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|テスト機材アップデート EVGAマザーボードに変更
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EVGA「141-LF-E658-KR」 |
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これまで「一点突破」を始め、エルミタで活躍してきたIntel P55マザーボード、GIGABYTE「P55A-UD3」がこのほど退役となった。紙面に載らないところでも活躍し、酷使されたマザーボードは、編集部でひっそりと余生を送ることに。
そこで今回から新規に着任したのがEVGA「141-LF-E658-KR」だ。国内正規代理店の株式会社リンクスインターナショナルが扱うEVGA社のハイエンドユーザー向けATXマザーボードで、今後あちこちのテストで活躍してくれる予定。
なお「一点突破」では、マザーボードの変更以外、これまで同様の構成でテストを行っている。
|エルミタ的レギュレーション
|CPUクーラー計測環境および計測方法
1.マザーボードはケースに組み込まない状態で計測する
(ケースファンなどケース内エアフローの影響を受けない状態で、できる限りCPUクーラー本来の性能を見る)
2.マザーボードなどの各種設定はデフォルトのまま行う
3.CPU全コアに100%負荷をかけ、5回テストを行う
(計5回テスト中、平均値のスコアを掲載)
4.騒音値は、ファンから10cmの距離で計測
(騒音計はファンと垂直方向に設置)
5.高負荷状態は「OCCT 3.1.0」を使用
(アイドル時および高負荷時(100%/20分)の数値を計測)
6.コア温度およびファン回転数は「SpeedFan 4.40」を使用
(アイドル時および高負荷時(100%/20分)の数値を計測) |
検証使用機材 |
CPU |
Intel「Core i5-750」 Lynnfield
(2.66GHz/TB時最大3.20GHz/TDP95W) |
マザーボード |
EVGA「141-LF-E658-KR」
(Intel P55チップセット/ATX) |
メモリ |
OCZ「OCZ3P1333LV4GK」
(1333MHz/PC3-10666/CL 7-7-7-20/1.65v) |
SSD |
OCZ Vertex Series 120GB(SATA2/2.5インチ) |
VGA |
XFX「HD-567X-YNFC」
(Radoen HD 5670 512MB DDR5) |
OS |
Windows 7 Ultimate 64bit |
放射温度計 |
AD-5611A(非接触型温度計)
測定範囲(D/S比)11:1 |
騒音計 |
TM-102(国際規格IEC651 TYPE2適合) |
検証ツール |
高負荷状態 |
OCCT 3.1.0 |
温度/回転数 |
SpeedFan 4.40 |
基準モデル【Intel Core i5-750同梱リテールクーラー計測結果】 |
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アイドル時 |
高負荷時 |
2月8日計測時(18℃) |
31℃(1082rpm) |
65℃(2157rpm) |
6月8日計測時(22℃) |
35℃(1233rpm) |
72℃(2699rpm) |
7月23日計測時(31.5℃) |
44℃(1815rpm) |
74℃(2778rpm) |
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|「羅刹」冷却能力(温度)、騒音値、回転数テスト
ここからは「羅刹」の冷却性能、騒音値、回転数のテストを始めてみよう。気分も新たに、検証機材のマザーボードが変わっただけで、こうもテストが楽しくなるとは。自作好きの方ならばこの気持ちはお分かり頂けると思うが、なんとなく各構成パーツの性能もよくなったのではなかろうか?と思えてくるから不思議だ。(ほぼ錯覚の世界)
個人的な感想はさておき、肝心な「羅刹」のテスト結果は以下通りとなった。
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筆者完全に趣味の世界から、搭載方法を縦横両パターンで計測したところ、あまり変化は見られなかった。サイズの製品情報では、ヒートパイプの貫通面をI/Oポート側にレイアウトされているため、テスト結果はそちらの搭載方向が採用されている |
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まずは室内温度31.5℃時計測のIntel Core i5-750同梱リテールクーラーとの比較では、“順当に”圧倒的な差を付けてしまった。同様のトップフロータイプとは言え高負荷時、真夏の室内でのリテールクーラー使用は、CPUにとって非常に厳しい事が分かる。
また同く「トライデント多層フィン構造」を採用する「夜叉」と比較するには、室内温度条件があまりにも違うため(18℃→27.6℃)、極めてナンセンスである事を承知の上、参考程度に敢えて比較してみよう。
最小帯域設定時 |
アイドル時 |
高負荷時 |
羅刹(室内27.6℃) |
32℃ |
52℃ |
夜叉(室内18℃) |
24℃ |
45℃ |
最大帯域設定時 |
アイドル時 |
高負荷時 |
羅刹(室内27.6℃) |
31℃ |
48℃ |
夜叉(室内18℃) |
23℃ |
42℃ |
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“極めてナンセンス”とは言ったものの、実は一概に的外れとは言えない。
「夜叉」テスト時(2010年2月)の室内温度18℃と、今回の「羅刹」テスト時の室内温度27.6℃では、実に9.6℃の差がある。この約10℃の温度差により、エアフローレイアウトの違いこそあれ、最小回転設定時のアイドル時で8℃、高負荷時で7℃、さらに最大回転設定時では順に8℃、6℃の差が付いた。
この結果から、温度上昇とはほぼ比例して差が出る事が分かり(至極当然だが)、逆に考えれば同条件になった場合、相当の冷却性能も期待できると考えても良いだろう。
またここ最近行ったCPUクーラーテストの中では、その回転数の低さと温度結果が非常に良好である事が分かる。トータルバランスが非常に良く取れていると見て間違い無いだろう。
|「羅刹」ヒートシンク各部の温度計測
次はヒートシンクのポイント別温度計測を見てゆこう。今回は合計23カ所の温度計測を行った。なお計測は高負荷時のみで実行し、最小帯域設定時(Low)と最大帯域設定時(High)の2通りのテストとしている。
数字上で一番温度が高かったポイントはLow設定時(最小帯域設定時)の(12)、つまりコアベース部の41.8℃となった。また目に付くのは、順当にグラフィックスカードGPU隣接部(5)の39.6℃(Low)、さらにI/O部隣接の下側(19)の39.6℃(Low)、同じく(21)の38.6℃(Low)となった。
「羅刹」同様のトップフローレイアウトを採用し、室内温度もほぼ同じ条件下でテストしたVol.8 Antec「KUHLER-SHELF」に比べ、ややヒートシンク各部の温度が高い傾向にある。
その理由は2つあり、まずひとつは「KUHLER-SHELF」のような“高床式”ではないためであると考えられる。そしてブロック状に近い「羅刹」のヒートシンクの性格と、受熱能力の高さが挙げられるだろう。
実はこれこそがCPUクーラーには重要で、ヒートシンクの温度が高い=冷却能力が低いでは決して無く、CPUコアからの熱を十分に吸い上げ、放熱フィンに伝導していると見るべきだ。
つまり、CPUコア温度に比べ、放熱フィンがあまり温かくない時は、“一概には言えないまでも”CPUクーラーとしての能力が十分に発揮されておらず、ファンの回転数に頼るためにやや高回転になる傾向がある事を心に留めておきたい。 |
|総評
|「夜叉」に続き高得点。トップフロー型ではトップクラス
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従来通りの方法により、サイズオリジナルCPUクーラー「羅刹」をテストしたが、非常に良い印象を持った。
日本人の好みに合った製品を自社で開発するサイズだけに、時流に乗った長所を的確に押さえる能力は非常に長けている。とは言え、製品開発から発売まで数ヶ月を要するため、言い換えれば“先賢の目を持っている”、または“流行を作り出す”事をも得意としているのかもしれない。
「羅刹」は「夜叉」と血縁関係にある事は本稿で幾度も言及したが、「トライデント多層フィン構造」は、エアフローレイアウトによる“得意不得意”も無く、オールラウンドにその能力を発揮するらしい柔軟なヒートシンクのようだ。せっかくのオリジナルデザインだけに、さらなる“血縁者”を増やして頂ければと思う。
では最後に各々の採点結果をご紹介したい。「夜叉」同様の高得点を得る事ができた。
【静音性】 5.0ポイント
「一点突破」では数回テストを行ったサイズオリジナル120mmファン「KAZE JYUNI」可変PWMモデルだが、相変わらず良い印象だ。特にLow設定時は“風量が足りないのではないか?”と感じる程の静かさだが、「羅刹」のヒートシンクとのマッチングが良好で、もちろん嫌な風切り音などは発生しない。High設定時でも、一般的モデルに比べれば騒音値は決して高くなく、100%ストレス状態で常時稼働させる事は現実的ではないため、通常使用レベルにおいてのマイナス評価は付けられなかった。
【冷却性能】 5.0ポイント
どこか“穴”を探しながらのテストとなったが、その期待は裏切られ、サイズオリジナルモデルらしい性格のモデルだった。一貫して採用するカッターナイフのような鋭い放熱フィンは、熱離れも良く、アルミ押し出しのヒートシンクでは、もはや相手にならないかもしれない。ヒートシンク各部の温度計測でも分かるように、全体に熱が回っている事から、ヒートパイプとの接合も良好で、コアからの熱をうまく拡散させているのだろう。またトップフロー採用により、ベース部裏の小型ヒートシンクも功を奏しているのかもしれない。夏場でこの性能は秀逸。
【取り付け易さ】 4.5ポイント
簡単ワンタッチ交換式クリップシステム「改良版VTMS」(Versatile Tool-Free Multiplatform System)の名詞がなかなか覚えられない筆者だが、そのフルネームとは裏腹にシンプルな部品構成は秀逸。真似をすればサイズに叱られるが、他社も見習うべきだ。
ただし、本文でも紹介した昨今のハイエンド志向マザーボードでは、VRMヒートシンクから起こる思わぬ取り付けにくさが露呈する。例えネジ留め式にしたところで問題は解決されないが、CPUスルーホールとの組み合わせで、何か良い搭載方法は編み出せないものだろうか。「羅刹」が悪いとは一概に言えない課題だが、汎用性という観点で見るならば、その部分だけはマイナス0.5ポイントとした。
【コストパフォーマンス】 5.0ポイント
ここは間違い無く満点になるだろう。この冷却能力を引っ提げての実売4,000円切りは高コストパフォーマンスモデルと十分言い切れる。もしかすると4,000円台後半でも高ポイントかもしれない。 |
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サイズ「羅刹」総合評価 |
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【エルミタ的検証用CPUクーラー募集】
エルミタ的「一点突破」では検証希望CPUクーラーを募集しています。国内外を問わず、ご興味のあるメーカー様・代理店様は編集部までご一報ください。 |
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機材協力:株式会社サイズ
© GDM Corporation All Rights Reserved. |
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