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エルミタ的「一点突破」 CPUクーラー編 Vol.10 サイズ「羅刹」検証
エルミタ的「一点突破」 CPUクーラー編 Vol.10
サイズ 「羅刹」検証
2010年8月11日 4:00
TEXT:GDM編集部 松枝 清顕
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トライデント多層フィン構造のトップフロー「羅刹」検証
第10回エルミタ的「一点突破」CPUクーラー編
は、株式会社サイズのオリジナルモデル
「羅刹」(らせつ 型番:SCRT-1000)
をチョイスした。
トップフロータイプとなる「羅刹」最大の特徴はヒートシンクデザインにある。このモデルでは、形状の違う“ざく切りフィン”を階段状に並べた
「トライデント多層フィン構造」
を採用。
「一点突破」第1回でお届けし
、高い冷却能力を備えていた
「夜叉」(型番:SCYS-1000)
と同一構造となっている。となれば、自ずと「羅刹」の冷却能力も期待できるのではないだろうか。
というわけでそんな思いを抱きつつ、従来通りディテールチェックから「羅刹」をテストして行く事にしよう。
独特なネーミングセンスのサイズオリジナルCPUクーラー。今回は「羅刹」と名付けられた。「羅刹」は、毘沙門天に仕える2人の鬼神の内の1人。そしてもう1人が「夜叉」となる
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「羅刹」外観をチェックしてみる。
早速「羅刹」の外観チェックをしてみたい。まずは主要スペックを以下表通りにまとめてみた。
さて冒頭でも触れたとおり、「夜叉」と「羅刹」は、いずれも「トライデント多層フィン構造」を採用する点で共通しているが、
エアフローレイアウトに違いがある
。また奇しくも前回お届けしたAntecの
「KUHLER-SHELF」
と
「KUHLER-FLOW」
もサイドフロー型、トップフロー型と、エアフローレイアウトに違いがあり、それぞれの特性にスポットを当ててみたのは記憶に新しい。
ただしサイズの場合は若干事情が異なり、Antecが同一ヒートシンクを採用しつつ、ヒートパイプの加工によりエアフローを変えた手法に対し、サイズは
全く違ったヒートシンクデザイン
が採用されている。つまり「SHELF」と「FLOW」の関係のように、両者を直接比較する事はできない点は留意しておきたい。
お馴染みの外装パッケージ。寸法は215×152×142mm、1010g
「夜叉」同様、φ6mmヒートパイプ6本を採用する「羅刹」。しかし両者のヒートパイプレイアウトは異なる
受熱ベース部は実測値で47×50mm、約2mm厚。さらにトップフローでは効果が期待できる小型ヒートシンクが搭載されている
鏡面加工されたベース部。ヒートパイプはこのサイズ最大の6本がベース部に整列している
別角度から見たベース部とヒートパイプの接合部分
ファンはワイヤーフック式で、ワンタッチ装着ができる
オリジナル小軸&大型ブレード設計の120mmリブ無しの「KAZE JYUNI」PWM可変ファン採用は、「夜叉」同様。ブラケット固定のファンコンで帯域設定ができる
「夜叉」等にも採用されているオリジナルリテンション「改良版VTMS」(Versatile Tool-Free Multiplatform System)。自重730gながらIntelはリテールクーラー同様のプッシュピンを採用。非常に扱いやすい
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トライデント多層フィン構造とヒートパイプレイアウトの関係
ファンのワイヤークリップを外すとよく分かる「トライデント多層フィン構造」。見た目にも幾何学的美しさがある
見た目にも美しい
「トライデント多層フィン構造」
だが、これが良くできている。
5種類の放熱フィンを階段状に並べる事で、放熱フィンの間から抜けるエアフローの速度を変える効果を持たせ、より高い放熱能力が得られる工夫がなされている。
また「羅刹」では独自の冷却手法が採用されている点も特徴で、
「夜叉」の1ブロック構成に対し、このモデルは2ブロックのヒートシンク構成
が採られている。(画像下参照)
(A)のヒートパイプは緑で示した左側を、(B)のヒートパイプは青で示した右側のヒートシンクにそれぞれ貫通する
色分けした2ブロックのヒートシンクは、左側が22枚、右側が30枚で構成され、(A)のヒートパイプは左側(緑)、(B)のヒートパイプは右側(青)それぞれの放熱フィンに貫通している。つまり
φ6mmヒートパイプ3本構成のヒートシンク2個がベース部で合体したCPUクーラー
である事がお分かり頂けるだろう。
「夜叉」が1ブロックヒートシンクを6本のヒートパイプで賄うところ、「羅刹」では2分割=熱を分散させる手法が採られており、両者は全く違ったCPUクーラーという事になる。
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大型トップフローCPUクーラーはここに注意
どうしても指摘しておかなければならない所がある。まずは相変わらずメモリスロットとの“干渉具合”。大型ヒートシンク採用の汎用CPUクーラーではもはや宿命的な注意点だが、念のため「羅刹」でも確認しておくと、1本分のメモリスロットがやはり犠牲になる可能性がある。
ただしヒートシンク下は実測値で40mmの高さが確保されており、
一般的なメモリモジュールであれば、難なく装着する事は可能
だ。
それよりも問題だと感じたのは、電源回路に隣接するリテンションだ。実は今回使用したマザーボードには、最近よくあるVRM用大型ヒートシンクがL字配列されていた。この“壁”により、ヒートシンク下の隙間がごく僅かになり、どうしてもこの箇所のプッシュピンが押せなくなってしまうトラブルに遭遇した。
今回は平らな板状の鉄を使い、マザーボードと平行にした上でどうにかプッシュピンを押し下げたが、これを外す場合はまずVRMのヒートシンクを外さなくてはならないだろう。
大型汎用CPUクーラーをチョイスする場合は、こんな部分も気に掛ける必要があるという教訓的事態となった。
1本目のメモリスロットに掛かってしまうが、ヒートシンク下実測値で40mmの余裕は残されている。大型ヒートスプレッダ搭載やメモリファンが装着できるハイエンドなメモリではどうしても干渉してしまうだろう。自身の構成を事前にチェックしておきたい
VRM周りにレイアウトされるヒートシンクにより、プッシュピンが押せない事態に
次は「羅刹」の冷却能力各種テストを行う。「トライデント多層フィン構造」は、トップフローレイアウトでも威力を発揮するのだろうか?
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・サイズ:130×141×H130mm(クーラー全体)
120×120×25mm(付属ファン)
・ファン回転数:
740±25% 〜 1900rpm±10%(最大帯域)
470±30% 〜 1340rpm±10%(最小帯域)
・ノイズ
9.8 〜 37.0dBA(最大帯域)
7.05 〜 27.3dBA(最小帯域)
・風量
37.15 〜 110.31CFM(最大帯域)
23.0 〜 76.53CFM(最小帯域)
・対応CPU
Intel LGA1366/1156/775
AMD Socket AM3/AM2+/AM2/754/940/939
・ヒートパイプ:6mm径×6本
・本体重量:730g
・付属品:グリス、日本語マニュアル
・市場想定売価税込3,980円前後
・発売日:2010年7月7日出荷開始
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メーカー製品情報
Vol.1 サイズ「夜叉」
Vol.2 Thermalright「Venomous X」
Vol.3 Thermaltake「Contac 29」
Vol.4 Thermaltake「Frio 冷却魂」
Vol.5 Intel「Core i7-980X Extreme Edition純正クーラー」
Vol.6 サイズ「忍者参」
Vol.7 Antec「KUHLER-BOX」
Vol.8 Antec「KUHLER-SHELF」
Vol.9 Antec「KUHLER-FLOW」
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