実測値で約6mm、直径は約30mm
背面には水冷ホールを装備。ゴムグロメット付き
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CPUクーラーメンテナンス用ホールについて
最近のPCケースにはマザーボードトレイ部にCPUクーラー用メンテナンスホールが高確率で用意されている。これまでバックプレートを用いた汎用CPUクーラーは、換装時にマザーボードを外す必要があったが、この単純なカットにより、そのままの状態で換装ができるというワケだ。
出たての頃は「よく考えたなぁ」と思ったものだが、、、
「DF-85」にも“CPUカットアウト”が採用されているが、一見すばらしいギミックと思いきや、実際にこの穴を利用しての換装でもそう易々とは行かない。
バックプレートを使ったネジ留め式を採用したCPUクーラーは、そもそもIntelリテールのプッシュピン“リファレンス・ファスナー”の限界重量を超えた1kg級モデルの搭載方法だが、ヒートシンク自体の重量があるため、垂直方向のマザーボードにケース内部からネジを締めて行くにはかなりコツがいる。さらに大型CPUクーラーの場合、多くは左下のスペースが無く、ましてやドライバーなど使えるワケもない。
実際に換装を試した人ならばお分かり頂けると思うが、過信は禁物なギミックである事を付け加えておこう。
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ケース幅がややタイトだけに起こること
これはAntec PCケース共通して言える傾向だが、「DF-85」は意外にも側面開口部の幅が狭い。“極端に狭い”というワケではないが、その雰囲気は画像からも見て取れるだろう。
近ごろの
PCケースの奥行きは、グラフィックスカード長から設計される事が多い
。ハイエンド構成ユーザーの需要を満たすには当然の事となるが、カードスペースが狭い事でセールスに影響が出る可能性は否定できないはずだ。その証拠に以前にはなかった“カード搭載スペース”のサイズ記載が多く見られるようになっており、それを大きくアピールするケースが目立つ。
さて「DF-85」だが、実はその記載が見当たらなかったので、実際に測ってみると、有効スペース幅は300mmを少し超える程度であった。あまりにも長いATI Radeon HD 5970のリファレンスカード長は300mm超えなので、やや厳しいと言わざるを得ないが(HD 5970が長すぎると言いたい)、それ以外のカードでは難なく搭載させる事ができるはずだ。
その他、若干の幅の狭さから起こる気がついた事を以下の画像で紹介しよう。ただしいずれも通常使用においてはなんら不都合が無い事を念のため付け加えておきたい。
実測値165mmの一般的なDVDスーパーマルチドライブを搭載すると、トップ140mmファンとの隙間はほぼ皆無
よく出来ていると言うべきか、リアとトップファンは重なるようにレイアウトされているため、リアファンを着脱する場合はまずトップファンを外す必要がある
今回使用したグラフィックスカード ASUSTeK「ENGTX260 SP216」(267mm)とベイまでの隙間は残り40mm程度。フリートスワップベイを直線位置にレイアウトすると両者は干渉してしまうため、任意箇所にずらす必要がある
・次のページからは、「DF-85」の大きな特徴となる、強力なエアフロー能力について検証して行く。実際にシステムを組み込んだ状態でのケース内温度、CPU温度、GPU温度はどのような結果になるのだろうか。
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・213(幅)×505(奥行き)×596(高さ)mm
・
5.25インチ×3/2.5インチ×1/2.5インチビルトインホットスワップ×1/3.5インチシャドウベイ×9
・拡張スロット×7
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材質 冷間圧延鋼 (スチール)
・規格 ATX/MicroATX/Mini-ITX
・電源ユニット別売り
・ファン フロント120mm×3/リア120mm×2、トップ140mm×2/サイド120mm×1(別売り)
・市場想定売価税込22,800円前後
・発売日:2010年5月22日
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代理店製品情報
Vol.1 サイズ「夜叉」
Vol.2 Thermalright「Venomous X」
Vol.3 Thermaltake「Contac 29」
Vol.4 Thermaltake「Frio 冷却魂」
Vol.5 Intel「Core i7-980X Extreme Edition純正クーラー」
Vol.6 サイズ「忍者参」
Vol.7 Antec「KUHLER-BOX」
Vol.8 Antec「KUHLER-SHELF」
Vol.9 Antec「KUHLER-FLOW」
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