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|エアフローレイアウトを見て行く
ここからは「DF-85」の特徴でもある高エアフローをチェックして行きたい。
このモデルでは標準で合計7基のファンが装着されており、その全てが任意で回転数を制御する事ができる。(フロントは無段階ボリューム式、リアおよびトップは背面スイッチ2段切替)ファンの回転数が変えられる仕様はAntecの伝統的なギミックで、これまでリリースされてきた静音傾向の強いモデルにも切替スイッチが搭載されていた。これを踏襲する「DF-85」のファンスペックは以下表にまとめた通りとなる。
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「DF-85」のエアフローレイアウト図。赤四角は熱源となる場所を示す。またオプションでサイドパネルに120mm吸気ファンが搭載できる他、電源ユニットはファンがケース内部向きにレイアウトされるため、吸気の役割をも果たすことになる |
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フリートリリースドアは計3段を装備。それぞれに120mm吸気ファン(Red LED付き)が搭載されており、吸気面にはホコリ侵入を防ぐ着脱式洗浄可能フィルターが装備されている。Antecは防塵に対する意識が高く、ユーザビリティの面では他社をリードしていると言えるだろう。なおファンコントローラーは、ドア下部につまみが用意されており、個別に回転数を制御する事ができる |
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フロントパネル裏側にあるレバーは、フリートリリースドアをロックするためのもの。とは言え、サイドパネルにセキュリティキーが無いため、さしずめ子供のいたずら防止的な役割 |
トップ部には140mm排気ファン2基を装備。回転数は2段階切替に対応する。装着方法には一般的なテーパーネジが使用されていた |
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リア排気は120mmファン(Red LED付き)2基を装備。トップファンとの位置関係は標準的なものだが、このエアフロー能力の高さが後に議論を巻き起こす(?) |
サイドパネルの拡張スロット部に設けられた120mmファン増設スペース。後述するが増設効果はアリ |
|ケース内温度テスト敢行。高エアフローの恩恵は本物か
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リア上部に設置された「TwoCoolファン」回転数切替スイッチパネル |
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「DF-85」のリア上部には、ファン回転数制御のコントローラースイッチが搭載されている(画像右)。任意設定できるのはTOP/140mmファン2基(L:800rpm/H:1200rpm)、リア/120mmファン2基(L:900rpm/H:1500rpm)。各々を任意設定できるというものだが、筆者のようなずぼらな人は、一度設定すればそうそう切り替える事は無いだろう。
汎用のドライブベイ内蔵型ファンコンがシーンによってコントロールするタイプと定義するならば、こちらはシステム構成によってエアフローの性格を変える事ができるものと捕らえるべきだろう。
さてここで気になるのは「DF-85」のエアフロー能力だ。ここではスピード調節ノブ機能付きフロント3連120mm吸気ファンと、2段階スピード調整機能付きトップ140mm排気ファン2基、同じくリア120mm排気ファン2基の設定の違いによるケース内温度のテストを行う事にしよう。
さらにオプションで、サイドパネルにも120mm吸気ファンを1基増設できるため、フル装備状態での温度変化も見て行きたい。
なお今回のテスト環境は、エルミタ的「一点突破」CPUクーラー編に比較的近い構成とし、CPUクーラーにはサイドフロー型Antec「KUHLER-BOX」を使用した。また室内温度は30.8℃と、相変わらず人間にも辛い環境で各テストを行っている。
なおテスト方法は、ファン回転数各々の組み合わせでCPUとGPUのアイドル時と高負荷時の各温度、さらにケース内温度(ケース内中心部)を計測した。温度計測方法は、CPUとGPUが「HWiNFO32」を、ケース内はサーミスタ付きデジタル温度計を使用。ストレスツールはCPUが「OCCT 3.1.0」20分、GPUは「3DMark06」をそれぞれ使用した。
■サイドファン無しでの各温度計測
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アイドル時 |
高負荷時 |
CPU |
37℃ |
51℃ |
GPU |
50℃ |
70℃ |
ケース内 |
30.5℃ |
31.2℃ |
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アイドル時 |
高負荷時 |
CPU |
35℃ |
51℃ |
GPU |
50℃ |
70℃ |
ケース内 |
29.9℃ |
30.8℃ |
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アイドル時 |
高負荷時 |
CPU |
35℃ |
50℃ |
GPU |
52℃ |
69℃ |
ケース内 |
29.5℃ |
29.7℃ |
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アイドル時 |
高負荷時 |
CPU |
33℃ |
51℃ |
GPU |
50℃ |
70℃ |
ケース内 |
28.9℃ |
29.3℃ |
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■サイドファン有りでの各温度計測(1200rpm/20.5dBA)
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アイドル時 |
高負荷時 |
CPU |
34℃ |
50℃ |
GPU |
49℃ |
69℃ |
ケース内 |
28.8℃ |
29.5℃ |
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アイドル時 |
高負荷時 |
CPU |
35℃ |
50℃ |
GPU |
50℃ |
68℃ |
ケース内 |
28.9℃ |
29.2℃ |
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アイドル時 |
高負荷時 |
CPU |
35℃ |
51℃ |
GPU |
52℃ |
68℃ |
ケース内 |
29.0℃ |
29.5℃ |
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アイドル時 |
高負荷時 |
CPU |
35℃ |
50℃ |
GPU |
53℃ |
68℃ |
ケース内 |
29.4℃ |
29.2℃ |
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|積極的、サイド120mmファン装着のススメ
ここまで計8パターンの組み合わせでテストを行った。この他にもトップファンとリアファンをLow/Highのように回転差をつけて稼働させる事もできるが、今回のテストでは割愛している。
さて結果を数字だけで見て行くと、アイドル状態で最もバランスが良いと言えるのはサイド120mmファン有り時の全Low設定状態だった。本来であれば、風量の多い“サイド120mmファン有り時全High”が一番良いはずだが、何度計測しても1番を取る事はできなかった(CPU34℃→35℃/GPU49℃→53℃/ケース内28.8℃→29.4℃)。
また、高負荷時ではサイド120mmファン搭載の恩恵から、フロントLow/リアHigh設定時、さらにフロントおよびリアHigh設定時が最も良い数字を計測している。これは順当であり、納得の行く結果と言えるだろう。
このテストから言えるのは、オプションとなるサイド120mmファンは積極的に装着すべきという事だ。今回は1200rpmのファンをチョイスしたが、フロントファンの騒音値の高さが幸いし(?)、サイドファンを増設したにも関わらず、実際に騒音値に大きな違いは見られなかった。反面GPU温度は最大と最小差は2℃となり、充分に効果はアリと言えるだろう。
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サイドファン無し |
サイドファン有り |
All Low設定時 |
42.5dBA |
43.0dBA |
フロントのみLow設定時 |
42.6dBA |
43.4dBA |
All High設定時 |
49.9dBA |
50.4dBA |
※ケース前面から30cm位置で計測 |
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と、ここまでやっておきながら正直に言うと、やはりテストには限界があり、8パターン全てを同じ状態からスタートさせているわけではないため、若干のばらつきがあった事はお断りしなければならない。ただしある程度のファンレイアウトによる性格の違いはお分かり頂けたのではないだろうか。
・噂通りの強力なエアフロー効果が実証された後は、編集部に送られた1通の投稿を元に、実験を行うことにしよう。リア排気ファンの静圧能力によるトップファンの変化に注目。 |
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