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|CoolerMaster「V6GT」温度・騒音値テスト
さて、ここからはいよいよ「V6GT」の冷却能力、騒音値などを計測してみよう。リリース直後のメーカー想定売価9,000円は決して安価ではないため、全てにおいて期待は高まるばかり。四の五の言わず、早速テストに入りたい。
|エルミタ的レギュレーション
|CPUクーラー計測環境および計測方法
1.マザーボードはケースに組み込まない状態で計測する
(ケースファンなどケース内エアフローの影響を受けない状態で、できる限りCPUクーラー本来の性能を見る)
2.マザーボードなどの各種設定はデフォルトのまま行う
3.CPU全コアに100%負荷をかけ、5回テストを行う
(計5回テスト中、平均値のスコアを掲載)
4.騒音値は、ファンから10cmの距離で計測
(騒音計はファンと垂直方向に設置)
5.高負荷状態は「OCCT 3.1.0」を使用
(アイドル時および高負荷時(100%/20分)の数値を計測)
6.コア温度およびファン回転数は「SpeedFan 4.40」を使用
(アイドル時および高負荷時(100%/20分)の数値を計測) |
検証使用機材 |
CPU |
Intel「Core i5-750」 Lynnfield
(2.66GHz/TB時最大3.20GHz/TDP95W) |
マザーボード |
GIGABYTE「P55A-UD3」
(Intel P55チップセット/ATX) |
メモリ |
OCZ「OCZ3P1333LV4GK」
(1333MHz/PC3-10666/CL 7-7-7-20/1.65v) |
SSD |
OCZ Vertex Series 120GB(SATA2/2.5インチ) |
VGA |
「Sapphire HD 4350 256MB DDR2 PCIE HDMI LP ファンレス」(型番:11142-08-20R) |
OS |
Windows 7 Ultimate 64bit |
放射温度計 |
AD-5611A(非接触型温度計)
測定範囲(D/S比)11:1 |
騒音計 |
TM-102(国際規格IEC651 TYPE2適合) |
検証ツール |
高負荷状態 |
OCCT 3.1.0 |
温度/回転数 |
SpeedFan 4.40 |
基準モデル【Intel Core i5-750同梱リテールクーラー計測結果】 |
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アイドル時 |
高負荷時 |
2月8日計測時(18℃) |
31℃(1082rpm) |
65℃(2157rpm) |
6月8日計測時(22℃) |
35℃(1233rpm) |
72℃(2699rpm) |
7月23日計測時(31.5℃) |
44℃(1815rpm) |
74℃(2778rpm) |
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CPU1 min21℃/max42℃ |
CPU2 min21℃/max42℃ |
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CPU3 min20℃/max37℃ |
CPU4 min19℃/max39℃ |
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ここではストレスツール「OCCT 3.1.0」4つのスコアを掲載した。この結果を見る限り、非常に冷却能力が高い事が分かるだろう。アイドル時19℃は比較的低いスコアが計測されるCPU4の結果なので、実際は平均値20.25℃という事なるが(最大は40℃)それでも低い。意外にLynnfieldの出来が良いとは言わないが、これまでのテスト中でもかなり高いスコアが計測されている事は間違いない。
ただし、搭載ファンの回転数が上昇するタイミングがやや速いようにも感じた。さすがにデュアルファン+放熱フィンに工夫が凝らされているだけあって、風の抜けは抜群に速い。(テスト時、筆者は排気側に位置していたが、寒くなってしまった、、、)その代償としての騒音値は致し方ないといった所だろう。諸手を挙げて静音とは言い難い。セールストークとしての「静音」が捨てきれなかったのは理解できるものの、もう少し胸を張って「高冷却」だけを謳っても良かったのではないだろうか。
|「V6GT」ヒートシンク各部の温度計測
次はヒートシンク各部の温度計測を行ってみよう。例によって「OCCT 3.1.0」(20分間)を使い、非接触型温度計で温度を計測する。今回の計測ポイントは全部で9カ所。下線付きの数字は図で示した場所の真裏を示す。
ここで一番温度が高く表示されたのは(7)24.0℃で、グラフィックスカードのGPUに近い場所という事になり、順当な結果。次に(3)23.3℃、(8)22.9℃、(9)22.6℃と続くが、コア部分の(9)を含め、全てCPUクーラーの下段部分に集中し、これも想定の範囲内と言えるだろう。上段部分で温度が高い場所は最大温度ポイント(7)の真上(1)21.1℃となり、ヒートパイプで持ち上げられた熱がそのまま影響しているのかもしれない。
これまでのCPUクーラーテストで分かった事だが、ヒートシンク各部の温度は想像通りキレイに分散する事は希だが、「V6GT」では意外に素直な結果に落ち着いているように思える。 |
|総評
|冷却能力は文句なし。どのポジションが狙いなのか?
自身久々にCoolerMasterのアッパークラスに属するCPUクーラーを手にし、さてどんなパフォーマンスを見せるのかと期待しながらのテストだったが、業界中の下馬評通り高い冷却能力を持ったモデルである事が分かった。
外気温および室内温が低下している環境を考慮しても、これまでテストした中でも上位クラスのモデルと言って差し支えないだろう。CPUクーラーとしての仕事、“冷却”については申し分無い。
ただし多くのユーザーが気にする静音性については、額面通りとは少々言い難い。ファン単体での稼働時は数字通りの静音性があるのかもしれないが、そもそもエアフロースピードを重視したデュアルファン仕様により、放熱フィン内を駆け抜ける風切り音は、なかなか勇ましい。さらに気になったのは、室内温が低く、CPUコアの温度もさほど上昇していないにも関わらず、PWMファンに組み込まれたICの特性なのか、低速回転での踏ん張りがあまり効かず、早い段階で高速回転してしまうきらいがある。
幸いにしてツールフリーにて簡単にファンが付け替えられるため、性格の違ったCPUクーラーにカスタマイズする事もできるが、せっかくブレードに工夫が凝らされたデフォルトファンを諦めるのは少々惜しい。
総じて言うならば、高い冷却能力を持つハイパフォーマンスCPUクーラーというポジションではあるものの、特に国内市場のユーザーが重視する静音性は担保されず、高クロックCPUまたはオーバークロッカーを狙ったモデルという性格が強い。
最後に本稿のシメは「評価ポイント」となるが、「V6GT」のようにハイパフォーマンス向けCPUクーラーの場合、若干不利になってしまう項目「静音性」があり、やや低めの総合点となっている。ただし、この数字だけを見て製品の全てを決めてしまうのは大きな間違いである事を付け加えておきたい。もう一度言ってしまうが、本来の仕事である冷却に関しては、十分に最上位クラスと言えるからだ。
【静音性】 3.5ポイント
メーカー製品情報のコンセプト欄の中に「DynaLoopベアリングと独自形状のファンブレードで高い静音性を実現」という記載がある。ただし今回のテストでは3.0ポイントとした。ファン単体では静音指向への工夫が読み取れるものの、放熱フィンとの組み合わせ(風がフィンを抜ける音)、またファンカバーが装着されている事が相まって、トンネルを抜けるような音が出てしまっている。デュアルファンによる強力なエアフローは確かに生み出されているが、エアフロースピードが仇となっている感は否めない。静音モデルを謳う数あるCPUクーラーの中にあっては、さすがに“非常に静か”とは言い難い。
【冷却性能】 5.0ポイント
これは文句なく満点。室内音が下がっている点について考慮しても5.0ポイントで、2月8日計測(室内温度18℃)のリテールクーラー比較でアイドル時31℃(V6GTで19℃/-12℃)、高負荷時65℃(同42℃/-23℃)は、かなり良好なスコアと言える。
【取り付け易さ】 3.5ポイント
正直、2.5ポイントと迷ってしまった。これまでテストを行ったCPUクーラー中でもっとも印象に残る難易度。といっても複雑な工程がある訳ではないが、バックプレートのネジ留めのしにくさ、CPUクーラー面からの6角レンチを使った締め付けもヒートシンクが張り出している分、作業はしにくい。大型ヒートシンクは自重もあり、やや手間取ってしまう事は考慮しつつも、純粋に取り付け易いかと聞かれれば苦笑いを浮かべるしかない。CPUメンテナンスホールを使っての換装を一人で行うのは不可能。二人掛かりでの作業になる。
【コストパフォーマンス】 3.5ポイント
上記3つのポイントからコストのバランスをジャッジすると、3.5ポイントと言ったところ。決して安価な価格帯を狙った製品ではないため、静音性も冷却性能も取り付け易さも全て良好な結果を求めてしまうが、トータルバランスがとれているかは下に示したレーダーチャートを見れば説明不要、一目瞭然だろう。 |
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CoolerMaster 「V6GT」総合評価 |
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【エルミタ的検証用CPUクーラー募集】
エルミタ的「一点突破」では検証希望CPUクーラーを募集しています。国内外を問わず、ご興味のあるメーカー様・代理店様は編集部までご一報ください。 |
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機材協力:Cooler Master
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